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 麻しん風しん混合予防接種

 麻しん(はしか)は、伝染力が強く、肺炎や急性脳炎を合併し、重症化し易い病気です。麻しんは、お母さんに免疫があれば、胎内で子供さんに免疫(麻しんに対する抗体)が移行するので、生後6カ月頃までは罹りません。お母さんからの免疫が残っていると予防接種の効果が十分に得られないので、麻しんの予防接種は、1歳過ぎから行われます。
 風しんは、母親が、妊娠中に罹患すると、子供さんが心臓や眼や耳に障害を持って生まれて来ることがあります(先天性風疹症候群)。
 麻しんや風しんは、予防接種で防ぐことが可能な病気ですが、1回接種しただけでは、一生は免疫が持続しないことがあります。その為、2006年4月1日から、麻しんと風しんは混合ワクチン(MRワクチン)で2回接種することになりました。混合ワクチンを接種する時期は、1歳〜2歳まで(第1期)と、小学校入学までの1年間(第2期)です。
 予防接種後24時間以内は、過激な運動はさせないで下さい。予防接種の副作用として、発熱(37.5℃以上)が接種9日後頃(接種4〜14日後)に見られることがあります(20%程度の頻度)。また、麻しん様の発疹が、現れることがあります(10%程度の頻度)。なお、接種数日後以内に、過敏症により、発疹、発熱が、現れることもあります(1〜3日間で治癒します)。高熱が続いたり、けいれん等の異常な症状が現れた場合には、診察を受けて下さい。
 卵アレルギーがあっても、強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こしたことがなければ、接種可能です(皮膚テスト不要)。今回、使用した会社のワクチンには、ゼラチンや水銀(チメロサール)は含まれていません。

 (2007年度版:無断転載を禁じます)
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 ・麻しん風しん混合生ワクチン(MRワクチン)を接種した場合、風しん生ワクチンウイルスが、接種1〜2週間後に、接種を受けた人(小児)の咽頭から、周囲に排泄されるが、周囲の風しん感受性者(風しんに免疫が無い妊娠中の母親など)に感染することはないと言われる。

 ・麻疹ワクチンは、副反応で発疹が現れることがあるが、ワクチン株ウイルスが、周囲の人に伝染することはない。
 風疹ワクチンは、ワクチン株ウイルスが、接種1〜2週間後に、接種を受けた人(小児)の咽頭から、周囲に排泄されるが、周囲の風疹感受性者(風疹に免疫が無い妊娠中の母親など)に感染することはない
 おたふくかぜの予防接種は、3週間程後に、副反応で耳下腺が腫れることがあるが、ワクチン株ウイルスが、周囲の人に伝染することはない。
 生ワクチンで、接種後にワクチン株ウイルスの周囲の人への感染が問題になるのは、ポリオ生ワクチンとロタウイルスワクチンだけと言われる(メーカー確認済み)。 

 ・MR混合ワクチン(麻しん風しん混合予防接種)は、緊急麻しん排除計画(平成20年度〜平成24年度)により、第3期(中学1年生相当年齢)、第4期(高校3年生相当年齢)にも、2回目の接種が行われた。
 緊急麻しん排除計画(平成20年度〜平成24年度)の終了により、平成25年度からは、MR混合ワクチンの接種は、第1期(生後1歳以上2歳未満)と、第2期(小学校入学前1年間)の、2回になる。

