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 タミフル

 【ポイント】
 インフルエンザウイルスは、赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)とを有している。
 赤血球凝集素(HA:ヘマグルチニン)は、ウイルスが宿主細胞に侵入する際に必要:ウイルスは、赤血球凝集素(HA)を介して、宿主細胞のウイルス受容体(シアル酸を含む糖鎖)に結合する。
 ノイラミニダーゼ(NA)は、ウイルスが宿主細胞から遊離する際に必要:宿主細胞内で増殖したウイルスは、ノイラミニダーゼ(NA)により、ウイルスの赤血球凝集素(HA)と宿主細胞のウイルス受容体との結合を外す。
 抗インフルエンザウイルス薬のオセルタミビル(商品名:タミフル)は、ウイルスのノイラミニダーゼ(NA)を阻害し、宿主細胞内で増殖したウイルスが、宿主細胞外への遊離を抑制し、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。
 抗インフルエンザウイルス剤のタミフルの成分は、リン酸オセルタミビル。
 タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(48時間以内)に、投与を開始する。
 インフルエンザ患者と同居や共同生活をしている65歳以上の老人は、インフルエンザ患者に接触後、できるだけ速やかに(インフルエンザ患者に接触後、48時間以内に)、タミフルカプセルを、1日1カプセルを、服用する(保険給付されない)。

 タミフルは、インフルエンザウイルスが有するノイラミニダーゼ(NA)を、選択的に阻害し、新しく細胞内で増殖して形成されたインフルエンザウイルスが、細胞外に遊離・放出されること(発芽)を抑制し、ウイルスの増殖を抑制する。

 1.リン酸オセルタミビル製剤のタミフル
 リン酸オセルタミビル(Oseltamivir Phosphate)は、プロドラッグであり、代謝(肝エステラーゼによる加水分解)により活性体に変換され、活性体(Ro64-0802)となる。
 インフルエンザウイルスは、表面のヘマグルチニン(HA)を介して、宿主の呼吸気道の上皮細胞のシアル酸に結合し、宿主の細胞に感染する。インフルエンザウイルスは、宿主細胞内で、RNA鎖をもとに、複製し、宿主細胞から、発芽(出芽)し、遊離する。複製された(増殖した)インフルエンザウイルスが、宿主の細胞から、発芽・遊離する際に、インフルエンザウイルスは、ノイラミニダーゼ(NA)により、シアル酸を破壊し、発芽・遊離を促進させる。
 リン酸オセルタミビルの活性体は、ヒトA型、及び、B型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)を、選択的に阻害し、新しく形成されたインフルエンザウイルスが感染細胞から遊離すること(発芽)を阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。
 インフルエンザウイルスは、タミフルにより、ノイラミニダーゼ(NA)を阻害されると、感染し増殖した宿主細胞から遊離出来ず、ウイルス同士が凝集してしまい、他の宿主細胞に感染して増殖出来なくなる(タミフルは、細菌を殺す抗生剤のように、ウイルスを殺すのではないので、ウイルスは、残存する)。
 抗インフルエンザウイルス剤のタミフル(Tamiflu)は、リン酸オセルタミビル製剤。
 タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(48時間以内)に、1日2回(1回1カプセル)投与を開始する。症状が発現してから48時間以後に投与を開始した場合は、有効性が確認されていない。

 治療目的の投与量は、成人には、オセルタミビルとして、1回75mg(1カプセル)を、1日2回、5日間、経口投与する。幼小児には、オセルタミビルとして、1回2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)を1日2回、5日間、経口投与する。

 2.タミフルの予防使用
 インフルエンザウイルスは、飛沫感染して、体内では、8時間後に、約100ケに増殖する。そして、1〜3日間の潜伏期間の後、発熱、独特の咳などの症状で、発症する。
 Cap製剤(カプセル製剤)は、下記のような場合には、予防使用(予防投与)が認められている。なお、タミフルのCap製剤は、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症に発症後の治療」目的で使用した場合にのみ、保険給付される。予防使用した場合は、保険適用にならず、保険給付されない。また、DS製剤は、予防使用が認められていない。

