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柑橘類の種と実生苗
2015年冬から2015春にかけて購入した柑橘類の種を、蒔いて、育てて見た。
なお、柑橘類の種は、赤玉土に蒔くと、発芽率が低かったり、発芽や成長が遅かったりするので、培養土に蒔いた方が良い。
アフォーラマンダリン
イヨカン(伊予柑)
温州みかん
オレンジ
河内晩柑
カラタチ(枳殻)
カラマンダリン
甘平
清見
グレープフルーツ
サンクイーン
せとか
せとみ
デコポン
南津海(なつみ)
ニューサマーオレンジ
ハッサク(八朔)
はるか
はるみ
紅甘夏
ポンカン
柚子(ゆず)
実生苗は、夏を過ぎても(9月4日になっても)、アフォーラ(49mm)、グレープフルーツ(28.5mm)、ハッサク(24.5mm)、柚子(41.5mm)、紅甘夏(27.5mm)、せとみ(19.4mm)は、樹高が伸びていたが、イヨカン(21mm)、カラタチ(22.5mm)は、樹高の伸びが悪くなっていた。
清見(きよみ)は、種無しだが、他家受粉して種が入っていることがあった。甘平(かんぺい)は、種無しだった。
なお、登録品種に関して、農林水産省食料産業局新事業創出課(03-3502-8111)に問い合わせて見たが、業として利用(増殖、譲渡、輸出入)するのは違法だが、個人が、趣味で、購入した柑橘類の種苗を自家増殖することは、問題ない(他人に譲渡してはいけない)とのことだった。
柑橘類の実生苗でも、紅甘夏の実生苗は、1年生でも、カラタチの実生苗と同様に、接ぎ木の台木に用いると、穂木の活着成功率が高かった。イヨカンの実生苗やグレープフルーツの実生苗も、良く、穂木が活着したが、柚子の実生苗は、あまり、活着が成功しなかった。耐寒気温は、甘夏みかんやポンカンや清見や日向夏やセミノールやデコポンや河内晩柑はマイナス3℃まで、イヨカンやハッサクやネーブルはマイナス5℃まで、柚子や温州みかんはマイナス7℃までと言われる。
ニューサマーオレンジは、柚子の系統の偶発実生苗と言われるが、柚子の実生苗と異なり、ニューサマーオレンジの種は扁平で、実生苗は、先に、根が長く伸び、後で、幹(茎)が伸びる(柚子の実生苗は、最初から、幹が長く伸び、根は短い)。これは、ハッサク(八朔)や紅甘夏の実生苗の伸び方に似ている。カラタチやサンクイーンも、根が先に長く伸び、後に幹が伸びるが、種は、ニューサマーオレンジと異なり、扁平でなく、球状に近い。
カラマンダリン、ハッサク、はるか、紅甘夏は、最初に葉が生えるまでの幹が長く、その後は、節間が短く伸びる。
柑橘類の種は、先端が尾状の部分(果肉の中心部側)から根や幹が生え、先端が丸い側に子葉の先端が入っている。
種は、横向きに寝かせて蒔いた方が自然に近く、殻が剥がれ易い。種の細く尖った側を下側にして垂直に立てて蒔くと、根が真っ直ぐに伸びて、根と幹との境が屈曲しないようだ。はるかの種
注1:多胚性品種の種からは、親品種と同じ形質を持つ珠心胚実生苗と、受精胚由来の交雑実生苗とが生える。単胚性の種からは、親品種とは異なる、受精胚由来の交雑実生苗が生える。
表1 実生苗の比較 品種 種の数 胚数注1 成長 その他 アフォーラマンダリン 有 多胚 中等度 新梢の先端が傷んだり、根が曲がって伸びる。 イヨカン(伊予柑) 多い 単胚 速い 種は扁平で、最初から、幹が長く伸びる。単胚だが、他家受粉して出来た受精胚(交雑胚)。 温州みかん 非常に稀 多胚 遅い 1本だけ実生苗が生えることが多い。 オレンジ 稀 多胚 遅い 成長が遅い。幹の方が根より先に長く伸びる。 河内晩柑 稀 単胚 速い 種は単胚性で雑種胚(親品種と異なる受精胚由来の交雑実生苗)。最初、根が長く伸びる。 カラタチ(枳殻) 多い(豆状) 多胚 大変速い 最初、根が長く伸びてから、幹が伸びる。多胚性だが、1本だけ実生苗が生えることが多い。 カラマンダリン 非常に多い 多胚 遅い 最初、根は長く伸びるが幹は短い傾向がある。 甘平 極稀 多胚 大変遅い 最初、根の方が伸る。根に対して、幹が傾斜して伸びてしまうことが多い。 紀州小みかん 有り 単胚 遅い 無核の苗もある。 清見 稀 単(二)胚 速い 他家受粉して種が出来る(親品種と異なる受精胚由来の交雑実生苗)。最初、根が長く伸びる。 グレープフルーツ 少ない 多胚 速い 種は大きい。新梢の先端は傷まない。葉に縮み模様が現れることがある。 サンクイーン 多い 単胚 遅い 発芽が遅かった。最初、根は長く伸びるが、新梢(幹)は短い。 せとか 稀 多胚 遅い 清見と同じく雄性不稔。他家受粉して種が出来る(親品種と同じ形質の珠心胚+受精胚)。