血液凝固と、KK系と、RAA系との関連
血液凝固と、KA系(カリクレイン・キニン系)と、RAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)は、相互に関連している。
1.血液凝固
血管内皮が破損され、血液が血管内皮下の組織に接すると、血液凝固の為に、第XII因子が活性化され、活性化第XII因子(XIIa)となり、内因系血液凝固が起こる。
外因系血液凝固は、血管内皮細胞が剥がれたという程度では起こらず、 組織が損傷されて、組織中の組織因子(第III因子、トロンボプラスチン)が露出した時に、活性化される。
2.KK系(カリクレイン・キニン系)
血液凝固で活性化された活性化第XII因子(XIIa)は、KK系(カリクレイン・キニン系)で、プレカリクレインをカリクレインにする。
カリクレインは、高分子キニノゲン(HMWK)を分解し、ブラジキニンを遊離(産生)させる。
ブラジキニンは、血管透過性亢進作用、発痛作用などを有する。
KK系で産生されるブラジキニンには、血圧を降下させる作用があり、RAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)で産生されるアンジオテンシンII(AII:昇圧作用がある)と、拮抗する。
また、血液凝固に伴って、KK系で産生されるブラジキニンは、ホスホリパーゼA2を活性化させ、PGE2が生成される。PGE2にも、弱い、発痛作用(知覚神経刺激作用)、血管透過性亢進作用、血管拡張作用(細動脈拡張作用)があるが、PGE2は、ブラジキニンの発痛作用を増強し、痛覚過敏(疼痛過敏)にする。
こうして、血液凝固が起こると、発痛物質であるブラジキニンが、産生され、PGE2が生成され、炎症症状が現れる。
また、カリクレインは、第XII因子の活性化を促進する(posoteive feedback loop)。
3.RAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)
RAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)で作用する、アンジオテンシン変換酵素(ACE)=キニナーゼIIは、KK系で産生されるブラジキニンを不活化する。
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