 インフルエンザの症状を軽くする為には、潜伏期間に、オセルタミビルのカプセル製剤(タミフルカプセル)を、予防的に服用するのが、賢明と思われる。従って、インフルエンザ患者に接触後、できるだけ速やかに(インフルエンザ患者に接触後、48時間以内に)、タミフルカプセルを、1日1カプセルを、服用する。
 インフルエンザ感染症を発症している患者の、同居家族や共同生活者(施設などの同居者)が、下記のような場合には、タミフルのCap製剤(カプセル製剤)を、1日1回、予防使用することが、認められている(7〜10日間、継続して、服用する)。なお、予防使用した場合は、保険給付されない。また、健康成人と、13歳未満の小児は、予防使用の対象にならない。
 1).高齢者(65歳以上)
 2).慢性呼吸器疾患患者、又は、慢性心疾患患者

 3).代謝性疾患患者(糖尿病など)、
 4).腎機能障害患者、
    治療   予防 
 対象   成人及び体重37.5kg以上の小児   成人及び13歳以上の小児 
 投与法   1回75mg 1日2回   1回75mg 1日1回注1) 
 投与期間   5日間経口投与   7〜10日間経口投与 
 予防使用する場合には、インフルエンザ感染症患者に接触した後、2日以内(48時間以内)に、投与を開始する
 インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、本剤を、連続して服用している期間のみ持続する。


 なお、インフルエンザウイルス感染症の予防の基本は、ワクチン療法(ワクチン接種:注2)とされる。

 インフルエンザ発症の予防効果(有用性)は、オセルタミビル(タミフル)が81%、ザナミビル(リレンザ)が75%と言われる。家族内でのインフルエンザ流行は、インフルエンザ発症者にオセルタミビルを投与すると予防される(発症が低下する)が、ザナミビルを投与しても予防されない。ザナミビル(リレンザ)は、吸入薬(吸入投与)なので、鼻腔のインフルエンザウイルスには、作用しない。オセルタミビルもザナミビルも、共に、咳を減少させるが、ザナミビルの吸入は、鼻症状(鼻汁、鼻閉など)を有意に改善しない。インフルエンザウイルスの感染(伝播)には、鼻から感染性を有するウイルス粒子(飛沫)が吸入され、鼻から感染性を有するウイルス粒子が呼出されることが重要と考えられている。

 ザナミビル水和物製剤(販売名:リレンザ)は、平成13年2月2日より保険適応が承認され、インフルエンザ(A型又はB型インフルエンザウイルス感染症)の治療に用いられて来た。ザナミビル水和物製剤(販売名:リレンザ)は、平成19年1月26日より、インフルエンザの予防に効能・効果が承認されている。保険診療では、インフルエンザの発症後の治療に使用(処方)した場合は、保険給付の対象になるが、インフルエンザの予防に使用した場合には、保険給付の対象にならない(自費扱いになる)。
 ザナミビル水和物製剤(販売名:リレンザ)は、インフルエンザの治療目的には、成人及び小児には、1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日2回、5日間、専用の吸入器を用いて吸入する。インフルエンザの予防目的には、成人及び小児には、1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日1回、10日間、専用の吸入器を用いて吸入する。ザナミビル耐性株発現の報告がある(B型インフルエンザ感染症の免疫力の低下した小児にザナミビルを2週間投与した症例)と言う。

 3.乳児へのタミフルドライシロップ投与の安全性
 「タミフルドライシロップ3%の乳児への投与の安全性に関する検討(中間報告)」(日本小児科学会雑誌 108巻11号 1438頁:2004年)によると、2004年1月に、タミフルドライシロップ(以後、タミフルDSと記す)の、乳児への投与を控えることの要請があった。

