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 伝染性紅斑(リンゴ病)

 ヒトパルボウイルスB19と言うウイルスが原因で起こる病気です。顔、四肢に痒みを伴なう発疹(風疹様、網目状、レ−ス状、環状など)が現れ、特に、頬が赤くなるため、リンゴ病とも呼ばれています。発疹は、1週間程度で消失しますが、長引いたり、一度消失した後に再び現れることもあります。
 ウイルスは、主に、唾液などにより伝染します(飛沫感染)。感染後、3日から1週間して、カゼ症状(発熱、頭痛、筋肉痛など)が現れ、ノドからウイルスが排泄されます(ウイルス感染後5〜10日が感染力が強い)。さらに、1週間ぐらい後に、発疹が現れます(発疹が現れるのは、ウイルス感染18日後)(注1)。しかし、感染しても、小児では30%、成人では60%の人は、症状(発疹など)が現れません(不顕性感染)。
 この病気は、健康な子供さんでは、発疹以外に、重い合併症が現れることは稀です。しかし、成人では、貧血、関節炎(注2)などの合併症が現れることがあります。特に、妊婦が感染すると、お腹の中の赤ちゃんの体がむくんで、流産・死産を起こすことがあり(胎児水腫)、注意が必要です。
 入浴したり日光に当たったりして体が温まると、発疹が濃くなるので気をつけましょう。
 発疹が現れる前に、他の人にウイルスをうつしていることが多いです。発疹が現れた時にはウイルスの感染力はほぼ消失していると言われます(発疹が出た子供さんから感染した事例があります)。
 発疹のみで全身状態の良い子供さんは、通園・登校は可能です(発疹があっても、他の子供さんへの感染を恐れて通園・登校を停止させる必要はありません)。しかし、特に妊娠している可能性がある女性には、接触しないようにして下さい。

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 注1:伝染性紅斑(リンゴ病:erythema infectiosum)の発疹は、Parvovirus B19に対する免疫反応で現われる。
 正常のボランティアでの実験結果では、感染(接種)して、7〜11日後に、ウイルス血症が起こり、鼻咽頭からウイルスが排泄され、発熱、倦怠感、鼻汁が出る(網状赤血球数が減少し、血中ヘモグロビン量が低下する)。
 血液中に、抗ヒトパルボウイルスB19抗体が現れ、発疹や関節痛が、感染17〜18日後に現われる。
 発疹が出現する7〜10日程前に、微熱や感冒様症状などの前駆症状が見られることが多く、この時期にウイルス血症を起こしていて、ウイルスの排泄量が最も多く、感染性が高いと言われる。
 伝染性紅斑は、成人では、発疹は腕に現れても、顔には顕著でなく、関節痛が出ることが多い。浮腫の為、体重が、1kg/日も増加した母親もいた。
 伝染性紅斑(りんご病)は、ウイルスに感染すると、7〜11日後にウイルス血症が起こり、鼻咽頭からウイルスが排泄され、さらに、1週間程後に、発疹が現れる=周囲の免疫が無い人が感染すると、患者さんが発症して1週間から20日後に発症する可能性がある。
 伝染性紅斑は、ウイルスに感染して、約18日後に発疹が現れる。感染力が強いのは、ウイルス感染7〜11日後(発疹が現れる7〜11日前)が感染力が強い。子供から、ウイルスを移された場合、免疫がない周囲の人は、1週間から20日後に、発症する可能性がある。発疹が現れると感染力が無いと言われるが、実際には、発疹が現れた患児から、スタッフが感染したことがある(発疹が現れてからも、発疹に触ると移る可能性がある)。
 伝染性紅斑は、学校保健法の学校において予防すべき伝染病としては指定されていないので、一律に、出席停止の扱いをする必要がない。学校保健法は、2009年(平成21年)4月1日から、学校保健安全法と改称された。
 伝染性紅斑のウイルス(パルボウイルスB19)に免疫がない妊婦が、ウイルスに初感染すると、胎児が浮腫んだり(胎児水腫)、流産を起こすことがある。しかし、妊婦が、リンゴ病を発症しても、障害がなく、子供さんが生まれることも多いと言われる。
 過去にリンゴ病に罹ったことがあるかどうかは、パルボウイルスB19 IgG抗体を調べれば判明するが、保険適用が無い。妊婦が、発疹が出た場合、リンゴ病がどうかは、パルボウイルスB19 IgM抗体を調べれば判明するが、こちらは、保険適用が有る。

