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 降圧剤

 降圧剤(高血圧治療薬)には、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬などが存在する。

 狭心症を合併した高血圧患者には、Ca拮抗薬とβ遮断薬とが、第一次薬になる。冠攣縮が原因の狭心症では、Ca拮抗薬が著明な効果を現すが、β遮断薬は冠攣縮を増悪させるおそれがある。動脈硬化(器質的冠動脈狭窄)による労作性狭心症には、β遮断薬も、Ca拮抗薬と同様に有効。
 降圧剤治療中に、眩暈、ふらつき、だるさ、頭重感、脱力、気力低下、脳卒中の神経症候の増悪が見られた場合には、脳循環不全症のおそれがあるので、降圧剤の減量や変更を検討する。
 表 高齢者高血圧患者の合併症と降圧剤の選択参考文献の表8-3を改変し引用 ◎:積極的適応、○:適応可、△:使用注意、×:禁忌
 降圧剤  脳血管
 障害
 慢性期
 虚血性
 心疾患
 心不全  腎障害  糖尿病  高脂血
 症
 痛風  慢性
 閉塞性
 肺疾患
 閉塞性
 動脈
 硬化症
 骨粗鬆
 症
 前立腺
 肥大症
 Ca拮抗薬(DHP)  ◎  ◎  ◎  ◎  ◎  ◎  ◎  ○  ◎   ○  ○
 ACE阻害薬/ARB  ◎   ◎  ◎  ◎  ◎  ◎  ◎  ○  ◎  ○  ○
 利尿薬  ◎  ○   ◎  ◎  △  △  ×  ○  △  ○  ○
 β遮断薬  ○  ◎  △  ○  △  △  ○  ×   ×  ○  ○
 α遮断薬  ◎  ◎  △  ○  △  ◎  ○  ○  ○  ○  ◎
 心筋梗塞後には、β遮断薬、RAA系抑制薬(ACE阻害薬やARB)、抗アルドステロン薬の投与が良い。
 心不全には、β遮断薬+RAA系抑制薬+利尿薬を併用するが、少量から緩徐に増量する。
 心肥大には、RAA系抑制薬、長時間作用型Ca拮抗薬の投与が良い。
 慢性腎疾患には、RAA系抑制薬(ACE阻害薬やARB)の投与が良い(蛋白尿が減少する)。 
 脳血管障害(脳卒中後の慢性期)には、ACE阻害薬+少量の利尿薬、Ca拮抗薬、利尿薬の投与が良い。
 表 降圧薬の適応疾患と禁忌と副作用(参考文献の山村氏の表などを引用)
 降圧薬  適応疾患  禁忌  副作用
 α遮断薬  高脂血症、前立腺肥大  起立性低血圧  立ちくらみ、めまい
 β遮断薬  狭心症・心筋梗塞後、頻脈、心不全  喘息、房室ブロック  徐脈、喘息
 利尿薬  脳血管疾患後、心不全、腎不全(ループ利尿薬)、高齢者、塩分多量摂取者  痛風  耐糖能低下(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)、低K血症
 ACE阻害薬  脳血管疾患後、心筋梗塞後、心不全、左室肥大、腎障害、糖尿病、高齢者、  妊娠、高カリウム血症、両側腎動脈狭窄  空咳
 ARB  脳血管疾患後、心筋梗塞後、心不全、左室肥大、腎障害、糖尿病、高齢者、  妊娠、高カリウム血症、両側腎動脈狭窄  血管浮腫
 Ca拮抗薬  脳血管疾患後、狭心症、左室肥大、糖尿病、高齢者、  房室ブロック  顔のほてり、浮腫、動悸
 Ca拮抗薬:Caチャネルに作用し、血管平滑筋(冠動脈や末梢細動脈)の細胞内へ流入するCa2+を抑制し、血管を拡張させる。
 ACE阻害薬:アンジオテンシン変換酵素(ACE)を抑制し、アンジオテンシン(AII)の産生を抑制する。
 ARB:AII受容体(AT1受容体)に作用し、アンジオテンシン(AII)の作用を抑制する。
 利尿薬:腎臓の尿細管からのNaや水の排泄を促進させる。
 交感神経抑制薬:交感神経系を、中枢(脳神経系)ないし末梢で抑制する。
 血管拡張薬:末梢血管に直接作用し、血管を拡張させる。