 その後、タミフルDSを投与された乳児737例(A型、又は、B型インフルエンザウイルス感染症患者)に関して、副作用・有害事象の発現状況を、調査し検討した。その結果、タミフルDSとの因果関係が疑われる副作用として、下痢(13例)、嘔吐(5例)、軟便(3例)、低体温(2例)などの症状が見られた。発疹は、737例中4例に認められ、その内、1例は、タミフルDSとの因果関係が否定出来ないと判断された。なお、インフルエンザ感染の経過中に、タミフルDSを投与後、痙攣が見られた(1日後に2例、2日後に1例)が、痙攣は、タミフルドライシロップの副作用とは、見なされていない。
 いずれにせよ、重篤な副作用の報告はない。中間報告には、「インフルエンザ患児乳児に対して、指示された用法・用量によるタミフルドライシロップ3%の投与に関する危険性は高くないと推測されるが、本報告はあくまでも中間報告であり後方視的な調査のデータである。」と、記されている。
 なお、ラットを用いた試験では、幼若ラットでは、リン酸オセルタミビルの脳内濃度は、成熟ラットの約1,500倍高くなり、幼若ラットでは、血液脳関門が未熟である可能性が、示唆されている(注3)。
 また、添付文書に、「治療に用いる場合には、抗ウイルス薬の投与がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。 」と書かれてあるように、抗インフルエンザウイルス剤は、全ての患者に投与する必要はない。

 4.その他
 ・オセルタミビルは、腎臓から排泄される。
 オセルタミビルは、乳汁中に移行するので、授乳婦に投与する場合には、授乳を避けさせる。なお、妊婦、又は、妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することになっている。
 主な副作用は、腹痛21件(6.8%)、下痢17件(5.5%)、嘔気12件(3.9%)が、知られている。
 
 ・オセルタミビルは、1回200mg以上を投与すると、嘔気、嘔吐、めまい(浮動性眩暈)が現れる。

 ・国内予防試験で発現した主な有害事象(2%以上)
 有害事象  リン酸オセルタミビル(n=155)
 腹痛    18(11.6%)
 下痢    13(8.4%)
 頭痛    11(7.1%)
 嘔気     9(5.8%)
 嘔吐     7(4.5%)
 腹部膨満     6(3.9%)
 ・オセルタミビル投与後の耐性ウイルスに関しては、耐性ウイルスの出現率は、1.4%とされる(成人及び青年では0.34%、小児では4.5%)。
 耐性ウイルスは、全てA型インフルエンザウイルスに由来し、B型では出現が認められていない。
 耐性を獲得したインフルエンザウイルス(耐性ウイルス)は、著しく感染性が低下し、感染部位での増殖、伝播力は、極めて低いと考えられている(マウス、及び、フェレットでのデータ)。耐性ウイルスが出現しても、再び発熱したり、重症化することはなく、1週間程度で、耐性ウイルスは、気道から消失する。耐性ウイルスが、周囲のヒトに感染した症例は、ないとされている。耐性を獲得したウイルスでは、ノイラミニダーゼ(NA)のアミノ酸変異が認められている。
 
 ・タミフルを使用すると、早期に解熱するが、低年齢の幼児では、解熱後も、数日間は、上気道からウイルスが、排泄され続いている。従って、成人や学童では、解熱後2〜3日間、乳幼児では、解熱後3〜4日間、隔離して、静養することが必要。

 ・A型インフルエンザに罹患した小児を、抗インフルエンザ薬で4日間治療し、解熱後約48時間経過した時点で、再度、鼻腔拭い液中のウイルス抗原を、迅速診断キット(キャピリアFluA,B、インフルA・B−クイック「生検」)を使用して、検査した。その結果、解熱後約48時間経過した時点でも、48.4%の患児(31名中15名)に於いて、鼻腔拭い液中のウイルス抗原(鼻汁中のA型インフルエンザウイルス抗原)が、陽性だった。
 抗インフルエンザ薬として、オセルタミビルを使用した場合は、71.4%(14名中10名)で、鼻腔拭い液中のウイルス抗原が陽性だった。また、アマンタジンを使用した場合は、29.4%(17名中5名)で、鼻腔拭い液中のウイルス抗原が陽性だった。
 抗インフルエンザ薬で治療後に、ウイルス抗原が陽性であり、ウイルス抗原が残存していても、必ずしも、感染源となり得ない(ウイルス抗原が陽性であっても、必ずしも、感染性のあるウイルス粒子が残存していることを意味しない)が、抗インフルエンザ薬を使用して治療した場合のインフルエンザ罹患後の登校基準を、検討する必要がある。(藤澤等の論文報告)

