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 アルツハイマー病
 
 脂質二重層に存在するコレステロール量が多いと、細胞膜の流動性が低下する。
 神経細胞膜内コレステロール量が増加すると、Aβ(アミロイドβ蛋白)が脳内で重合(凝集)し易くなり、脳内に蓄積し、アルツハイマー病(痴呆症、認知症)を来たすと考えられる
 アルツハイマー病は、食生活の改善(動物性脂肪の摂取を控え、緑黄色野菜やゴマや緑茶などから抗酸化物質を摂取する)により、予防可能と思われる。

 1.アルツハイマー病のアミロイド仮説
 アルツハイマー病(Alsheimer's disease:AD)は、大脳の変性疾患で(大脳が萎縮する)、記憶障害で始まり、徐々に認知症(痴呆)が進行する病気。

 アルツハイマー病の脳には、病理所見で、大脳皮質内に、老人班、神経原線維変化、神経細胞死が見られる。

 a.老人班
 老人班は、アミロイドβ蛋白:βアミロイド)により、構成されている。
 Aβは、アミロイド前駆体蛋白(APP:amyloid precursor protein)が、まず、βセクレターゼにより、細胞外ドメインの部分で、切断され(AβのN末部分、注1)、次に、γセクレターゼにより、細胞膜内で切断される(AβのC末部分)ことで、産生され、細胞外に分泌される。APPが変異すると、凝集性の高いAβ42が、産生され、脳に蓄積し、早期に老人班が形成される。Aβが脳内で重合(凝集)し、蓄積すると、神経細胞が変性し、神経細胞内にタウが蓄積し、神経細胞が脱落し、痴呆になると考えられている。
 βセクレターゼは、2,6シアル酸転移酵素の切断をも、行っている。

 アルツハイマー病で脳にアミロイドβ蛋白(Aβ)が蓄積する機序として、
 1.アミロイドβ蛋白(Aβ)の産生増加している
 2.アミロイドβ蛋白(Aβ)が(凝集して)蓄積易くなっている
が、考えられる(2の可能性が高い)。

 アミロイドβ蛋白(Aβ)が凝集するには、種(seed)が必要。
 アミロイドβ蛋白(Aβ)の凝集に必要な種(seed)は、GM1ガングリオシドとアミロイドβ蛋白(Aβ)の複合体から構成されている(柳澤等)。

 老人斑は、特に中心核は、アミロイド細繊維(幅約8〜12nm、長さ50〜1,000nmの1対の捻じれた細繊維)が塊状に存在する。

 b.神経原線維変化
 神経原線維変化は、微小管結合蛋白質の一つである、タウ蛋白が、細胞質中で線維化(繊維化)し、沈着して出来る。
 神経原線維変化では、タウ蛋白は、リン酸化などの修飾を受けている(異常リン酸化タウ)。
 なお、神経原線維変化は、20歳代に、既に、海馬傍回に存在し、加齢に伴なって、その割合が増加する。
 神経原線維変化は、電子顕微鏡で観察すると、ペアになった螺旋状フィラメント(PHF:paired helical filament)構造をしている。
 PHFは、タウと呼ばれる、微小管結合蛋白(微小管関連蛋白)が主成分。アルツハイマー病に見られる神経原線維変化のPHFは、過剰にリン酸化されて、不溶化していて、ユビキチンが結合している(注2)。

 アルツハイマー病では、Aβが重合し、大脳皮質に沈着し、神経原線維変化を起こし、神経細胞死を来たし、脳機能が低下し、認知症(痴呆症)を来たすと考えられている。

 2.脳神経細胞膜内コレステロール量が増加すると、アルツハイマー病になるリスクが高まる
 アミロイドβ蛋白(Aβ)は、可溶性単体では、毒性を示さない。Aβは、疎水性アミノ酸を多く含むので、容易に重合すると理解されているが、実際には、Aβは、脳内では、重合することはない。

 Aβ重合は、Aβ産生量の増加が原因ではない:Aβは、神経細胞膜に発現するGM1ガングリオシドに結合して、重合を開始する。GM1ガングリオシド結合型Aβ(GAβ:GM1-Aβ)は、凝集塊形成性が高い。
 GAβの形成には、神経細胞膜内コレステロール量が、重要な役割を果たしている。
 人工脂質膜小胞を用いた実験結果では、膜内(膜の表面にGM1ガングリオシドが存在する)のコレステロール量が増加すると、可溶性Aβ(アミロイドβ蛋白)が、GM1ガングリオシドと結合して、GAβ(GM1ガングリオシド結合型Aβ)の形成が、著しく促進された。
 GAβ(GM1ガングリオシド結合型Aβ)は、凝集塊形成性が高く、単離されにくいので、脳内に蓄積すると考えられる。
 Aβは、GM1ガングリオシドに結合すると、構造が変化して、seed(種)となり、可溶性Aβの重合を促進する(Seed Aβ仮説)。
 
