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 グリコサミノグリカン

 グリコサミノグリカン(glyocosaminoglucan:GAG)は、ウロン酸(GlcUAIdoA)、又は、ガラクトース(Gal)が、アミノ糖注1GlcNAcGalNAc、など)と結合した二糖構造が、繰り返して構成される酸性ムコ多糖。
 グリコサミノグリカンは、糖鎖として、コア蛋白(コアプロテイン)に結合している。

 1.グリコサミノグリカンの分類
 グリコサミノグリカン(GAG:ギャグ)は、アミノ糖を持つ多糖。

 ヒアルロン酸(hyaluronic acid)は、ウロン酸のグルクロン酸(glucuronic acid:GlcUA)に、アミノ糖ヘキソアミン)のN-アセチルグルコサミン(N-acetyl-D-glucosamine:D-GlcNAc)が結合した、GlcUA-GlcNAcの基本構造(繰り返し単位)から、構成されている。

 ケラタン硫酸(keratan sulfate)は、ガラクトース(Gal:β-ガラクトース)に、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合した、Gal-GlcNAcの基本構造(繰り返し単位)から、構成されている(注2)。

 へパラン硫酸(heparan sulfate)、ヘパリン(heparin)は、ウロン酸のグルクロン酸(glucuronic acid:GlcUA)、又は、イズロン酸(IdoA)に、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合した、GlcUA-GlcNAcや、IdoA-GlcNAcの基本構造から、構成されている(注3)。
 
 コンドロイチン、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、デルマタン硫酸(dermatan sulfate)は、ウロン酸のグルクロン酸(glucuronic acid:GlcUA)に、アミノ糖のN-アセチルガラクトサミン(N-acety-D-lgalacotosamine:D-GalNAc)が結合した、GlcUA-GalNAcの基本構造から、構成されている(注4)。
 デルマタン硫酸は、ウロン酸のイズロン酸(IdoA)に、アミノ糖のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)が結合した、IdoA-GalNAcの基本構造から構成されている。

 表1 グリコサミノグリカンの基本構造と分布
 グリコサミノグリカン  基本構造  分布
 ヒアルロン酸  GlcUAβ1-3GlcNAc  硝子体、関節液、臍帯
 ケラタン硫酸  Galβ1-4GlcNAc注1  軟骨、椎間板、角膜
 へパラン硫酸  GlcUAα1-4GlcNAc
 IdoAα1-4GlcNAc
 細胞表面、基底膜
 ヘパリン  GlcUAα1-4GlcNAc
 IdoAα1-4GlcNAc
 小腸、筋肉、肺、脾、腱、肝、肥満細胞
 コンドロイチン  GlcUAβ1-3GalNAc  角膜
 コンドロイチン硫酸  GlcUAβ1-3GalNAc  骨、象牙質、軟骨
 デルマタン硫酸  GlcUAβ1-3GalNAc
 IdoAβ1-3GalNAc
 皮膚、動脈壁、腱、骨、象牙質
 2.プロテオグリカン
 グリコサミノグリカンが、糖鎖として、コア蛋白(core protein)に共有結合した分子は、プロテオグリカンと呼ばれる(糖蛋白の一種)。プロテオグリカンは、ムコ多糖類とも呼ばれた。
 プロテオグリカンは、大量の水分を結合させるので、クッションとして、組織の線維成分を保護したり、粘性が高いので、滑液として、関節を保護する(ヒアルロン酸)。プロテオグリカンは、軟骨を形成したり、接着分子と結合する。
 なお、糖鎖は、蛋白や糖脂質と結合して、糖蛋白質や、糖脂質となり、結合した蛋白質や脂質を安定化させたり、蛋白質のタグ(荷札)として細胞間での情報伝達に、重要な役割を果たす。

 3.糖鎖を構成する単糖

 表2 糖鎖の単糖成分
 ヘキソース  ガラクトース(Gal)、グルコースGlc)、マンノース(Man)
 デオキシヘキソース  L-フコース(6-deoxy-L-galactose)
 へキソサミン注5  N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc
 シアル酸  N-アセチルノイラミン酸(NeuAc)、N-グリコリルノイラミン酸(NeuGc
 ペントース  キシロース、L-アラビノース