 ・MR混合ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)は、2013年7月現在、3製品が発売されている。
 イ.ミールビック:阪大微研、麻疹は田辺株(CAM株)、風疹は松浦株
 ロ.乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン「タケダ」:武田薬品工業株式会社、麻疹はシュワルツFF-8株、風疹はTO-336株
 ハ.はしか風しん混合生ワクチン「北里第一三共」:北里第一三共ワクチン株式会社、麻疹はAIK-C株、風疹は高橋株
 なお、麻しん生ワクチンは、千葉県血清研のTD97株があったが、2002年9月に閉鎖され、販売されていない。
 表1:MR混合ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の各製剤と効果
 医薬品名  乾燥弱毒生麻しん風しん
混合ワクチン「タケダ」
 はしか風しん混合生ワクチン
「北里第一三共」
 ミールビック
 麻疹
 ワク
 チン 
 株名  シュワルツFF−8株  AIK-C株  田辺株
 臨床試験(治験)   製造販売後臨床試験
 抗体陽転率  99.7%(HI法で8倍以上)  99.8%(NT法で4倍以上)  100%(NT法で4倍以上)3)  99.1%(NT法で4倍以上)
 99.1%(HI法で8倍以上)  89.8%(HI法で8倍以上)  97.7%(HI法で8倍以上)
 平均抗体価2)  6.8(HI法)  4.8±0.97(NT法)  6.1±1.3(NT法)  6.5±1.2(NT法)
 5.3±0.98(HI法)  4.5±1.1(HI法)   5.5±1.2(HI法)
 風疹
 ワク
 チン
 株名  TO−336株  高橋株  松浦株
 臨床試験(治験)  製造販売後臨床試験
 抗体陽転率  100%(HI法で8倍以上)  99.1%(HI法で8倍以上)  98.0%(HI法で8倍以上)  99.5%(HI法で8倍以上)
 平均抗体価2)  7.6(HI法)  6.0±1.06(HI法)  5.0±1.5(HI法)  6.0±1.4(HI法)
 副
 反
 応1)
 発熱(≧37.5)  20%程度  10%程度  27.3%  32.6%
 発熱(≧38.1)    4%  17.6%  15.6%
 発熱(≧39)  3%程度    5.9%  4.6%
 発疹  10%程度  8%程度  12.1%  12.2%
 ワクチンの色  帯赤色で澄明  無色で澄明  帯赤色で澄明
 製造工程でウシ血清の使用  有り   有り  有り
 製造  武田薬品  第一三共株式会社  阪大微生物病研究会
 発売  武田薬品  北里薬品産業株式会社  田辺三菱製薬株式会社
 1):乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン「タケダ」やはしか風しん混合生ワクチン「北里第一三共」は接種後5〜14日に現れた発熱や発疹の頻度。ミールびっきは、接種後30日間に現れた発熱(38.1℃以上と39.1℃以上)や発疹の頻度。
 2):接種後の抗体価は、接種後に陽性になった小児の抗体価の対数変換値(log2)の平均値±標準偏差を示している。
 3):ミールビックは、臨床試験(治験)では、NT法で8倍以上を陽性とすると、抗体陽転率は98.0%、接種後平均抗体価2n(平均値±標準偏差)は6.1±1.3。
 表2:麻疹の単独ワクチンの各製剤と効果
 医薬品名  乾燥弱毒生麻しんワクチン
「タケダ」
 はしか生ワクチン
「北里第一三共」
 ビケンCAM 
 株名  シュワルツFF−8株  AIK-C株  田辺株(CAM株)
 抗体陽転率  95%以上  98.0%(HI法)  98.6%
 平均抗体価  5.3(log2)  26.6  24.8
 副反応  発熱(≧37.5)  約20%イ)  15〜25%程度(19.6%  11.5%ニ)
 発熱(≧38.5)    10%以下   
 発熱(≧39)  約4%イ)    
 発疹  約12%イ)  10〜20%  3.4%
 ワクチンの色  帯赤色で澄明  無色で澄明  帯赤色で澄明
 製造工程でウシ血清の使用  有り  有り  有り
 製造  武田薬品  第一三共  阪大微研
 発売  武田薬品  ジャパンワクチン  田辺三菱製薬
イ):副反応の発熱は、接種後4〜14日、特に7〜12日を中心として現れる。37.5℃以上の発熱が約20%、39℃以上の発熱が約4%に、また軽度の発疹が約12%に認められた。その他の症状として、発熱に伴う咳、鼻汁、食欲減退、熱性痙攣等が見られた。発熱及び発疹の持続日数は、3日間以内が約80%を占めた。