 1.Ca拮抗薬
 Ca拮抗薬は、Caチャネルに作用し、血管平滑筋(冠動脈や末梢細動脈)の細胞内へ流入するCa2+を抑制し、血管を拡張させる。
 短時間作用型のCa拮抗薬は、虚血性心疾患(狭心症などの発作)を誘発させるおこれがある。

 降圧剤として使用されるCa拮抗薬には、ジヒドロピリジン系と、ベンゾチアゼピン系(ジルチアゼム)とがある。
 短時間作用型のニフェジピンカプセル製剤は、速効性の強力な降圧作用を現すが、降圧の結果、交感神経系や、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)が活性化され、頻脈(心拍数増加)が現れたり、心臓負荷(心仕事量)が増加してしまう。

 長時間作用型のアムロジピンは、副作用として、下肢の浮腫が多い。
 アゼルニジピンは、降圧作用がゆっくり長期に発現し、心拍数が変化しない(徐脈が少ない)。
 ジルチアゼム(ベンゾチアゼピン系)は、降圧効果は強くないが、心伝導系を抑制し、心収縮力を軽度低下させ、心拍数は減少させる(徐脈になる)。ジルチアゼムは、β遮断薬とは、併用しない方が良い。

 Ca拮抗薬は、副作用として、顔面紅潮、頭痛、動悸、浮腫(上肢や下肢)、便秘、歯肉増生などが現れる。Ca拮抗薬は、急激な降圧作用で反射性頻脈を生じ、また、心伝導系の抑制作用により徐脈を生じるおそれがある。
 長時間作用型のCa拮抗薬は、圧負荷を軽減するので、心肥大退縮作用がある。

 Ca拮抗薬(ニファジピンなど)は、ジギタリスの血中濃度を上昇させることがある。
 Ca拮抗薬(ニファジピンなど)は、H2ブロッカー(シメチジン、ラニチジンなど)や、マクロライド系抗生物質(EM、CAM等)、グレープフルーツジュースにより、作用が増強する。