 糖鎖を構成する単糖は、グルコース(Glc)から合成される誘導体である。
 D-グルコース 1-リン酸から、UDP-D-グルコース(UDP-D-Glc)を経て、ガラクトース(Gal)、キシロース、グルクロン酸(GlcUA)が合成される。

 グルコース(Glc)では、4位の-OHの向きは、下向きなのに対して、ガラクトース(Gal)では、上向きになっている。

 N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)は、ガラクトース(Gal)の2位の-OHが、-NH-CO-CH3に置換されている。
 N-アセチル-D-グルコサミン 1-リン酸から、N-アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAc)が合成される。
 上の図で、Glcグルコースブドウ糖注6)、Gal(ガラクトース、注7)、Man(マンノース)、GlcUA(グルクロン酸)、IdoA(イズロン酸)、Fucフコース)、GlcN(D-glucosamine:グルコサミン、GlcNH2)、GlcNAc(N-アセチルグルコサミン)、GalNAc(N-アセチルガラクトサミン)を意味する(注8)。α-D-グルコースは、ピラノースとも呼ばれる。

 3.グルコサミンの効果
 ・グルコサミンは、ラットアジュバント(注9)関節炎の関節炎症状、NO産生、PGE2産生を、有意に抑制し、パンヌス形成と炎症細胞浸潤を抑制する。

 ・グルコサミンは、1型糖尿病ラットの血流(血行)を改善し、皮膚の真皮層を厚くし、コラーゲン線維径を太くし、可溶化出来るコラーゲン量を減少させる。

 ・グルコサミンは、血小板凝集を抑制し、血栓形成を防ぐ。グルコサミンは、ADPによる血小板凝集、ATPや血小板第4因子の放出、トロンボキサン合成、血小板内のカルシウム動員などを、抑制する。

 ・変形性関節症の患者に、硫酸グルコサミンを内服させる(硫酸グルコサミン1,500mg/日を3年間内服)と、症状が改善すると言う(WOMAC痛み指数や、WOMAC指数が改善)。

 4.変形性膝関節症とヒアルロン酸
 軟骨プロテオグリカンは、コア蛋白に、側鎖成分として、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、オリゴサッカライドが結合した構造をしている。
 健常な関節軟骨のマトリックス中では、大部分のプロテオグリカンは、コア蛋白にヒアルロン酸が結合し、重合体を形成している。
 変形性関節症(OA)では、プロテオグリカンとヒアルロン酸との結合が低下したり、結合部位の構造が変化して、重合体の形成が低下している。

 ヒアルロン酸ナトリウム(Sodium hyaluronate)を含む注射液(医薬品名:アルツ、アルツディスポ)を、膝関節腔内に注射すると、関節軟骨が保護され、関節液の病態が改善し、関節の痛みが軽減すると言う(変形性膝関節症、肩関節周囲炎、慢性関節リウマチにおける膝関節痛に適応がある。局所疼痛の副作用がある)。

 関節は、関節軟骨(クッション作用)や、ヒアルロン酸を含む関節液(潤滑作用)により、関節が潤滑に動くように創られている。
 関節軟骨が、磨り減って来ると、炎症が起こり、軟骨を破壊する物質が産生され、また、関節液が増加する。
 ヒアルロン酸は、関節液中に含まれ、粘性(潤滑油のような潤滑作用)と、弾性(クッション作用)とを有している。ヒアルロン酸は、関節軟骨の栄養にもなる。
 変形性膝関節症の患者の関節液に含まれるヒアルロン酸は、低分子ヒアルロン酸であり、関節液が、サラサラとしている。
 高分子ヒアルロン酸の方が、粘性や弾性が高く、関節軟骨を保護する機能が強い。
 高分子ヒアルロン酸(ヒアルロン酸ナトリウム)を関節腔内に注射すると、関節の動きが改善され(潤滑になる)、関節軟骨が磨り減ること(破壊)が防がれ、また、炎症が抑制され、痛みが抑えられる。