 ・2003年初頭のインフルエンザ流行時に、タミフルの供給不足が、社会問題化された。しかし、世界で生産されるタミフルの60〜70%を、日本で使用していたと言う。
 欧米でのインフルエンザ治療は、依然として、安静、水分補給、解熱薬の投与とされている。

 ・インフルエンザは、老人や基礎疾患などで、体力(免疫力)が低下していなければ、自然治癒することが多い病気なので、インフルエンザに罹った人の総てが、オセルタミビル(タミフル)を服用する必要はない。むしろ、適切に使用しなければ、耐性ウイルスの問題が生じる。インフルエンザに罹った人の総てが、オセルタミビル(タミフル)を服用することは、医療コスト上からも、好ましくない。
 添付文書にも、「治療に用いる場合には、抗ウイルス薬の投与がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。」と、明記されている。

 ・タミフルの臨床効果(解熱効果)は、B型インフルエンザウイルスに対しては、A型インフルエンザウイルスに比して、劣っている。

 ・タミフル(オセルタミビル)は、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ活性部位(NA活性部位)に結合する(高い親和性がある)。

 ・タミフル(オセルタミビル)は、プロドラッグとして、生体への吸収効率を良くしてある(タミフル自体に、生理活性はない)。
 タミフル(オセルタミビル)は、肝臓で、酵素(肝エステラーゼ)により分解され、生理活性(インフルエンザウイルス増殖抑制効果)を有する活性体(オセルタミビル活性体)に、変換される。
 タミフルの活性体が、インフルエンザウイルスが増殖する組織に移行し、高い生理活性を示す。活性体自体は、吸収効率が悪い為、直接内服しても、体内には、微量しか吸収されない。
 母乳中に移行するタミフルは、ラットの実験によると、微量であり、そのほとんど全ては、吸収効率が悪い活性体であり、吸収効率が良いプロドラッグではない(ヒトでは、乳汁中オセルタミビル濃度の方が、血漿中オセルタミビル濃度より、高い)。
 添付文書には、「授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。]」と、記されている。しかし、母乳中に分泌されるタミフル(オセルタミビル)は微量であり、その大部分が吸収効率が悪い活性体であることを考えると、母親がタミフルを内服しても、乳児に、授乳(母乳哺育)を中止する必要はないと、考えれられている。また、母親がタミフルを内服していて、同時に、児(乳児)がインフルエンザの治療でタミフル内服を開始した場合も、児へのタミフル投与量を、減じる必要はないと考えられている。
 なお、妊娠中のタミフル投与に関しては、添付文書に、「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。]」と記されている。

・タミフル(oseltamivir)は、プロドラッグであり、母乳中のoseltamivirは、(乳児の腸管では)殆ど吸収されない。

 ・タミフル(oseltamivir)の副作用である、悪心、嘔吐は、食物と共に内服すると、軽減される(タミフルは食後内服が良い)。

 ・タミフルカプセル(75mg)は、1日2回、5日間内服する。
 タミフルカプセルは、体重が37.5kg以上の小児には、投与が承認されている。
 欧米では、体重15kg以下の小児には、一律に1回30mgを2回(60mg/日)を内服させる(体重が少ない幼児は、日本より内服量が多い)。