幹が細い。 せとみ 無〜多い 多胚 中等度 種は、他家受粉して出来る(親品種と同じ形質を持つ珠心胚+受精胚)。殻に割れ有り。 デコポン 無〜小 多胚 遅い 種は、他家受粉して出来る(親品種と同じ形質を持つ珠心胚+受精胚)。根が長く、幹が細い。 南津海(なつみ) 非常に多い 多胚 遅い 最初、幹の方が根より長く伸びる。根や幹が細い。 ニューサマーオレンジ 多い〜無 単胚 速い 柚子と異なり、ニューサマーオレンジの実生苗は、最初、根が長く伸び、幹は後から伸びる。 ハッサク(八朔) 多い 単胚 中等度 最初、根が長く伸びる。幹は、最初に葉が生える部位までは長いが、その後は、節間が短く成長する。 はるか 多い 単(二)胚 中等度 幼若な時期は、葉の先端が萎れてしまうことがある。根や幹は細いが長い。細根も発達。 はるみ 無〜有 多胚 遅い 種は、自家交雑胚。種は丸っこい。殻に割れ有り。雄性不稔ではない。 紅甘夏 多い 多胚 中等度 種は扁平。最初、根が長く伸び、幹は後から伸びる。 ポンカン 多い 多胚 中等度 鉢植えだと、1年で樹高が55cm程に成長。露地植えでも、比較的、寒さに強く越冬出来た。 柚子(ゆず) 多い 多胚 速い 露地植えでも越冬出来るが、意外に寒さに弱い。接ぎ木の台木にも使える。
表2 実生苗の比較 品種 最初の葉までの幹長 葉の先端 鋸歯 葉柄 翼葉 節間 刺 根量 その他 アフォーラマンダリン 短い 鋭 有り 短い 細い 普通 有り 普通 根が屈曲し易い。鋸歯が有る。 イヨカン(伊予柑) 長い 鈍〜鋭 有り 長い 太い 短い 有り 多い 節間は成長すると長く伸びる。 温州みかん 普通 鈍 有り 普通 細い 普通 無し 少い 比較的、耐寒性あり。 オレンジ 長い 鋭 有り 長い 細い 普通 無し 普通 成長がかなり遅い。 カラタチ(枳殻) 長い 丸 有り 長い 太い 長い 有り 多い 細根が多い。 カラマンダリン 普通 鋭 有り 普通 細い 短い 無し 普通 葉の緑色が濃い。 甘平 短い 丸 有り 短い 細い 短い 有り 少い 成長が遅く、幹と根の境が酷く屈曲する。 紀州小みかん 普通 鋭角 有り 短い 無し 普通 無し 少い 成長が遅い。 清見 普通 丸〜鋭 有り 短い 細い 普通 無し 普通 最初に根が伸びる。 グレープフルーツ 普通 鈍〜丸 有り 長い 太い 普通 有り 多い 太い根が多い。 サンクイーン 長い 鋭 有り 長い 細い 普通 無し 多い 太い根が多い。 せとか 普通 鋭 有り 普通 細い 普通 有り 少い 細く、成長が遅い。 せとみ 普通 鈍〜鋭 有り 普通 太い 普通 有り 多い 細根も多い。 デコポン 普通 鈍〜丸 有り 長い 細い 普通 無し 多い 成長が遅い。 南津海(なつみ) 長い 鈍 有り 長い 太い 普通 無し 少い 細根が少ない。 ニューサマーオレンジ 長い 丸 有り 長い 無し 普通 有り 多い 幹は細い。 ハッサク(八朔) 長い 鈍〜丸 有り 長い 太い 短い 有り 多い 節間は成長すると長く伸びる。 はるか 長い 鈍 有り 長い 細い 長い 有り 少い 幹は細い。刺が長い。 はるみ 普通 鋭 有り 普通 細い 普通 有り 多い 葉の緑色が濃い。 紅甘夏 普通 鋭 有り 長い 太細い普通 有り 多い 幹は太く、波状に伸び、刺は長い。 ポンカン 普通 鈍 有り 短い 細い 普通 有り 多い 耐寒性あり。 柚子(ゆず) 長い 鋭 有り 長い 太い 普通 有り 多い 成長が速く、幹が太くなる。
実生苗は、鉢植えで育てると、成長が速く、結構、樹高が伸びる。実生苗は、1年以内に、50cm以上の伸びる実生苗もあり、カラタチの台木に接ぎ木するよりも、成長が速いので、接ぎ木でないので、根から十分な栄養が補給され、本来の味や風味などがある実を収穫出来る可能性がある。
アフォーラマンダリン1a(左)と柚子1
表3 実生苗の樹高の比較:2015年9月17日測定。発芽月日は、発芽していて鉢に移植した月日を記した。
種類 用土 鉢 樹高(mm) 幹の径(mm) 発芽月日 アフォーラマンダリン1a ハイポネックスの培養土 4号ロング型スリット鉢 50.7 4.34 12月24日 イヨカン2 ハイポネックスの培養土 4号ロング型スリット鉢 21.2 4.90 4月9日 グレープフルーツ1 ハイポネックスの培養土 4号素焼き鉢 28.3 4.33 4月10日 ハッサク3 カインズの培養土 4号スリット鉢 27.4 4.71 4月23日 柚子1 みかんの土 4号スリット鉢 46.5 4.96 2月14日 カラタチ実生苗5 カインズの培養土 5号スリット鉢 24.5 4.10 5月18日 紅甘夏1 カインズの培養土 5号スリット鉢 25.8 4.10 5月5日 紅甘夏4