 関節は、関節軟骨により、クッション作用が営まれて、骨への衝撃が軽減されている。
 軟骨細胞は、コラーゲンやプロテオグリカンを産生する。コラーゲンは、軟骨の硬度を維持し、プロテオグリカンは、軟骨の水分保持作用を維持し、両者により、軟骨のクッション作用が営まれている。
 軟骨細胞が、コラーゲンやプロテオグリカンを産生するには、酸素が必要。関節周囲の血行が悪いと、関節軟骨へ酸素が十分に供給されず、軟骨細胞によるプロテオグリカンなどの産生が低下し、死滅した軟骨細胞が、滑膜を刺激し、滑膜に炎症が起こり、関節に痛みが生じる(関節軟骨自体には、神経が存在しないので、関節軟骨から痛みが生じない)。炎症に伴ない産生されるサイトカインは、軟骨細胞を死滅させ、痛みの悪循環が起こる。
 変形性関節症で、痛みが強くても、安静にし過ぎると、関節周囲の血行が低下し、却って、関節軟骨への酸素の供給が低下し、関節軟骨を減らして、痛みの悪循環を起こす。関節軟骨は、スポンジ状に、圧迫と解放により、酸素や水を吸い込むので、運動により、関節軟骨に、圧迫と解放の刺激(圧力)を繰り返すと、酸素や水分の供給量が増加し、軟骨細胞が活性化される(軟骨細胞を培養して、圧力をかけて、刺激すると、軟骨細胞から産生されるプロテオグリカン量が、2倍に増加する)。
 関節軟骨は、関節腔側では、関節液(滑液)により栄養を供給され、また、骨側(軟骨下骨側)では、血管(の透析液)により栄養が供給されている。関節軟骨は、関節の運動に伴ない、圧縮されると、関節軟骨から、ヒアルロニダーゼ、ムチン、コンドロイチン硫酸塩などが、関節液(滑液)や、骨側の血管に、滲出する。関節軟骨は、関節の運動に伴ない、弛緩すると、関節液(滑液)や、骨側の血管から、栄養分、酸素、水などを吸収する。
 関節周囲の血行を改善し、関節軟骨を刺激するには、脚上げ体操(あしあげたいそう)が良い。脚上げ体操は、患側の膝を伸ばしたまま(反対側の膝は、屈曲して立てる)、踵を10cm程度上げて、5秒間程静止し、その後、下げる動作を、1回20回、1日朝夕の2回行う。脚上げ体操の効果は、2週間程で現れ、関節の痛みが軽減し、膝を曲げても、痛みが少なくなると言う。

 変形性関節症の患者に、硫酸グルコサミンを内服させる(硫酸グルコサミン1,500mg/日を3年間内服)と、症状が改善すると言う(WOMAC痛み指数や、WOMAC指数が改善)。

 ビタミンDは、軟骨細胞からのムコ多糖産生(ヒアルロン酸などの産生)を、促進させる。ビタミンDの摂取量が少なく、血清ビタミンD濃度が低いと、変形性関節炎に罹患する確率が、3割高くなる。

 ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンなどの抗酸化物質は、多く摂取すると、活性酸素を抑制し、変形性関節症の進行を抑制する(変形性関節症の人は、野菜などから、抗酸化物質を、摂取した方が、良い)。

 変形性関節症では、関節軟骨のプロテオグリカン(ムコ多糖類)が消失し、縦方向に亀裂が入ったり、繊維組織を含む血管が、軟骨下板(軟骨下骨)を貫通して、関節軟骨に入る(細線維化)。関節軟骨のプロテオグリカンの消失には、蛋白分解酵素(コラゲナーゼ)も関与すると言われる。
 サリチル酸アスピリン)は、初期に、十分量が投与されれば、(COX-2が阻害され、)関節軟骨の細線維化が予防される。一旦、関節軟骨の細線維化が出来上がってしまうと、サリチル酸は、効果がない。