 ・乳児へのタミフル(オセルタミビル)投与量は、通常、4mg/kg/日(分2、5日間)。

 ・タミフル(オセルタミビル)の添付文書には、「精神・神経症状(頻度不明) 精神・神経症状(意識障害、異常行動、譫妄、幻覚、妄想、痙攣等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行うこと。」と書かれてある。
 平成17(2005)年11月に、タミフル(オセルタミビル)を服用した患者2人が、異常行動を来たし、死亡していたことが、報告された(1人は、車道に走り出て、大型トラックに撥ねられて死亡し、もう1人は、マンションの9階から転落死)。
 一般に、インフルエンザでは、他の感染症に比して、発熱に伴い、譫妄状態(熱性譫妄)が見られることが多い(熱性譫妄は、必ずしも、インフルエンザ脳症の合併を意味しない)。
 インフルエンザなど感染症で現れる譫妄状態(熱性譫妄)は、睡眠中(夜間、昼間)に現れる(睡眠後に覚醒した時に異常行動をとる)ことが多い。インフルエンザ脳症などで現れる痙攣発作は、覚醒時に現れることが多い。
 このような異常行動や異常言動が、本当に、タミフルの副作用なのか、慎重な解明を期待したい。

 ・抗ウイルス薬のリン酸オセルタミビル(タミフル)や、単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に効果がある、塩酸バラシクロビル(商品名バルトレックス)は、投与後、幻覚意識障害などの中枢神経性副作用を起こすことがある。

 ・タミフルは、鳥インフルエンザ(HPAI)にも、有効とされる。
 
 ・抗ウイルス剤を、インフルエンザ感染の初期から投与すると、血清HI抗体価は、上昇しない。

 ・タミフル(オセルタミビル活性体)は、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)に対して高い選択性を示す。
 タミフル(オセルタミビル活性体)は、インフルエンザウイルス以外のウイルス、細菌、哺乳類組織のノイラミニダーゼを、殆ど阻害しない。
 オセルタミビル活性体のNA阻害作用(中外製薬株式会社の概要資料から引用)
 ノイラミニダーゼを有する病原体・組織  IC50  Ki
 ウイルス  インフルエンザウイルスA/Texas/36/91(H1N1)-like    0.14ng/ml    0.5nM
 インフルエンザウイルスB/Beijing/184/93-like    0.74ng/ml    2.6nM
 パラインフルエンザウイルス  >1000μM  >833μM
 ニューカッスル病ウイルス  >1000μM  >500μM
 細菌  C.perfringens    740μM   370μM
 V.cholerae  >1000μM  >500μM
 哺乳類  ヒト肝臓  >1000μM  >500μM
 ラット肝臓  >1000μM  >500μM
 ラット子宮  >1000μM  >500μM
 ・インフルエンザの治療には、解熱剤も使用されることが多い。
 タミフル(オセルタミビル)は、解熱剤のパラセタモール(成分はアセトアミノフェン)と併用しても、パラセタモール(アセトアミノフェン)、オセルタミビル、オセルタミビル活性体の薬物動態は、変化しない。
 タミフルは、シメチジン(H2受容体拮抗薬:H2ブロッカー)と併用しても、薬物動態は、変化しない。

 ・2007年10月に、厚労省から発表された中外製薬の基礎試験結果によると、タミフルは、脳神経に存在する155の蛋白質(受容体、チャネル、酵素など)に影響を及ぼさない。タミフルは、血液脳関門(BBB)を受動拡散で通過し、脳内に移行するが、P-糖蛋白質と結合して、脳外に排出される。タミフルは、ラットでは、少量しか、脳内の酵素で活性型に代謝されない。以上より、タミフルは脳内に蓄積しにくいと考えられている。

 ・タミフルドライシロップは、飲みにくい場合は、チョコアイス、ヨーグルト、イチゴヨーグルト、ココア、オレンジジュース、スポーツドリンクに混ぜると飲ませ易く、乳酸飲料、バニラアイス、リンゴジュースでは、飲み難くなると言う。