カインズの培養土 5号スリット鉢 30.7 3.84 5月26日 せとみ1
ハイポネックスの培養土 4号ロング型スリット鉢 20.5 3.95 5月10日 せとみ3
みかんの土 4号ロング型スリット鉢 21.5 3.66 5月23日 せとみ5
ハイポネックスの培養土 4号ロング型スリット鉢 12.8 2.91 5月30日 清見3 カインズの培養土 3号素焼き鉢 6.7 1.69 8月20日 河内晩柑1 カインズの培養土 3.5号素焼き鉢 5.3 1.48 9月10日
柑橘類の種は、水に浮く種もあれば、沈む種もあるが、水に浮く種は、皮を剥がすと水に沈んだ。
アフォーラマンダリン
アフォーラマンダリンは、種有り。アフォーラマンダリンを、放射線照射により不稔性にして品種改良して出来た種無しの品種が、ダブルマーコットのタンゴ(Tango Mandarin)。
アフォーラマンダリンはオーストラリア産なので10月頃から販売され、タンゴは米国産なので3月頃から販売される。
アフォーラマンダリンの種は、多胚性(二胚が多い)。ダブルマーコットのアフォーラマンダリン(W. Murcott Afourer mandarin)の穂木の芽に、放射線を照射して作った種無しの変異株が、タンゴ(Tango、キューティーズ)。マンダリンオレンジは、ミカン属の柑橘類(学名:Citrus reticulata)。
アフォーラマンダリンの実生苗は、根が、曲がって伸びたり、二股になったりしまうことがある。
幼若な時期は、葉の先端が萎れてしまうことがある。
地上部の葉の発達などは、ポンカンに似ている。
アフォーラの葉は、先端が尖っておらず、葉柄は長くなく、翼葉も細い。葉の辺縁はギザギザしていて、鋸歯がある。
イヨカン(伊予柑)
イヨカン(伊予柑)の実生苗は、最初から、幹(茎)が長く伸びる。ハッサク(八朔)は、イヨカンに似ているが、最初、根が長く伸びる点がイヨカンと異なる。イヨカンもハッサクも、単胚性。
イヨカン、ハッサク、グレープフルーツの実生苗は、幹の地表から最初に葉が生える部位までの長さが長いが、その後は、節間が短く成長する。
イヨカン(伊予柑)の種は単胚性で、1つの種から1つの実生苗しか生えて来ない。イヨカンは、自家受粉しない訳でなく受粉樹は不要だが、イヨカンの種に含まれる胚は、イヨカンの樹(苗)が育っている畑の周囲にある別の柑橘類の花粉が受粉した受精胚であり、交雑実生苗(親品種と違う形質を持つ実生苗)が育つ。近年、伊予柑の単胚性を用いた品種改良が試みられ、愛媛県では20000種くらい作って見たが、商品価値のある品種は産まれていないとのこと。このページには、「イヨカン(伊予柑)の実生苗」として記載したが、正確には、「イヨカンの種から生えた実生苗」=「イヨカンの樹が育っている畑の周囲にある別の柑橘類の花粉が受粉した受精胚由来の実生苗」であり、本来のイヨカンの苗と違っているようだ。例えば、イヨカンの葉は、葉柄に翼葉はないが、「イヨカンの種から生えた実生苗」の葉柄には翼葉が見られた。イヨカン(伊予柑)の実生苗は、節と節の間が短く伸び、葉の幹との付着部に大きな腋芽が付く。刺はある場合と、無い場合とがある(蒔いた種により異なる)。
温州みかん
温州みかんは、本来は種が無い(無核)だが、畑の周囲に他の柑橘類を栽培してあると、その柑橘類の花粉が受粉して種が出来ることがある。その場合、種は、多胚性で、親品種と同じ形質を持つ珠心胚実生苗(多い)と、受精胚由来の雑種実生苗(1つ)とが生えると言われるが、実際には1本の実生苗しか生えないことが多い。オレンジ
2015年9月4日、バレンシアオレンジ(紀伊国屋文左衛門本舗から購入:回青現象で外果皮が緑色:7月14日から赤玉土小粒を入れたポットに蒔いた)の種が、ようやく、1つだけ発芽していた。二胚だったが、1つの胚はかなり小さかった。バレンシアオレンジの実生苗は、最初、根より幹の方が長く伸びていた。
11月12日、カラタチ台木Aの鉢に9月4日に移植してあったオレンジの実生苗は、成長が遅いが、カインズの培養土だと、細根が水平方向に伸びていた。
オレンジの実生苗は、葉の先端が尖っていて、葉柄は長く、翼葉は幅が狭い。
河内晩柑
2015年8月24日、6月に購入した河内晩柑の最後の1つに、2つだけ種が入っていた。種は水に沈むが、1つの種は浮き気味。カインズの培養土を入れた素焼き鉢に蒔いた。
河内晩柑は、文旦(ぶんたん)の一種で、昭和10年に、熊本県河内町で偶然に発見された。