 5.ペプチドグリカン
 ヘテログリカンは、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)と、N-アセチルムラミン酸(MurNAc)とが、β1-4結合した構造をしている。N-アセチルムラミン酸(MurNAc)は、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)のC-3位置に、D-乳酸が、エーテル結合している。
 ペプチドグリカンは、ヘテログリカンが、ペプチドに結合した構造をしている。
 多くの細菌の細胞壁は、ペプチドグリカンから構成されている。細菌の種類によって、ペプチドグリカンのペプチド部分のアミノ酸配列が、異なっている。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、ペプチド部分は、L-アミノ酸とD-アミノ酸とが、交互に配列している(L-Ala−D-Isoglu−L-Lys−D-Alaのテトラペプチド)。ペプチドグリカンが生成される際には、L-Ala−D-Isoglu−L-Lys−D-Ala−D-Alaのペプチドが、N-アセチルムラミン酸(MurNAc)に結合し、最後に、末端のD-Alaが、放出される(−D-Ala−D-Alaは、抗生剤のペニシリンと構造が似ている)。
 一本のペプチドグリカンのペプチド部分(テトラペプチドのL-Lys)は、他のペプチドグリカンのペプチド部分(テトラペプチドのL-Ala)との間で、5残基のグリシン(ペンタグりシン)によって架橋される。その結果、ペプチドグリカンは、巨大な高分子となり、細菌の形状を決定したり、細胞膜を浸透圧の変動から保護している。

 6.エラスターゼ
 エラスチーム錠(エーザイ株式会社)は、成分が、ヒト膵臓中から発見されたエラスターゼESと呼ばれる酵素(製剤は、ブタの膵臓からエラスターゼESを精製して製造している)。
 エラスターゼESは、エラスチンを分解し、カゼイン、フィブリン、変性コラーゲンなども分解する。
 エラスターゼESは、リポ蛋白代謝や、脂質成分の移行を調節し、血清脂質異常を改善する。エラスターゼESは、HDL(HDL-コレステロール)、アポA蛋白(アポ蛋白)、燐脂質をは、増加させる。エラスターゼESは、β‐リポ蛋白、過酸化脂質、遊離脂肪酸VLDLLDLを、減少させる。
 エラスターゼESは、粥状動脈硬化病変において、動脈壁への脂肪沈着を抑制し、動脈壁のエラスチンの変性やコラーゲンの異常発生を抑制し、動脈硬化の発症を抑制し、動脈硬化の退縮を促進させる。エラスターゼESは、コレステロールの動脈壁への沈着を抑制し、また、コレステロールの動脈壁からの除去を促進する。エラスターゼESは、動脈壁の弾性線維エラスチンの変性を抑制し、エラスチン生成を正常化する。
 動脈硬化症や老年者では、膵エステラーゼ活性が、著しく低下している。

 7.その他
 ・経口摂取されたグルコサミン、コンドロイチンは、肝臓で一部(1/2程度)が代謝され、残りは関節組織に移行する。

 グルコサミンは、経口摂取された後、90%以上が腸管から吸収され、約1/2量が肝臓で代謝され、残りは血漿蛋白に結合したり(半減期は68時間)、各種臓器に取り込まれる。14C標識グルコサミンは、経口摂取後に、肝臓、腎臓、骨・関節組織に取り込まれる。グルコサミンは、関節軟骨以外に、好中球や血小板にも作用し、抗炎症作用などの生理活性を示す。

 コンドロイチンは、経口摂取された後、70%以上が腸管から吸収され、肝臓で代謝され、残りは血漿蛋白に結合する(取り込まれる)。コンドロイチン血中濃度は、摂取して半日〜1日後にピークに達した後に、除々に低下する。3H標識コンドロイチンは、経口摂取後に、肝臓、腸管、腎臓、関節液(関節液中の濃度は血液中の濃度より高い)、軟骨組織に分布する。関節組織に移行したコンドロイチンは、軟骨細胞や滑膜細胞に作用して、PGE2NOMMPの産生を抑制する(生理活性を示す)。しかし、関節組織に移行したコンドロイチンが、軟骨基質の成分に置き換わる(障害された関節軟骨を修復する材料となる)かは、明らかではない。 

 注1アミノ糖は、糖のOH基の1つが、アミノ基(-NH2)に変わっている。

 注2: ケラタン硫酸は、Galβ1-4GlcNAcという、タイプ2基幹領域(N-アセチルラクトサミン:LacNAc)を、基本構造(繰り返し単位)にして、構成されている。

 注3:へパラン硫酸は、GlcUAα1-4GlcN (70%)、IdoAα1-4GlcN (30%)、ヘパリンは、 GlcUAα1-4GlcN (20%)、IdoAα1-4GlcN (80%)とする文献もある。

