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 シアル酸
 
 シアル酸(sialic acid)は、唾液(sialo)ムチンから酸水解によって得られる、酸性のアミノ糖として発見された。

 1.シアル酸
 シアル酸は、NeuAc(N-アセチルノイラミン酸:N-acetylneuraminic acid、Neu5Ac)が最も多く、次いで、NeuGc(N-グリコリルノイラミン酸:N-glycolylneuraminic acid、Neu5Gc)が占めている。
 CMP-NeuAc水酸化酵素(cytidine monophospho-N-acetylneuraminic acid hydroxylase)により、NeuAcから、NeuGcが生成される。ヒトでは、CMP-NeuAc水酸化酵素が欠損していて、正常組織の糖脂質や糖蛋白質には、NeuGcは、存在しない。
 ヒトでは、NeuGcを含む糖鎖を、免疫系は異質な糖鎖として認識し、抗体産生が起こるとされる。また、NeuGcは、神経系で見い出されない。インフルエンザウイルスA、ロタウイルス、大腸菌(K99株)などは、レクチンを介して、細胞のNeuGcと結合すると言う。

 シアル酸は、糖脂質や糖蛋白に結合(シアリル化)して、糖鎖を形成する。
 シアル酸は、COOH基を持つため、陰性荷電(マイナスの電荷)を有しており、細胞接着、分化、神経線維の発達などに関係している。
 シアル酸を含む糖鎖により、血管内皮細胞と、赤血球やリンパ球は、陰性荷電(陰性苛電)により反発し、癒着が防止される。

 シアル酸が結合した糖鎖を有する糖蛋白質や糖脂質は、シアル酸の陰性荷電により、陰性荷電を有する血管内皮細胞などと、電気的に反撥し、肝臓での分解を逃れる。
 EPO(エリスロポエチン)には、糖鎖が結合している。EPOの糖鎖のシアル酸を外すと、in vitro(試験管内)では、EPOの活性は、3倍になる。しかし、糖鎖を完全になくすと、EPOの活性は、なくなる。また、EPOの糖鎖のシアル酸を外すと、in vivo(生体内)では、肝臓でEPOが分解されてしまい、EPOの活性は、なくなる。
 遺伝子工学の遺伝子組み換え技術(recombinant DNA technology)で合成した蛋白質は、糖鎖を結合させないと、本来の生理活性を持った蛋白質にはならない。

 糖鎖を構成する単糖である、シアル酸のNeuAc、NeuGcと、グルコース(Glucose:Glc)、マンノース(Mannose:Man)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を、比較出来る様に、下図にまとめた。
 2.血清シアル酸
 血清シアル値は、年齢と共に、減少する。
 
 正常児(2〜15歳)の血清シアル酸値は、59.5±8.1mg/dl。
 かぜ症候群(急性上気道炎、気管支炎)の患児では、血清シアル酸値は、74.7±13.9mg/dlで、正常児より高値を示す。麻疹、腺窩性扁桃腺炎、川崎病などの患児も、血清シアル酸値は、正常児より高値を示す。
 
 血清シアル酸値は、有熱期間が長いと、より高値を示す。血清CRPは、発熱早期から高値に上昇する。

 参考文献

 ・宮本幹夫、宮本恵司:急性感染症における血清シアル酸−CRP・血沈値との解離に関する検討− 小児科 Vol.28 No.7、869-874、1987年.

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