文旦の仲間は、ハッサク、イヨカンなどと同様に種の中の胚の数が1つで単胚(雑種胚)だと言う。 9月10日に、脇に蒔いた種(浮き気味だった小さい方の種)が発芽していた。河内晩柑の実生苗は、最初、根が長く伸びて、茎は短い。大きくなりそう。殻には赤色に変色した部位がある。河内晩柑の実生苗の葉は、先端が丸い。幹が長く伸びてから、節間が短く新葉が生えるようだ。幹や根の成長が速い。根は、長く伸びる。
アゲハの幼虫に食われてしまった
カラタチ(枳殻)
カラタチの実生苗は、まず、根が地下に長く伸びた後に、幹が伸び始める。これは、ハッサク(八朔)の実生苗に似ている。
カラタチの実生苗も、幼若な時期は、葉の先端が萎れ、成長が止まってしまうことがある。10月29日、庭の畝に移植してあったカラタチ実生苗を抜いて見たが、特に、地表近くに細根が横方向に多数、伸びていた。樹高は、27cm程だが、葉は寒くなり黄色になって来ていた。
カラマンダリン
カラマンダリン=尾張系温州みかん♀×キングマンダリン♂
カラマンダリンは、種が多い。種は、先端が尖っていたり球状で、水に浮く種が多いが、水に沈む種もある。
カラマンダリンの実生苗は、最初、根が長く、幹(地上部)は細い。
多胚性のことがあり。カラマンダリンの葉は、先端が尖っている。葉柄は長くなく、翼葉も幅が細い。
カラマンダリンの実生苗は、スリット鉢で育てても、細根が良く発達していて、根量が多い。
カラマンダリンは、最初の葉が生えるまでの幹が長く、その後は、節間が短く成長する。葉の先端が尖っている。
カラマンダリンは、成長する幹の先端が萎れると、新しい腋芽から幹が分岐するようだ。
甘平(かんぺい)
甘平は、種なしの品種だが、稀に、種が入っていることがある。
甘平の種は、多胚性で、親品種と同じ形質の珠心胚(珠心胚実生:クローン:大きい方)と、受精胚(雑種実生苗:受精胚実生:小さい方)とが含まれている。
甘平(かんぺい)=西の香{清見(宮川早生×トロビタオレンジ)♀×トロビタオレンジ♂)}♀×ポンカン♂
2016年1月20日、12個購入した甘平に、小さな種が1つ入っていて、水に浮いた。4号スリット鉢にカインズの培養土を入れて、蒔いた。 2月1日、年末にヤフオクで購入した甘平の1つ(冷蔵庫にビニール袋に包んで保存してあった)に、種が1つ入っていた。 2月23日、9個購入した甘平に、種が、1つ入っていた。1cm程あり、先端(芯側)が尖っていた。水に浮いた。素焼き鉢にカインズの培養土を入れて蒔いた。種は、全部で3つ。 3月8日、甘平の種が発芽し、緑色の部位が現れていた。黒色になった殻をピンセットで剥がして見た:線虫が動いていた:少なくとも、2本、胚があり、新梢が伸びて来ていた。1本の新梢の先端は変色し、もう1本の新梢の先端は変色していなかった。
5月2日、LEDライトを先端から30cmに短くして照射していたら、葉の先端が焼けてしまった実生苗もあった。5月8日、甘平の実生苗は、成長が遅い。 5月21日、甘平の実生苗は、幹と根の境が、かなり屈曲して伸びる。甘平B
甘平C 甘平B 5月27日、甘平の実生苗の甘平Bは、4号のスクエア型のスリット鉢で育てていたが、白い根が長く伸びていて、細根も増えていた。幹が、根との境に近い部位が、屈曲していた。5月27日、甘平Cは、3胚性で、3つの実生苗が生えて来ていた。一番長い実生苗は、幹と根の境部位が、深く埋まっていた。甘平Cには、刺があった。 スリット鉢で日光にあてて育てた甘平Bの方が、素焼き鉢でLEDライトを照射して育てた甘平Cよりも、細根が発達していた。
7月17日、5月27日に甘平の実生苗(甘平C)をカラタチの実生苗(2年生:カラタチ台木D)に接ぎ木したが、活着して、樹高が伸びて来ている:この甘平の実生苗は、刺が長い:カラタチの台木の幹も含めて地表からの樹高は、7月5日には8.7cmだったが、7月17日には17.3cmある:実生苗で育てている別の甘平の実生苗(甘平)の樹高は、7月5日には7.6cmで、7月14日には8.2cmに伸びたに過ぎない:甘平の実生苗も、カラタチの台木に接ぎ木した方が成長が良い。 紀州小みかん