 注4:コンドロイチン4-硫酸(コンドロイチン硫酸A)は、GlcUAβ1-3GalNAc4-sulfate、コンドロイチン6-硫酸(コンドロイチン硫酸C)は、GlcUAβ1-3GalNAc6-sulfate、デルマタン硫酸(コンドロイチン硫酸B)は、IdoAβ1-3GalNAc4-sulfate。

 注5糖鎖を構成するへキソサミン(グルコサミン、ガラクトサミン)は、大部分は、アセチル化している。

 注6:1%ブドウ糖液は、浸透圧は、約55mOsm/L(10,000/180mOsm/L)。
 5%ブドウ糖液は、浸透圧は、約277mOsm/Lで、pHは5程度(グルコース液の最も安定なpHは、3〜4と言われるが、注射用の5%ブドウ糖液は、滅菌に伴ない着色が生じない為に、pH3.5〜6.5に、調節されている)。
 50%ブドウ糖液は、pHは3.5と酸性だが、滴定酸度(pH7.4にするのに要するNaOH量)は0.61と小さいので、血液中では、容易に緩衝される。なお、アミノ酸液は、pHは6程度だが、滴定酸度は約30と大きい。

 注7:糖尿病の血糖コントロールの為に、簡易血糖自己測定器を使用して、血糖検査が行なわれているが、PQQ(ピロロキノリンキノン)を補酵素として、GDH法(グルコース脱水素酵素)で、血糖を測定する測定器は、ガラクトースをも、血糖(ブドウ糖)として、測定してしまうおそれがある。ガラクトース以外にも、マルトース、イコデキストリン、キシロースを多く含んだ検体は、実際より、高い血糖値を示し、その値に基づいてインスリンを投与すると、結果的に過投与となり、低血糖で、意識障害を来す危険性が、指摘されている。
 「医薬品・医療機器等安全性情報 No.212 平成16年4月から平成17年2月までに発出した自主点検通知等の概略について」では、簡易血糖自己測定器は、下記のような患者には、使用してはならないことを、警告している。
 ・輸液を投与中の患者(点滴で、静脈輸液を受けている患者):マルトースを含む輸液を投与中の患者は、実際の血糖値よりも、高い値を示す
 ・イコデキストリンを含む透析液を投与中の患者
 ・ガラクトース負荷試験を実施中の患者
 ・キシロース吸収負荷試験を実施中の患者
 ⇒「マルトースを含む輸液等を投与中の患者、イコデキストリンを含む透析液を投与中の患者、ガラクトース負荷試験を実施中の患者、及び、キシロース吸収試験を実施中の患者については、実際の血糖値より高い値を示すため、使用しない」

 簡易血糖測定器で血糖を測定する場合、特に、低血糖が予想される際には、指先から採血する方が良い。
 指先真皮は、毛細血管網が発達していて、前腕(毛細血管網の血流が欠如している9に比して、血流速度が5〜20倍速く、皮膚静脈叢の血行(血液交換)が速いので、変動する血糖血を良く反映し得る。
 前腕、上腕、腹壁、大腿などは、毛細血管網が欠如している。前腕を摩擦してから採血すると、局所の血流が増加し、指先で採血した血糖値に近い値になり得る。

 注8:カニなどの甲殻類の外皮は、クチクラと呼ばれる物質で構成されている。クチクラの主成分は、キチン(Chitin)と呼ばれる多糖類と、タンパク質と、カルシウム塩(炭酸カルシウム)。キチンは、GlcNAc(N-アセチルグルコサミン)が、直鎖状に結合したポリマー:(GlcNAcβ1→4GlcNAc)n:(C8H13NO5)n。
 グルコース(ブドウ糖)とフルクトース果糖)とが結合した二糖類が、スクロース(ショ糖砂糖の成分)。