 アポ蛋白のアポEには、主に3種類の遺伝型がある。多くの正常人は、アポE3であるが、アポE2の人は循環器病になり、アポE4の人はアルツハイマー病になりやすい。
 老化マウスでは、神経シナプス外葉中のコレステロール量が、若いマウスに比し、約2倍に増加している。アポリポ蛋白E4を発現したマウスも、シナプス外葉中のコレステロール量が、老化マウスと同様に増加する。
 このように、老化や、アポリポ蛋白E4発現は、シナプス外葉中のコレステロール量を増加させる(シナプス膜のコレステロール分布が変化する)。
 シナプス膜には、GM1ガングリオシドが発現しているが、神経細胞膜内コレステロール量が増加すると、GM1ガングリオシドのクラスターが形成される(GM1ガングリオシドが集合する)。そして、可溶性Aβ(アミロイドβ蛋白)が、GM1ガングリオシドクラスターに結合して凝集し、GAβ(GM1ガングリオシド結合型Aβ)を形成し、Aβ重合を起こすと考えられている。
 なお、コレステロールは、脂質二重層に存在し、細胞膜(生体膜)の流動性(fluidity)を決定する:細胞膜のコレステロール量が多い程、細胞膜の流動性は、失われる。細胞膜には、多くの蛋白が存在するが、膜内では活性を示さない蛋白が、細胞膜のコレステロール含量が増加して、細胞膜から遊離すると、膜外で修飾を受け、活性を持つようになる。細胞膜のコレステロール含量が増加すると、脂質二重層の脂肪酸間隙が減り、イオンや低分子が、細胞膜を通過しにくくなる:成人や、動脈硬化の進んだ老人の細胞膜は、コレステロール含量が多く、イオンや低分子の透過性が少ないので、細胞外の環境の影響を受け難い。

 このように、神経細胞膜内コレステロール量が増加すると、Aβが脳内で重合(凝集)し易くなり、脳内に蓄積し、アルツハイマー病(痴呆症、認知症)を来たすと考えられる
 実際に、総コレステロール値(TC値)が高かったり(250mg/dl以上)、LDLコレステロール値が高いと、アルツハイマー病を発症し易いと言う研究結果もある(HDLコレステロール値が高いと、アルツハイマー病を発症しにくい)。
 従って、アルツハイマー病の予防には、食生活の改善も、必要と考えられる。

 アルツハイマー病(認知症)は、生活習慣病であり、遺伝的な素因があっても、食生活の改善(動物性脂肪の摂取を控える、野菜や果物などから抗酸化物質を摂取する、等)により、発症のリスクを軽減することが可能と言われる。
 アルツハイマー病(認知症)は、生活習慣、つまり、食生活の改善(緑黄色野菜や魚を多く摂取する)、運動習慣の改善などにより、ある程度、発症を遅らせることが可能。
 アルツハイマー病のモデルマウス(アミロイド前駆体蛋白トランスジェニックマウス)は、トンネルや回転車などの遊び道具を入れた広いゲージ(enriched environment)で飼育すると、老人斑の程度が、50%抑制される。
 表1 アルツハイマー病のリスク因子
 ・アポリポ蛋白質E4遺伝子を有する
 ・高脂血症、高血圧、糖尿病
 ・肥満
 ・高ホモシスティン血症
 ・喫煙
 ・頭部外傷
 メタボリックシンドローム(肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症)があると、動脈硬化を来たし、血管性認知症のみならず、アルツハイマー病になるリスクも、高まる。
 血圧を下げると、アルツハイマー病の発症を、予防出来る。
 糖尿病の人は、糖尿病でない人に比して、アルツハイマー病になるリスクが、2倍高い。
 運動をしない人は、運動する人に比して、アルツハイマー病になるリスクが、2倍高い。

 モデルマウスの実験結果では、高脂肪食にすると、脳の老人班の数は、約2倍に増加する。また、カロリー制限する(通常食の6割のカロリー)と、脳の老人班の数は、1/3に低下する。
 緑茶に含まれるカテキンは、老人斑の形成を、50%減少させる。
 DHA(魚などに多く含まれる)は、老人斑の形成を、40%減少させる。
 表2 認知症(アルツハイマー病)への薬剤の効果
 薬剤  抗炎症作用  コレステロール低下作用  血管新生抑制作用  Aβ低下作用
 ACE阻害剤  +  −  −  ?
 スタチン  +  +  +  +
 NSAIDs  +  −  +  +
 アスピリン  +  −  +  −