2014年 11月20日、11月4日に移植した小みかんの実生苗を抜いて見た。苗の能力では、B胚の鉢(ハイポネックスの培養土)>A胚の鉢(果樹・柑橘の土)>C胚の鉢(カインズの培養土)の順に成長が良いはずだった。地上部の成長は、苗の能力では、A胚の鉢(果樹・柑橘の土)>C胚の鉢(カインズの培養土)>B胚の鉢(ハイポネックスの培養土:枯れて来ていた)の順に成長が良かった。根の成長は、C胚の鉢(カインズの培養土)>A胚の鉢(果樹・柑橘の土)>B胚の鉢(ハイポネックスの培養土:枯れて来ていた)の順に成長が良かった。根は、C胚の鉢(カインズの培養土)の方が、A胚の鉢(果樹・柑橘の土)より、真っ直ぐに太く伸びていたが、移植した際に、根が伸びていなくて、短かったことが理由で、カインズの培養土の方が根の成長に適しているからではないと思われた。どの苗も、双葉部分が殻で覆われていた。種は、発芽(発根)した後に、植替えたりしない方が、順調に根などが伸びるようだ。2015年1月4日、4号スリット鉢(果樹・柑橘の土:鉢底に日向土を敷いた)に移植してあった、紀州小みかん(種有り)の実生苗は、幹の先端までの樹高が3cm(葉先まで4.5cm):根は長く伸びていたが、分岐が少なく、細根は殆ど生えていなかった。 清見
清見タンゴール(清見、清見オレンジ)=宮川早生(温州みかんの枝変わり品種)♀×トロビタオレンジ♂
2015年7月31日、低温貯蔵・清見タンゴール6kg ★(愛媛西宇和みさき産)を落札。
落札価格:110円
送料(ヤマト運輸クール宅急便100サイズ):1512+324=1836円
計:1946円
8月4日、到着。30個入っていた。大きな清見も入っていた。外果皮は、黒く変色し、やや萎んでいた。味は、甘味が少なく、酸っぱかった。
種が入っている清見があり、赤玉土小粒を入れて素焼き鉢に蒔いた。清見は、単胚性品種なので、唯一の受精胚からは、受精胚由来の交雑実生苗(新種)のみが生える。清見の交雑して出来る種は、扁平で大きい。
清美は、雄性不稔。他家受粉して種が出来る(親品種と異なる受精胚由来の交雑実生苗)。最初、根が長く伸びる。
清見の種は、沈む種が多いが、浮く種もある。
8月5日から、3号素焼き鉢(赤玉土小粒)に蒔き始めた清美の種が、8月19日に、発芽し始めていた。清美の実生苗は、最初、根が長く伸びる。3号素焼き鉢に、カインズの培養土の培養土を入れて、移植。
清見は、根が先に長く伸び、殻を被った双葉の間に幹(新梢)の先端が形成されている。
8月24日、新梢が大分、伸びて来た。
清見1
清見は、他家受粉して種が出来る(親品種と異なる受精胚由来の交雑実生苗)が出来る。
清見の種は、通常は、単胚性だが、二胚入っていた種があった。愛媛県農産園芸課に問い合わせたら、稀に、多胚性の種も出来るとのこと。 ブンタン等の種は、略100%単胚だが、清見と同様に、僅かだが、多胚の種を作る品種もあるとのこと。
清見の実生苗は、成長が速い。清見の実生苗の葉は、先端が丸く尖っておらず、葉柄は短く翼葉は殆どない。
清見の実生苗は、地表近くにも細根が伸びていた。
清見の実生苗は、最初の葉が生えるまでの幹が長く、その後は、節間が短く伸びるようだ。素焼き鉢で育てた清見の実生苗は、太い根も、細根も、発達していた。グレープフルーツ
グレープフルーツの種は、多胚性で、1つの種から2つの実生苗が生えることが多い。
この場合、親品種と同じ形質を持つ珠心胚実生苗と、受精胚由来の雑種実生苗とが生える可能性がある。
グレープフルーツの実生苗は、最初から、幹も根も長く伸びる。根は太い。
グレープフルーツは、最終的には、樹高が15m程になるそうだが、実生苗の成長は、柚子やカラタチの方が速い。グレープフルーツの実生苗は、成長が良く、樹高が速く伸びる。ポンカンの実生苗と同様に、グレープフルーツの実生苗は、節と節との間は、長く伸びる。葉柄は長く、翼葉の幅も太い。刺がある。
上の写真の下側2苗(12日後)
2016年6月9日、グレープフルーツの実生苗は、種の尖った側を下側にして蒔いても、幹と根の境が屈曲してしまう。
10月26日、グレープフルーツの一年生の実生苗の先端に開花している。サンクイーン
セミノールのこと。
セミノール(サンクイーン)=ダンカングレープフルーツ×ダンシータンジェリン
果皮は剥き易い。内果皮がこぶくろ(じょうのう)と癒着していて、果皮を剥く際にこぶくろが潰れ易い。
甘いが、結構、酸っぱい。果汁が多い。臭いは、苦味があるような臭いで好みでなかった。
普通の温州みかんより、大きい。
種は多い。種は沈む種が多いが、浮く種もあった。
2015年4月28日に赤玉土小粒を入れたポットに蒔き、6月4日にようやく1つ発芽した。
セミノールの実生苗は、細く、最初、根は長いが、幹は短い。6月20日、庭の畝に蒔いたサンクイーンの種も発芽して成長していた。細根の発達は少なく、根量は少なく、根の長さに比して、幹も長く伸びていた。
サンクイーンは、葉の先端が丸く、辺縁にギザギザが有り、鋸歯が有る。葉柄は短く、翼葉の幅は細い。
サンクイーンは、最初の葉が生えるまで、幹が長いが、その後は、節間は普通に長く伸びる。
サンクイーン1
サンクイーン2
せとか
せとか=清見タンゴール(宮川早生×トロビタオレンジ)×アンコール(キング×地中海マンダリン)×マーコット(みかん類×オレンジ類)