 注9アジュバント(adjuvants)は、抗原の免疫応答(抗体産生)を、増強させる(L adjuvare:助ける)。
 アジュバントは、一回の注入(皮下注射)により、強い免疫応答(一次応答と二次応答の抗体産生)を引き起こし、また、注入した場所に貯留して少量ずつ放出され、長期間に渡って、免疫応答(抗体産生)を、引き起こす。
 水酸化アルミニウムやリン酸アルミニウムのような金属ゲルは、抗原を吸着し、抗原の物理的な状態を変化させ、抗原の免疫応答を、増強させる(抗原は緩慢に遊離され、注射局所に肉芽が形成される)。
 水と油のエマルジョン(乳濁液)も、アジュバントとして、抗原の免疫反応(抗体反応)を、増強する。抗原水溶液(抗原が溶けた水溶液)を、軽い鉱油の中に乳化させエマルジョンにすると、抗原溶液の小滴が油の中に分散し、油中水滴型アジュバントを形成する。このようなエマルジョン(油中水滴型アジュバント)は、注射した皮下組織で、抗原の貯蔵場所となり、そこから、少量の抗原が、長期間(時には1年以上の期間)、連続的に放出される。注射した局所の皮下組織には、肉芽腫や無菌膿瘍が形成され、抗原(抗原が溶けた水滴)が、リンパ節に移行し、免疫応答を引き起こす(抗原は、抗原水溶液が、界面活性剤により乳化され、油中の水滴に存在することで、抗原性が増強される)。
 歴史的には、油中水滴型アジュバントとしては、フロインドの不完全アジュバント(Freund's incomplete adjuvant:FIA)がある。フロインドの不完全アジュバントは、鉱物油(パラフィン油:85%)と界面活性剤(Aracel A:15%)により構成されていた。フロインドの不完全アジュバントは、同量の抗原水溶液と混合し、抗原を乳化させた乳剤として、皮下注射する。フロインドの不完全アジュバントにより、抗原が、パラフィン油中の安定した水滴に含まれることで、免疫応答(抗体産生)が、長期間に渡って増強する(脂肪中に抗原が存在すると、アレルギー疾患や自己免疫疾患を引き起こす恐れがある)フロインドの不完全アジュバントに、結核菌またはマイコバクテリア菌(Mycobacterium smegmatis)の加熱死菌(5mg/10mlFIA)を加えたものは、フロインドの完全アジュバン(Freund's complete adjuvant:FCA)。結核菌の細胞壁のアジュバント活性因子は、菌体成分のN‐アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(N‐acetylmuramyl‐L‐alanyl‐D‐isoglutamine:muramyl dipeptide:MDP)。抗原水溶液を、同量のフロインドの完全アジュバント(FCA)と混合して、投与(皮下注射)すると、遅延型アレルギーや、血中抗体の産生が、強く増強(亢進)される。フロインドの完全アジュバント(FCA)は、遅延型アレルギーや、実験的自己免疫疾患の研究に、貢献した。
 アジュバント65は、高度に精製したピーナッツ油に、乳化剤としてマンニット1オレイン酸塩と、安定剤としてアルミニウム1ステアリン酸塩を含んでいた。
 食品には乳化剤が食品添加物として含まれている。油中水滴型(油中水型:W/O型)の食品には、マーガリンやバターなどがあり、水中油型(O/W型)の食品には、牛乳、アイスクリーム、マヨネーズなどがある。

 食品添加物の乳化剤には、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物(キラヤサポニン)などがある。
 乳化剤のショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖(蔗糖)部分が親水基、脂肪酸部分が新油基となる。
 ショ糖脂肪酸エステルは、エステル化度が高いと、HLB値は低くなり新油性が増加する。ショ糖脂肪酸エステルは、HLBが0〜18の製品が市販されている。
 ショ糖脂肪酸エステルは、エステル化度が高い(HLB値が低い)とW/O型(油中水滴型)になり(マーガリン、ファットスプレットの乳化剤、チョコレートのブルーミング防止など)、エステル化度が低い(HLB値が高い)とO/W型(水中油型)になる(コーヒークリーム、アイスクリーム、ホイップクリーム、ソース、缶コーヒーなど)。
 ショ糖脂肪酸エステルは、澱粉の老化防止作用、缶コーヒーの細菌増殖抑制作用(偏性嫌気性菌が増殖して酸敗しフラットサワー缶になるのを防止する)、チョコレートのファットブルーミング(脂肪が表面に析出する現象)防止作用もある。
 ショ糖脂肪酸エステルは、当初は、ジメチルホルムアミドなどの溶剤を用いて、ショ糖と脂肪酸メチルとを反応させてエステル化し、生成する方法により製造された。

 参考文献
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