 コレステロールが少ないと、セクレターゼ(アミロイド前駆体蛋白を切断しアミロイドβ蛋白を生成する)が作動しなくなり、アミロイドβ蛋白(βアミロイド)の生成が減少する。
 3.アルツハイマー病の診断マーカー
 アルツハイマー病では、髄液(CSF)中に、アミロイドβ蛋白(Aβ)のAβ42が低下する(Aβ40は変化しない)。これは、Aβ42が、アミロイドとなって、脳に沈着する為と言われる。
 なお、血漿中のAβ42濃度は、アルツハイマー病では、発症前から高値を示すが、アルツハイマー病が進行するに従い低下する。

 アルツハイマー病では、髄液(CSF)中の総タウ蛋白量が増加する。これは、変性した軸索や神経細胞から、タウ蛋白が放出される為と、考えられる。
 アルツハイマー病では、脳内のリン酸化タウ蛋白の増加を反映し、髄液中のリン酸化タウ蛋白量が、著明に増加する。
 髄液中の総タウ蛋白量は、アルツハイマー病以外の脳神経疾患(急性脳梗塞、髄膜脳炎、クロイツフェルト-ヤコブ病など)でも増加するが、髄液中のリン酸化タウ蛋白量は、アルツハイマー病に特異的に、著明に増加する。  

 4.GSK-3β
 アルツハイマー病の神経原線維変化では、タウ蛋白が、異常に(多く)リン酸化されている。
 タウ蛋白をリン酸化する酵素には、GSK-3β、JNK等が存在する。

 アミロイドβ蛋白(Aβ)は、GSK-3βの活性を増大させ、タウ蛋白のリン酸化を来たし、神経原線維変化を形成させ、神経細胞を減少させ、認知症(アルツハイマー病)を発症させる。

 リチウム(LiCl)は、GSK-3βを抑制する。リチウム(LiCl)は、他の酵素をも、抑制(阻害)する。
 アミロイドβ蛋白(Aβ)は、GSK-3βの活性を増大させる。
 アミロイドβ蛋白(Aβ)が存在すると、タウ蛋白が不溶性タウになる(タウ蛋白がGSK-3βによりリン酸化され不溶化される)。
 リチウム(LiCl)により、GSK-3βを抑制しておくと、アミロイドβ蛋白(Aβ)が存在しても、タウ蛋白が不溶化しない(リン酸化されない)ので、神経原線維変化が形成されず、神経細胞が死滅しない。

 5.HSF-1とDAF-16
 アミロイド前駆体蛋白(APP)からβセクレターゼとγセクレターゼとによって切り出されたアミロイドβ蛋白(Aβ)は、凝集してβアミロイドを形成する。
 健康な脳細胞には、過剰に生成されたβアミロイドを、排除(無毒化)する機構が存在する。

 HSF-1は、βアミロイド原線維を分解し、解毒(無毒化)する。
 DAF-16は、βアミロイド原線維集合体の残骸を集めて、一時的により安全な高分子(巨大)集合体を形成する。βアミロイドは、高分子集合体の方が、低分子集合体より、毒性が低い。脳細胞は、βアミロイドの小さな原線維を、一時的に高分子集合体の形にして、貯蔵し、細胞を守る。

 βアミロイド集合体の無毒化に関与するHSF-1やDAF-16は、インスリン/インスリン様成長因子-1(IGF-1)経路により調整されている。
 インスリン/インスリン様成長因子-1(IGF-1)経路は、寿命の制御に用いられている。

 このようなβアミロイドの排除機構(清掃担当分子)の機能が、加齢に伴ない低下すると、脳内に有害なβアミロイド集合体が集積し、アルツハイマー病を発症すると考えられている。

 6.抗酸化物質とアルツハイマー病
 Kameプロジェクトが、1992〜1994年に、非認知症の人を登録し、2001年まで、2年毎に、認知機能を評価した結果では、週3回以上、野菜又は果物ジュースを飲んだ人たちは、アルツハイマー病の発症リスクが、76%低減する