マーコット=みかん類×スイートオレンジ(タンゴールの一種:名前は苗木商のマーコット・スミスに由来)
せとかは、種無しのことが多いが、少数、場合によっては、多数の種が入っていることがある。
せとかも、畑の周囲に別の柑橘類が植えてあると、別の柑橘類の花粉が他家受粉して、種が出来ることがある。
せとか=清見タンゴール(宮川早生×トロビタオレンジ)×アンコール×マーコット
せとかは、清見と同じく雄性不稔だが、多胚性品種で、多胚性品種の種からは、親品種と同じ形質を持つ珠心胚実生苗(複数)と、受精胚由来の交雑実生苗(1つ)とが生える。
せとかの実生苗は、4つくらいの胚が生えて来ることもある。
せとかの実生苗は、最初は、幹が細い。別のせとかに、種が1個だけ入っていた。
別の生産者から購入してせとかには、多数の種が入っていた。せとかの種は、せとみの種より小型で、球状で尾があり、ポンカンの種に似ている。水に浮く種が多いが、沈む種もある。
はやり、尾状の細く尖った側の殻が破れて、発根したり幹が伸びて来る。
せとかの実生苗は、根は長く伸びるが、細根は少ない。根や幹が細い。
せとみ
せとみ(ゆめほっぺ)=清見(宮川早生×トロビタオレンジ)×吉浦ポンカン
せとみは、本来は、清見と同様に種無し(無核)の品種だが、近くの畑で栽培されている別の柑橘類の花粉が受粉して、多くの種が含まれていることがある。せとみの種は、多胚性で、種からは、親品種と同じ形質を持つ珠心胚実生苗と、受精胚由来の雑種実生苗とが生えるようだ。
せとみの種は、殻が破れて、中の薄緑色の胚が見えることがある。
せとみの種は、水に沈む種が多いが浮く種もある。
せとみやはるみは、保存中に果肉の中で殻が破れて、種の発芽が始まっていることがある。そのような種は、殻が破れた部位を上にして蒔くと、1週間程後には、下の方向に根が伸びる。殻が破れた部位を下にして蒔くと、根は上の方向に伸びるようだった。
せとみの種は、多胚だが、2胚までの種が多い。
せとみの実生苗は、アフォーラマンダリンの実生苗と同様に、せとみの実生苗も根が曲がって伸びてしまうことがある。せとみの実生苗は、葉が幅広く、先端が尖っておらず(成長すると尖って来る)、葉柄に翼葉が無い(成長すると翼葉が太くなる)。
鉢植え(ハイポネックスの培養土、3.5号素焼き鉢、鉢底石無し)で育てたせとみの実生苗は、根量が多く、スリット鉢でなく素焼き鉢で育てて為に、根が横方向にも伸びていた。鉢植えでなく、庭の畝に蒔いて育てたせとみの実生苗は、根は長いが、細根が殆どなく、根量が少なかった。 せとみの実生苗の葉は、先端があまり尖っておらず、幅が広く、葉柄に翼葉がある。
素焼き鉢に、ハイポネックスの培養土を入れて栽培すると、根量が多く、横方向にも伸びる。
せとみの実生苗の根は、屈曲し易い。
素焼き鉢、ハイポネックスの培養土、鉢底石有り
せとみの実生苗は、太い根が、鉢底に向かって、多数伸びる。
デコポン
デコタンゴール(デコポン、不知火)=清見タンゴール(宮川早生×トロビタオレンジ)♀×中野3号ポンカン♂
デコポンは、稀に種が入っていることがある。デコポンの実生苗の成長は、ゆっくりで、あまり、樹高が伸びて来ない。デコポンの葉は、先端が丸く、葉は幅があり、葉の辺縁がギザギザしていて、鋸歯が有る。葉柄は長いが、翼葉の幅は狭い。
蒔いて13日後
デコポンの実生苗は、素焼き鉢で育てたので、根鉢の周囲にも根が張っていて、根量が多かった。
南津海(なつみ)
南津海(なつみ)=カラマンダリン(尾張系温州みかん♀×キングマンダリン♂)♀×吉浦ポンカン♂
南津海の種は、カラマンダリンに似て、球型に尾があるような形状をしている。水に浮く種が多いが、水に沈む種もある。
種が小さいこともあり、実生苗は、根や幹が細い。
南津海の実生苗は、根が長いと幹は短く、幹が長いと根は短くなるようだ。
南津海の実生苗の葉は、幼少な時期は、先端は丸く尖っておらず(成長すると尖って来る)、葉柄の翼葉は長く、幅もある。実生苗を抜去すると、南津海の根は幹に比して長く、培養土(ハイポネックスの培養土)で育てても、細根は発達していない苗が多いが、根の先端に細根が発達して根量が多い苗もあった。幹が成長の始めに萎れて潰れてしまうと、下の腋芽から幹が伸び来る(はるかの実生苗に似ている)。南津海の実生苗の葉は、先端がやや尖っていて、葉柄は長く、翼葉は幅がある(8月12日)。
ニューサマーオレンジ
ニューサマーオレンジ=柚子の系統の偶発実生
ニューサマーオレンジ(日向夏)=柚子の系統の偶発実生