 ・経口ノイラミニダーゼ阻害薬リン酸オセルタミビル(タミフル)の有効性と安全性に関するアンケート調査(2006年インフルエンザシーズン:今村政信氏等)によると、インフルエンザウイルスは、インフルエンザ発症後7〜10日問、排泄され続ける。
 タミフルを服用すると、ウイルス価が減少するまでの期間が、約2日間短縮する。タミフルを服用すると、4日目にウイルス価が、計測限界以下になる。
 タミフルが、2日間しか処方されなかった患者は、3日及び5日間処方された患者に比して、再受診する率が、有意に高いと言われる。
 解熱後、直ぐにタミフルの服用を中止すると、インフルエンザの再燃、他者への感染、耐性ウイルスの出現、等の危険性があるので、タミフルは、5日間服用し続けることが望ましいと言う。

 付記
 ・タミフル服用後に異常行動を起こし、転落死した症例が報告され、その後、転落など異常行動により大怪我をした症例の報告が続いた。
 その為、厚生労働省(厚労省)は、平成19(2007)年3月21日に、タミフルは、「10歳以上の未成年の(インフルエンザ)患者に、原則として使用を控えること」を、添付文書の警告欄に書く加えるよう、緊急安全性情報を出した。
 タミフルが販売される前から、インフルエンザに罹患して、高熱を出した際に、譫妄状態(熱性譫妄)が見られることが知られていた。
 転落死など異常行動が、本当に、タミフルが原因であったとすれば、今回の緊急安全性情報により、タミフル服用例が少なくなることにより、異常行動の発生が、減少することが期待される。
 タミフルの副作用とされる、転落死など異常行動が、発熱による熱性譫妄だとすれば(インフルエンザと言う病気自体が原因であったとすれば)、タミフル服用例が少なることにより、異常行動の発生が、むしろ、増加するおそれも考えられる。
 乳幼児や老人や、基礎疾患がある人などは、タミフルにより、早期に解熱した方が、肺炎などの合併症を起こすリスクが減少することが期待される。
 「薬(クスリ)」は、反対に読むと「リスク」であり、副作用(リスク)を伴なわない薬は少ない。
 タミフルに、異常行動を起こすリスクが存在するとしても、一面的な評価で販売を中止するのでなく、インフルエンザに対する有用性や、合併症などのリスク減少効果も考慮して、使用の継続を認めて頂きたい。

 ・「タミフルカプセル75」と「タミフルドライシロップ3%」を服用した(未成年の)患者さんの保護者は、異常行動の発症に備え、「少なくとも2日間、未成年者が1人にならないように配慮をする」ことになった。
 タミフルを服用しないインフルエンザ患者さん(成人も含めた患者さん)も、インフルエンザの発熱に際しては、熱性譫妄が起こるおそれがあるので、1人にならないように注意が必要と思われる。

 ・新型インフルエンザに対しては、十分な感染防止策を行わずに、新型インフルエンザウイルスの暴露を受けた者は、抗インフルエンザ薬の予防投与の対象者となる。
 A型インフルエンザウイルス感染症に対して、予防投与の適応が認められているのは、オセルタミビルリン酸塩カプセル(商品名:タミフルカプセル75)、ザナミビル水和物ドライパウダーインヘラー(商品名:リレンザ)のみである。
 タミフルカプセル75の予防投与は、13歳以上の症例が対象者(13歳未満の症例は、適応がない)で、1日1回1カプセルを、7〜10日間、内服させる。
 リレンザは、1回2ブリスターを、1日1回、10日間、吸入させる。リレンザは、4歳以下の小児に対する安全性は、確立していない(適切に吸入が出来る症例に投与する)。
 予防投与の費用は、原則、自費負担だが、「健康観察」となる新型インフルエンザ濃厚接触者への予防投与は、費用の一部もしくは全額を公費負担とすることは、各自治体の判断で可能とされる。検疫法により停留を実施する場合には、当該者への予防投与は、公費負担となる。
 「医療体制に関するガイドライン」において、慢性疾患等を有する者に対しては、発生前の現段階において、かかりつけの医師が了承することで、蔓延期に、電話診療によりファクシミリ等を通じて処方箋を発行することが出来ることになっている。
 現時点(平成21年5月)では、確定診断がついていない「疑似症例」に対しても、タミフル等の抗インフルエンザ薬の投与は、速やかに行うことが望ましいと考えられている。
 予防投与対象者の発生段階別投与指針
 カテゴリー  国内発生早期  感染拡大期  蔓延期  回復期間
 医療従事者・
 水際対策関係者
 投与
 患者の同居者
 