 アルツハイマー病の発症リスク(ハザード比)は、週1回未満したジュースを飲まなかった人たちに比し、週3回以上ジュースを飲んだ人たちは0.24、週1〜2回ジュースを飲んだ人たちは0.84だった。
 ジュースを飲んだ人たちでも、特に、アポリポ蛋白質Eε4アレル保因者や、身体活動度が低い人たちで、ジュース飲用によるアルツハイマー病発症リスク低減効果が現れた。
 
 ジュース飲用によるアルツハイマー病発症リスク低減効果は、ジュースに含まれる抗酸化物質ポリフェノールが、神経保護作用を現す為と考えられている。
 アミロイドβ蛋白(Aβ)を形成(惹起)させる酸化ストレスは、活性酸素でも、過酸化水素が関与している
 ポリフェノールの多くは、抗酸化ビタミンより強力に、過酸化水素から神経細胞を保護する(アミロイドβ蛋白の形成を予防する)。
 食事に含まれる抗酸化ビタミンのビタミンE、ビタミンC、β-カロテン、御茶の飲用は、アルツハイマー病発症リスク低減効果が認められなかった。
 抗酸化ビタミンのビタミンE、ビタミンC、β-カロテンなどを、多量に摂取しても、神経保護作用が現れなく、アルツハイマー病発症リスク低減効果が現れない。

 アルツハイマー病患者は、アミロイドβ蛋白(Aβ)が重合(凝集)し易い分子環境を有している。
 ポリフェノール(ワイン関連ポリフェノールのミリセチン等、クルクミン等)は、抗酸化作用があり、アミロイドβ蛋白(Aβ)の重合を強力に阻止する作用や、アミロイドβ蛋白(Aβ)線維を分解する作用が確認されている。

 7.ネプリライシン
 アミロイドβ蛋白(Aβ)は、凝集してβアミロイドを形成する。
 βアミロイドは、ネプリライシンと言う酵素(ペプチダーゼ)により分解される。
 高齢になると、ネプリライシンの活性が低下し、βアミロイドが蓄積し易くなる。

 8.NSAIDsとアルツハイマー病
 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、アミロイドとなり脳に沈着するアミロイドβ蛋白Aβ42の産性を特異的に抑制する。
 セクレターゼ阻害剤は、アミロイドβ蛋白(Aβ)の生成を阻害するが、Notchシグナル系の切断も阻害し、腸管上皮の形成障害や、免疫細胞の分化障害が起こる。NSAIDsは、Notchシグナル系への影響が少ない。

 9.SOR1
 アルツハイマー病では、βアミロイド(ベータアミロイド)が蓄積するが、SOR1と呼ばれる遺伝子が正常に機能すると、βアミロイドの蓄積が抑制される。
 65歳以上で発症するタイプのアルツハイマー病に関係する遺伝子の研究から、SOR1の型により、アルツハイマー病の発症し易さに差があることが判明した。

 10.ハンチントン病
 ハンチントン病(ハンチントン舞踏病、セント・ヴィツス舞踏病)は、脳内神経細胞が進行性に漸減する神経変性疾患。
 突然変異したハンチントン病蛋白質が、カベオリン-1と呼ばれる分子と共に神経細胞(ニューロン細胞)に発現すると、コレステロールが脳内に著明に蓄積する。
 カベオリン-1は、小胞の主要構造蛋白であり、コレステロールを捕捉し、神経細胞のニューロン膜内外へ移動させる。

 11.Aβオリゴマーがアルツハイマー病の主因
 老人斑は、アミロイド前駆体蛋白質(APP)から作られるアミロイドβ蛋白(Aβ)からなる繊維。
 老人斑が見られないアルツハイマー病患者が存在する。
 アルツハイマー病の原因は、老人斑ではなく、変異型アミロイドβ蛋白(Aβ)から作られるAβオリゴマーと考えられるようになった(大阪市立大学医学部富山貴美準教授等).

 アミロイドβ蛋白(Aβ)は、野生型は、モノマーからダイマーが形成されると、すぐに繊維が形成される(モノマーの比率が高い)。
 アミロイドβ蛋白(Aβ)は、変異型(僞21グルタミン酸が欠損)は、繊維が形成されず(老人斑が形成されない)、ダイマー、トリマー、テトラマーなど複数の会合体(オリゴマー)が形成される。
 オリゴマーは、野生型Aβも形成するが、変異型Aβより少ない。変異型Aβは、繊維(老人斑)が形成されず、オリゴマーの量が倍増する::モノマーと繊維とオリゴマーの割合は、野生型Aβは1対1対1だが、変異型Aβは1対0対2。