と言われて来たが、近年、農研機構果樹茶業研究部門カンキツゲノムユニットの清水徳朗様によると、日向夏(ニューサマーオレンジ)は、柚子(ユズ)の系統ではなく、橘(タチバナ)の系統とのこと。日向夏(ニューサマーオレンジ)は、橘(タチバナ)の内、タチバナB(花粉親)の花粉が、現在は不明の柑橘類(種子親)に、受粉して誕生した品種とのこと。
ニューサマーオレンジは、日向夏(ヒュウガナツ)、小夏、土佐小夏などとも呼ばれる。
ニューサマーオレンジは、多数の扁平な種が入っていることがある。
ニューサマーオレンジの種は、水に沈む種が多いが、水に浮く種もある。ニューサマーオレンジは、柚子の系統の偶発実生と言われるが、柚子の種と異なり、種の表面には皺が多い。
ニューサマーオレンジの実生苗は、根が先に長く伸び、後に幹が伸びる。これは、ハッサク(八朔)の実生苗に似ている。ニューサマーオレンジは、柚子の系統の偶発実生苗と言われるが、柚子の実生苗は、最初から、幹が長く伸び、根は短い。ニューサマーオレンジの種
柚子の種
ニューサマーオレンジの種は、水に沈み、ハッサクの種は、水に浮く。
ただし、ニューサマーオレンジの種は、水に沈み、ハッサクの種は、水に浮く点が異なっていた。
なお、はるかはニューサマーオレンジ(日向夏)の偶発実生苗だが、はるかの実生苗は、根が先に長く伸びる実生苗よりも、最初から幹が長く伸びる実生苗が多いようだった(はるかの種もニューサマーオレンジと同様に扁平で、水に沈み、単胚性の実生苗が育つ)。
表2 根が先に長く伸び、後に幹が伸びる実生苗の種の比較 形状 水に浮くか 胚の数 カラタチ 球状 (沈む) 多胚 サンクイーン 球状 沈む 単胚 ニューサマーオレンジ 扁平 沈む 単胚 ハッサク(八朔) 扁平 浮く 単胚 紅甘夏 扁平 浮く 多胚
ニューサマーオレンジの実生苗は、葉の先端は丸く尖っておらず、葉柄に翼葉がない。鋸歯が有る。
ニューサマーオレンジの実生苗は、根が幹に比して長い。細根は少ない。
4号素焼き鉢にハイポネックスの培養土(鉢底石に日向土小粒を敷いた)で栽培したニューサマーオレンジの種は、細根が発達し根量が多かった。
ニューサマーオレンジの実生苗は、最初の葉が生えるまで、幹が長いが、その後、節間は長く伸びる。幹は、細い。
ハッサク
ハッサク(八朔)の種は、扁平で、水に浮く。
ハッサク(八朔)の実生苗は、ニューサマーオレンジや紅甘夏やカラタチと同様に、根が長く伸びてから、幹(茎)が伸びる。ただ、ハッサクの種も、ニューサマーオレンジの種も、扁平だが、ハッサクの種は水に浮き、ニューサマーオレンジは水に沈む種が多い。
ハッサクは、イヨカン(伊予柑)に似ているが、実生苗の伸び方は、異なる(イヨカンは、幹も最初から伸びる)。
ハッサク、イヨカン、紅甘夏、ニューサマーオレンジの実生苗は、幹の地表から最初に葉が生える部位までの長さが長いが、その後は、節間が短く成長する。ハッサクの実生苗は、紅甘夏と同様に、地表から最初の葉が生えるまで幹が長く、その上に節間が短く伸びる。
ハッサクの葉は先端が尖っておらず、葉柄の翼葉は、幅が広く、長い。刺があることがあるが、ポンカンとと同様に、小さく、短い。ハッサクの葉は、先端があまり尖っておらず、葉が幅広い。
ハッサクの葉の方が、イヨカンの葉より、葉の先端が丸く尖っておらず、葉の幅が広い。 はるか
はるか=日向夏(ひゅうがなつ、ニューサマーオレンジ=柚子の系統の偶発実生)の実生苗
農研機構果樹茶業研究部門カンキツゲノムユニットの清水徳朗様によると、はるかは、日向夏(ニューサマーオレンジ:種子親)に、夏橙(ナツダイダイ:夏みかん:花粉親)の花粉が受粉して誕生した品種とのこと。
はるかの実生苗は、幼若な時期は、葉の先端が萎れてしまうことがある。
はるかの実生苗は、根や幹が細いが、長い。細根も発達する。はるかの種は、尾状に尖った部位が、中心部(果皮と反対側)にある。はるかの種は、ニューサマーオレンジに形状が似ているが、幹の方が根より先に長く伸びる点が異なる。水に沈む種が多いが、浮く種もある。
はるかの種は、単胚性の場合が多いが、多胚性のこともある。はるかの実生苗は、根や幹が細いが、長い。細根は、少ない。
はるかの種は、ニューサマーオレンジに形状が似ているが、幹の方が根より先に長く伸びる点が異なる。はるか ニューサマーオレンジ はるか ニューサマーオレンジ
はるかの実生苗は、根や幹は細い。根は、細根の発達が少ない。幹は、最初に伸びた幹の先端が潰れてしまうと、下から腋芽が伸びて、複数の幹が生じる。葉は、細長く、先端が尖っていて、葉柄(翼葉)はあるが幅は細く、柚子に似ていない。葉の付け根に刺がある。
はやり、尾状の細く尖った側の殻が破れて、まず、発根し根が伸びて来る。その際、根が伸びようとする力で、種が傾斜する。