 投与  効果を評価した上で検討
 患者の濃厚接触者
 (同居者を除く)
 投与  原則として見合わせる
 患者と同じ学校・職場等に通う者
 (濃厚接触者を除く)
 状況により投与  原則として見合わせる
 地域封じ込めの
 実施地域の住民
 投与       
 注1:成人の腎機能障害患者では、血漿中濃度が増加するので、腎機能の低下に応じて、次のような投与法を目安とする。
 クレアチニンクリアランス
    (mL/分)
             投与法
 治療  予防
 30<Ccr  1回75mg1日2回  1回75mg1日
 10<Ccr≦30  1回75mg1日1回  1回75mg隔日
 Ccr≦10  推奨用量は確立していない
 注2インフルエンザワクチンの有効率の評価は、例えば、ワクチン未接種の1,000人の乳幼児のうち、300人がインフルエンザを発病すると仮定する(発病率30%)。その時、ワクチン接種済みの乳幼児1,000人中200人がインフルエンザを発病すると(発病率20%)、ワクチンの効果は、発病を(30−20)÷30=33%減少させた、つまり、発病防止の有効率は33%と、評価される。

 日本で用いられている不活化インフルエンザワクチンは、主に、ウイルス表面に存在する赤血球凝集素(HA)を含んでいる。ワクチン接種で誘導される赤血球凝集阻止抗体(HI抗体:hemagglutination inhibition antibody)は、感染防御に有効だが、不活化インフルエンザワクチンを皮下注射した場合には、IgGクラスの抗体が誘導され、気管支粘膜で感染防御に作用しても、IgAクラスの抗体が誘導されないので、鼻咽頭粘膜では、感染防御に作用しない。
 不活化インフルエンザワクチンは、ノイラミニダーゼ(NA)をは、殆ど含んでいない。
 不活化インフルエンザワクチンによる発症阻止効果は、健康成人では、流行ウイルスとの抗原性が一致すれば、70〜90%と言われる。発症阻止効果(有効率)は、1歳以上6歳未満の小児では、20〜30%と言われる。
 不活化インフルエンザワクチンは、1歳未満の小児の摂取量が0.1mlと少なく、抗体の上昇率が悪いこともあり、6カ月未満児への接種は、推奨されない。

 米国では、2004年に、生後6〜23カ月の乳児に、インフルエンザワクチンを接種することを韓国している。2003〜2004年にかけてインフルエンザワクチンの接種を受けた6〜21カ月の健康な乳児(5,193名)に関する検討では、インフルエンザワクチンの2回接種は、インフルエンザ様疾患の予防効果(有効率)が69%、インフルエンザ肺炎の予防効果が87%であると評価されている。しかし、インフルエンザワクチンの1回接種は、インフルエンザ様疾患やインフルエンザ肺炎の予防効果がないと評価されている(生後6カ月以降の乳幼児へのインフルエンザ予防接種は、2回行う必要がある)。