 リンゴ病(伝染性紅斑)は、ウイルスに感染すると、潜伏期間は約18日で発疹が現れる。
 ウイルスに感染すると、7〜11日後にウイルス血症が起こり、鼻咽頭からウイルスが排泄され(周囲の免疫が無い人が感染すると、患者さんが発症して1週間から20日後に発症する可能性がある)、発熱、倦怠感、鼻汁が現れる。さらに、1週間程後に、発疹が現れる。
 ウイルスの感染力が強いのは、ウイルス感染7〜11日後(発疹が現れる7〜10日前)。発疹が出てからも感染力が残っていることがある。

 注2:伝染性紅斑(リンゴ病)の関節炎や関節痛は、発疹が現れないで生じる事もある。
 関節炎や関節痛(関節症状)は、成人や年齢の高い思春期の子供に多く見られる。女性の方が、男性より、関節炎や関節痛が多い。ある大流行に際して、成人の60%、成人女性の80%に、関節症状が認められた。
 関節症状は、多数の関節が朝のこわばり(morning stiffness)を伴って関節痛を来たす事もあれば、明白に腫れ等を伴う関節炎(frank arthritis)の事もある。
 関節では、両側の手(hands:指も含む)、手首(wrists)、膝、足首(くるぶし)が、しばしば侵される。
 関節症状は、自然治癒する傾向があり、多くの患者では、2〜4週間以内に、消失する。しかし、患者によっては、遷延した経過を取り、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)と思われる(suggesting)程、数ヶ月も関節症状が続く事がある。そのような患者では、リウマチ因子(rheumatoid factor)が一過性に陽性を示すが、関節リウマチと異なり、関節破壊は見られない。

 伝染性紅斑(リンゴ病)の発疹は、顔、上肢、大腿、躯幹、前腕、手背へと広がり、この順番で消失する。多くの場合、発疹は、下行性に広がるが、上行性に広がることもある。
 発疹が現れている期間は、短いと3〜4日、長いと3週間、多くの場合は10日前後と言われる。大部分(63.6%)は、7〜10日間が、発疹が現れている(三宅)。
 リンゴ病の発疹は、いったん消えて、再び、現れることがある。発疹は、紅斑が消えた後も、温度変化、日光照射、精神的緊張により、再燃する。
 紅斑消退後は、色素沈着や落屑(らくせつ)は、見られない。

 参考文献
 ・西脇宗一:伝染性紅斑、小児感染病学III、330-338頁、新小児医学大系(全41巻) 第20巻C、小林登、多田啓也、薮内百治 責任編集、中山書店、1981年5月30日 第1刷発行.
 ・William C. Koch: Chapter 248 Parvovirus B19, 1357 - 1360, Nelson Textbook of Pediatrics (18th Edition, 2007).
 ・William C. Koch: Chapter 243 Parvovirus B19, 1094-1097, Nelson Textbook of Pediatrics (19th Edition, 2011).

 附記
 妊婦が、パルボウイルスB19(伝染性紅斑の原因ウイルス)に感染すると、胎児が浮腫んだり(胎児水腫)、流産を起こすことがある。
 妊娠前半期の感染の方がより危険と言われているが、妊娠後半期でも胎児感染は生ずると言われる。しかし、妊婦が、リンゴ病(伝染性紅斑)を発症しても、障害がなく、子供さんが生まれることも多いと言われる。
 妊婦が、発疹が出た場合、リンゴ病かどうかは、抗体(パルボウイルスB19 IgM)を調べれば判明する(保険適用が有る)。
 リンゴ病(パルボウイルス)に過去に罹って免疫があるかどうかは、パルボウイルスB19 IgG抗体を調べれば判明するが、保険適用が無い。

 症例の写真
 ・伝染性紅斑(リンゴ病)の症例写真
 上肢にレース様の発疹が見られる。

胎児水腫の症例写真
 帝王切開を行ったが、浮腫や胸水貯留が強く、救命出来なかった。

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