 アルツハイマー病には、アミロイドβ蛋白(Aβ)でも、オリゴマー(会合体で繊維を形成しない)が原因と考えられるようになった。
 アミロイドβ蛋白(Aβ)のオリゴマーは、LTP(Long Time Potentiation:長期増強作用)と言う記憶に関与する。
 変異型Aβのオリゴマーは、神経のシナプスを障害する。

 12.その他
 ・朝鮮ニンジン(朝鮮人参)は、ジンセノサイド(ポリフェノールの1種)を特有的に含有している。
 ジンセノサイドは、試験管内での実験結果によると、アミロイド繊維の形成を1/3に抑制すると言う。
 フェノール酸は、ポリフェノールの1種で、山菜や果物に含有されている。フェノール酸にも、アミロイド繊維の形成を抑制する作用がある。

 ・関節リウマチ患者(RA患者)には、アルツハイマー型認知症(Alizheimer-type dementia:ATD)が少ない。

 ・スフィンゴシン1リン酸(S1P)は、神経細胞に存在するリン脂質。
 スフィンゴシン1リン酸(S1P)の量を減らすと、アミロイドβ蛋白(βアミロイド)の産生に関与するβセクレターゼの活性が低下し、アミロイドβ蛋白(Aβ)の蓄積が抑制される(東大大学院薬学系研究科 富田泰輔准教授、高杉展正助教等)。S1Pは、様々な細胞に存在し、増殖に関与する。
 SKI IIは、抗癌剤として研究されている化合物。SKI IIは、Sphk2(スフィンゴシンキナーゼ 2:sphingosine kinase 2)と言う酵素の活性を抑制し、スフィンゴシン1リン酸(S1P)を減少させる。Sphk2は、S1Pを産生する酵素だが、アミロイドβ蛋白によって活性化される。アルツハイマー病の患者の脳では、Sphk2の活性が薬2倍高い。アミロイドβ蛋白が増加すると、Sphk2が活性化され、S1Pが産生され、βセクレターゼが活性され、アミロイドβ蛋白がさらに増加する。
 マウスの神経細胞に、SKI IIを添加すると、アミロイドβ蛋白(βアミロイド)が増加しなくなる。スフィンゴシン1リン酸(S1P)を神経細胞に加えるとβセクレターゼが活性化され、S1Pが分解されるとβセクレターゼの活性が抑制される。
 アミロイドβ蛋白(βアミロイド)が蓄積するように遺伝子を操作したマウスに、SKI IIを直接飲ませると、アミロイドβ蛋白が蓄積しない。
 SKI IIにより、Sphk2酵素の活性が抑制され、S1Pが減少し、βセクレターゼの活性が抑制され、アミロイドβ蛋白の産生が抑制される。

 ・抑肝散は、虚弱な体質で神経がたかぶる人の神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症(疳の虫)に効果がある。
 抑肝散は、アルツハイマー病のイライラ、妄想、徘徊などの周辺症状に有用と言われる(攻撃性抑制作用がある)。
 抑肝散の攻撃性抑制作用は、グルタミン酸放出抑制作用(細胞外液グルタミン酸濃度の上昇抑制や、海馬のグルタミン酸神経終末開口放出抑制)、 グルタミン酸取込是正作用(チアミン欠乏ラット培養アストロサイトにおいて、グルタミン酸取込能の低下や、トランスポータのmRNA及び蛋白レベルの低下抑制)、セロトニン2Aダウンレギュレーション作用(前頭皮質セロトニン2A受容体発現抑制や、セロトニン2A受容体作動薬誘発首振り運動抑制)、セロトニン1A受容体アゴニスト作用による攻撃性抑制(パラクロロアンフェタミン誘発ラットの攻撃性増加抑制や、社会的行動低下抑制)によると言われる。

 注1:そもそも、何故、アミロイド前駆体蛋白(APP)が、βセクレターゼ等により、切断されアミロイドβ蛋白(Aβ)が形成されるのか、疑問に感じる。
 アルツハイマー病は、高脂血症、糖尿病等、生活習慣病が、発症リスクを高めると言われる。
 アミロイド前駆体蛋白(APP)が、食生活の影響で、変性することが、βセクレターゼ等により、切断される原因なのかも知れない。

 注2ユビキチン(Ubiquitin) は、76個のアミノ酸から構成された蛋白質。
 ユビキチンは、他の蛋白質を修飾し、プロテアソームでの蛋白質分解、DNA修復などに、関与する。
 修復不可能な蛋白質(高次構造形成に失敗した蛋白分子)を、プロテアソームで分解する為に、ユビキチン化するには、熱ショック蛋白質(HSP)の助けが必要と言われる。

 参考文献
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