 注3:エステラーゼによるリン酸オセルタミビルの代謝は、ヒトでは主に肝臓で行われるが、ラットでは主に血漿中で行われる。ラットの肝エステラーゼ活性は、ヒトの約1/2000。
 非臨床的な高用量(毒性用量:1000mg/kg、単回)のリン酸オセルタミビルをラットに強制的に経口投与した毒性試験の結果では、7日齢の幼若ラットは、投与2〜3時間後に死亡した。投与2時間後に、体温低下、自発運動の低下、呼吸緩徐、不規則呼吸、振戦などが現われた。14日齢の幼若ラットは、死亡例はなく、体温低下、自発運動の低下が現われたラットが存在した。
 幼若ラット(SD系:7日齢、14日齢、24日齢、42日齢)にリン酸オセルタミビル(1000mg/kg、単回)を強制的に経口投与した実験では、7日齢のラットは投与3〜4時間後に死亡(体温低下、蒼白、自発運動低下)し、14日齢のラットは投与10分で死亡し、24日齢のラットは投与時に死亡(偶発死)した。血漿中や脳中のリン酸オセルタミビル濃度(Ro64-0796)や、オセルタミビル活性体(Ro64-0802)濃度は、幼若なラット程(7日齢>14日齢>24日齢>42日齢)、高かった。特に、幼若なラット程、脳中の濃度(暴露量)が顕著に多く(リン酸オセルタミビルは、非臨床的な高用量ある1000mg/kgを投与すると、脳内濃度は、生後7日目の幼若ラットは、成熟ラットより、約1,500倍高い)これは、血液脳関門が未成熟な為、脳へ容易に移行する為と考えられている。
 ラットの日齢による血漿中や脳中濃度の相違(中外製薬株式会社の公開審査資料概要より引用)
 TK試験  7日齢  14日齢  24日齢  42日齢
 血漿中  脳中  血漿中  脳中  血漿中  脳中  血漿中  脳中
 オセルタミビル   Cmax(μg/mL)   55.5   22500   66.8   4220   13.3    17.2   8.62    7.06
 AUC0-24h(μg/h/mL)  527  128000  580   54100  107   161   57.9   83.3
 Ro64-0802  Cmax(μg/mL)   24.3    17.5  132      10.9   26.9    3.79   41.8    5.73
 AUC0-24h(μg/h/mL)  274    184  792    176  270    42.9  340   59.7
 参考文献
 ・タミフルドライシロップ3%の乳児への投与の安全性に関する検討(中間報告):日児誌 108巻11号 1438頁:2004年.
 ・タミフルカプセル75の予防使用にあたってのご注意(市販直後調査):中外製薬株式会社、シオノギ製薬(2004年8月作成).
 ・黒田文人、他:オセルタミビルの臨床効果はA型よりB型インフルエンザで劣る 第39回中部日本小児科学会(2003、松本市).
 ・田村大輔、他:母乳哺育中の乳児に対するオセルタミビル投与 日本醫事新報 No.4252(2005年10月22日)、93頁.
 ・藤澤和郎、眞弓光文:抗インフルエンザ薬によるA型インフルエンザ治療後のウイルス抗原検出率 日本小児科学会雑誌 108巻3号、428-431:2004年.
 ・木村三生夫、平山宗宏、堺春美:予防接種の手びき 第11版、近代出版(2006年8月15日).
 ・菅谷徳夫:インフルエンザワクチン、日本医師会雑誌(特集 わが国の予防接種の現状と今後)、第136巻・第10号、平成19(2007)年1月、2167-2171頁.
 ・菅谷憲夫:第109回日本小児科学会学術集会 分野別シンポジウム:インフルエンザup-to-date 抗インフルエンザ薬の現状、日本小児科学会雑誌、110巻12号、1638-1643頁(2006年).
 ・オセルタミビルとザナミビルの予防投与が効果的、Medical Tribune、2007年2月22日、63頁.
 ・五十嵐隆:2003〜2004年における生後6〜21か月の健康な乳幼児に対するインフルエンザワクチンの有効性、日本医師会雑誌、第136巻・第12号、平成19(2007)年3月、2546頁.
 ・抗インフルエンザウイルス剤 タミフル カプセル75、中外製薬株式会社、TAM05概要00202 AE0000.PH(2005年11月改訂).
 ・小田修司:特集 インフルエンザ治療 今年はどうする?、「異常行動」は病気のせいか、薬のせいか、Nikkei Medical 2007.11、70-71頁.

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