ロ): 麻疹に対して免疫のない健康児に接種すると、5〜14日後、1〜3日間のだるさ、不機嫌、発熱、発疹等が現れることがある。特に、7〜12日を中心として15〜25%程度に37.5℃以上、10%以下に38.5℃以上の発熱が見られる。被接種者の内、10〜20%に軽度の麻疹様発疹を伴うことがある。発熱時に、咳、鼻汁が出て、食欲が減退することもあるが、これらの症状は、いずれも通常1〜3日で消失する。平均最高体温は38.1℃。発熱までの期間は、平均8.9日であり、有熱期間は平均1.8日。発疹出現率は20.0%。発疹の出現日は平均接種9.1日後。
ハ):69/70例。抗体の上昇が見られなかった1名は、再接種後も抗体上昇は見られなかった。
ニ):副反応の発熱は、接種して9〜12日後に現れることが多く、平均有熱期間は1.5日。発疹も同時期に現れ、平均持続日数は2.3日。
 表3:風疹の単独ワクチンの各製剤と効果(添付文書を引用し作成)
 医薬品名  乾燥弱毒生風しん
ワクチン「タケダ」
 乾燥弱毒生風しんワクチン
「北里第一三共」
 乾燥弱毒生風しんワクチン
「ビケン」 
 株名  TO−336株  高橋株  松浦株
 抗体陽転率  95%以上(HI法)a)  93.9〜100%(HI法)c)  91.3〜98.6(HI法)
 平均抗体価  6.0以上(log2)a)  6.2〜6.4(2nc)  4.7〜5.6(2ne)
 副反応  発熱(≧37.5)  2%前後b)  0%d)  極めて少ないf)
 発熱(≧38.5)    
 発熱(≧39)    
 発疹  軽度の発疹が1%未満b)  0%d)  極めて少ないf)
 ワクチンの色  帯赤色で澄明  無色で澄明  帯赤色で澄明
 製造工程でウシ血清の使用  有り  有り  有り
 製造  武田薬品  第一三共  阪大微研
 発売  武田薬品  ジャパンワクチン  田辺三菱製薬
 a):抗体の持続性は、約17年の長期間持続することが確認されている。
 b):接種後の小児に、37.5℃以上の発熱が2%前後、軽度の発疹が1%未満に認められた。また、青年女子には、発熱、発疹のほか、リンパ節の腫脹及び関節痛を認めた。なお、ワクチン接種後3週間以内に、約20%の被接種者の咽頭拭い液からウイルスが認められたが、閉鎖集団小児への接触感染の有無が調査された結果、接触小児(120例)への感染は認められていない。1. 過敏症(0.1%未満) 接種直後から数日中に、過敏症状として、発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱等があらわれることがある。2. 全身症状(0.1〜5%未満) 接種後、発熱、発疹を認めることがあるが、通常、一過性で2〜3日中に消失する。3. 局所症状 接種後、1〜2週間前後に頸部その他のリンパ節の腫脹、関節痛などの症状を認めることがある。これらの症状は一過性で、通常、数日中に消失する。発赤、腫脹、疼痛等が接種部位にあらわれることがある。
 c):閉鎖小児(乳児院等の小児)に接種した場合、抗体陽転率は93.9%で、平均抗体価は26.4。開放小児(外来等の小児)に接種した場合は、抗体陽転率は100.0%で、平均抗体価は26.5。青年女子に接種した場合は、抗体陽転率は100.0%で、平均抗体価は26.2
 d):青年女子で関節痛が1/435例にのみ認められている。風しんワクチン(高橋株)接種後の臨床反応として発熱、発疹、リンパ節腫脹はきわめて少なく、関節痛も小児には認められず、青年女子でも0.2%(1/435)程度であった。1. 過敏症 接種直後から翌日に過敏症状として、発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱があらわれることがある。2. 全身症状 発熱、発疹、頸部その他リンパ節の腫脹、関節痛などの症状を認めることがあるがこれらの症状は一過性で、通常、数日中に消失する。3. 局所症状 発赤、腫脹、疼痛等が接種部位にあらわれることがある。通常、一過性で2〜3日中に消失する。
 e):閉鎖小児(1〜14歳)(乳児院等の小児)に接種した場合、抗体陽転率は91.3%で、平均抗体価は25.7。開放小児(1〜14歳)(外来等の小児) に接種した場合は、抗体陽転率は98.6%で、平均抗体価は25.5。青年女子(15〜21歳)に接種した場合は、抗体陽転率は97.8%で、平均抗体価は24.7
 f):青年女子(15〜21歳) 184例中、発熱が3例、リンパ節腫脹が2例、関節痛が3例認められている。風しんワクチン(松浦株)接種後の臨床反応としての発熱、発疹、リンパ節腫脹はきわめて少なく、関節痛は小児では認められず、青年女子で5%以下であった。1. 過敏症:接種直後から数日中に発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱等があらわれることがある。 2. 全身症状:発熱、発疹、頸部その他のリンパ節の腫脹、関節痛等の症状を認めることがあるがこれらの症状は一過性で、通常、数日中に消失する。 3. 局所症状:発赤、腫脹、疼痛等が接種部位にあらわれることがある。

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