はるかの実生苗は、葉の先端はあまり尖っておらず、葉の辺縁が不整で鋸歯が有る。葉柄は長いが、翼葉の幅は細い。
はるかの実生苗は、紅甘夏の実生苗と異なり幹は細いが、紅甘夏の実生苗と同様に、最初の葉が生えるまでの幹が長く、その後は節間が短く伸び、刺がある。
断根して移植したが、断根した部位から再び太い根が長く伸びていた。
はるかの実生苗は、幹の伸びている先端が障害を受けると、下の腋芽から分岐した幹が生えて来る。
はるかの実生苗は、樹高は伸びたが、幹は比較的細かった。幹の途中から、分岐して、新梢が伸びる。根は、主根は太いが、細根の量は少ない(4号スリット鉢で栽培)。刺は、比較的、長い。はるか(ニューサマーオレンジの実生苗は、ニューサマーオレンジ(柚子の系統の偶発実生苗)や柚子に似ていない。
はるみ
はるみ=清見タンゴール(宮川早生×トロビタオレンジ)×ポンカンF-2432
はるみの実生苗は、ポンカンの実生苗に似ている。
はるみ=清見タンゴール(宮川早生×トロビタオレンジ)×ポンカンF-2432
はるみの実生苗は、多胚性で、二つの胚とプラスαの胚があるが、プラスαの苗は自然消滅することが多い。二つの胚が伸びた場合、幹が長いと根は短く、幹が短いと根は長く伸びることがある。多胚性品種の種からは、親品種と同じ形質を持つ珠心胚実生苗と、受精胚由来の雑種実生苗とが生えるが、太く長く伸びる苗が親品種と同じ形質を持つ珠心胚実生苗の可能性がある。
はるみの実生苗は、根が太いが、屈曲していることがある。はるみの実生苗は、根本が屈曲する。はるみの葉の先端はやや尖っていて、葉柄は長くなく、翼葉の幅は狭い。葉の緑色が濃い。
紅甘夏
紅甘夏は、種が多数あったが、全て、水に浮く。
紅甘夏の実生苗は、ハッサクやカラタチと同様に、根が地下に長く伸びた後に、幹が伸びて来る。
甘夏の元となるナツミカン(夏みかん:夏橙)、ハッサク(八朔)、グレープフルーツは、ブンタン(文旦)の血を引いているとのこと。紅甘夏の実生苗は、成長が速く、細根も良く発達する。
紅甘夏や甘夏は、葉は先端が尖っていて、葉柄は長く、成長すると、翼葉の幅は太くなる(八朔よりも細い)。明白な鋸歯が有る。
最初は、節間が短く伸びるが、成長が盛んになると、先端部位は、節間が長く伸びるようになる。長く硬い刺(棘)が有る。
主根を断根して移植した紅甘夏の実生苗は、断根した主根の先端から2つの太い根が伸びて、鉢底面に沿って伸びていた。
9月22日、白の5号スリット鉢(カインズの培養土、鉢底石なし)に移植した紅甘夏の実生苗は、細根が多かったが、太い根は少なかった。
10月14日、甘夏みかんをヤフオクで購入。種は、水に浮く種もあれば、沈む種もあった(水に浮く種は、皮を剥がすと水に沈んだ)。
甘夏みかんは、樹高が、管理が行き届いた樹園では3m以下だが、園によっては4m前後に伸び、幹の太さは20〜30cm位になると言う。紅甘夏の実生苗は、幹が波状に伸びる。 ポンカン
ポンカンは、多数の種が入っている。
ポンカンの種は中央は球状で、片側がオタマジャクシの尾状に飛び出ている。ポンカンの種は、水に沈む種が多いが、水に浮く種もある。
ポンカンの実生苗の幹は、他の柑橘類の実生苗の幹に比して、硬くて曲り難い。
ポンカンの実生苗の成長に関しては、柑橘類の栽培の用土や鉢による発育の違いに詳しく掲載してある。柚子(ゆず)
柚子の実生苗は、成長が速い。普通に鉢植えで栽培しても、1年で幹が20cm以上に伸びる。根は、太い根が分岐することも多い。細根も発達するが、ポンカンの実生苗の細根より太い。
柚子の種は、硬く、表面には皺が少なく、水に沈む種が多い。
柚子は、耐寒性があると言われるが、意外に、冬の寒さに弱い。参考文献
・https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2017/01/research-highlights_ja/20170106.html
ミカンの親はどの品種??遺伝解析により60種以上のカンキツ類の親子関係が明らかに?
・http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0166969
Hybrid Origins of Citrus Varieties Inferred from DNA Marker Analysis of Nuclear and Organelle Genomes
Tokurou Shimizu, et al
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