 Ca拮抗剤は、血清脂質に影響しなくても、抗炎症作用等により、動脈硬化を抑制する。
 Ca拮抗剤は、血清脂質に影響しなくても、抗炎症作用等により、動脈硬化を抑制する。
 Ca拮抗薬(Ca++-antagonist)は、殆んど完全に、動脈硬化(粥状硬化)の発生を抑制する
 ニフェジピン、ニカルジピンなどのCa拮抗薬(カルシウム拮抗薬)は、冠動脈の新しいアテローム性動脈硬化病変の形成や、早期病変の進行を予防し、動脈硬化の進行を予防する。しかし、ニフェジピンは、新しい病変の形成(発症)を予防するが、既に形成されていた病変には、影響しない。
 高血圧の治療に、降圧剤として使用されるカルシウム拮抗剤(アゼルニジピンなど)は、細胞内Ca2+濃度(細胞質ゾルのカルシウム濃度:Cac)の上昇を抑制し、血管内皮細胞への単球の接着を抑制し、動脈硬化の進展を、抑制する。
 動脈硬化の血管(大動脈や冠動脈)の石灰化は、血管局所での炎症が原因と言われる。血圧でも、脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が高いと、石灰化が進み易い。
 表 主な降圧剤参考文献と添付文書を参考に作成)
 種類  製品名  一般名  製剤(mg)  1日投与量  投与回数  最大量  主な特徴・副作用  妊婦
 Ca
 拮抗薬
 アダラートCR  ニフェジピン  10、20、40  20〜40  1回  60  内服60hr後迄に60%排泄、歯肉肥厚  禁
 アムロジン  アムロジピン  2.5、5  2.5〜5  1回  (5)  反射性頻脈少、半減期39時間  禁
 カルスロット  マニジピン  5、10、20  5〜20  1回(朝食後)  (20)  めまい、頻脈、顔のほてり  禁
 カルブロック  アゼルニジピン  8、16  8〜16  1回(朝食後)  16  頻脈少、めまい、顔面紅潮、ほてり  禁
 コニール  べニジピン  2、4、8  2〜4  1回(朝食後)   8  めまい、動悸、顔面紅潮、ほてり  禁
 ランデル  エホニジピン  10、20、40  20〜40  1〜2回  60  頻脈少、房室ブロック、顔面潮紅  禁
 ACE
 阻害薬
 カプトリル  カプトプリル  12.5、25  37.5〜75  3回  150  めまい、動悸、  禁
 コナン  キナプリル  5、10、20  5〜20  1回  (20)  血管浮腫、急性腎不全、膵炎  禁
 ゼストリル  リシノプリル  5、10、20  10〜20  1回  (10)  血管浮腫、高K血症、急性腎不全  禁
 タナトリル  イミダプリル  2.5、5、10   5〜10  1回  (10)  空咳少、血管浮腫、めまい  禁
 レニベース  エナラプリル  2.5、5、10  5〜10   1回  (10)  血管浮腫、急性腎不全、めまい  禁
 ロンゲス  リシノプリル  5、10、20  10〜20  1回  (20)  血管浮腫、腎不全、高K血症  禁
 ARB  アバプロ  イルベサルタン  50、100  50〜100  1回(朝)  200  胆汁中排泄(CYP2C9)、めまい  禁
 オルメテック  オルメサルタン  5、10、20  5〜20  1回  40  胆汁中排泄、高K血症、めまい  禁
 ニューロタン  ロサルタン  25、50  25〜50  1回  100  血管浮腫、めまい、ほてり、咳  禁
 バルサルタン  ディオバン  20、40、80、160  40〜80  1回  160  胆汁中排泄、血管浮腫、高K血症  禁
 ブロプレス  カンデサルタン  2、4、8、12  4〜8  1回  12  血管浮腫、めまい、たちくらみ、発疹  禁
 ミカルディス  テルミサルタン  20、40  20〜40  1回  80  胆汁中排泄、血管浮腫、高K血症  禁
 サイアザイド系
 利尿薬
 ダイクロトライド  ヒドロクロロチアジド  25  25〜100  1〜2回  (100)  低Na血症、低K血症、光線過敏症  有益性
 フルイトラン  トリクロルメチルアジド  2  2〜8  1〜2回  (8)  低Na血症、低K血症、光線過敏症、  有益性
 ループ利尿薬  ラシックス  フロセミド  20、40、細粒  40〜80  1回(連〜隔日)  (80)  低Na・K・Ca血症、半減期0.35時間  有益性
 ラシックス注  フロセミド  20、100  20〜40  1回(静〜筋注)  1000  ショック、難聴、低K血症  有益性
 抗アルドステ
 ロン薬
 アルダクトンA  スピロノラクトン  50、細粒  50〜100  分割経口投与  (100)  低Na血症、高K血症、急性腎不全  有益性
 トリテレン  トリアムテレン  50(カプセル)  90〜200  2〜3回  (200)  高K血症、急性腎不全、めまい  有益性
 β
 遮
 断
 薬
 β1選択性
 ISA−
 ケルロング  ベタキソロール  5、10  5〜10  1回  20  徐脈、気管支喘息発作、心不全増悪  禁
 セロケン  メトプロロール  20、40  60〜120  3回  240  徐脈、気管支喘息発作、心不全増悪  禁
 テノーミン  アテノロール  25、50  50〜100  1回  100  徐脈、気管支喘息発作、心不全増悪  有益性
 β1選択性
 ISA+
 アセタノール  アセブトロール  100、200  200〜400  1〜2回  600  徐脈、気管支喘息発作、心不全増悪  禁
 セレクトール  セリプロロール  100、200  100〜200  1回  400  徐脈、気管支喘息発作、心不全増悪  禁
 β1非選択性
 ISA−
 インデラル  プロプラノロール  10、20  30〜60  3回  120  徐脈、気管支喘息発作、心不全増悪  緊急時
 セレカル  チリソロール  10、20  10〜20  1回  30  徐脈、気管支喘息発作、心不全増悪  禁
 β1非選択性
 ISA+
 サンドノーム  ボピンドロール  0.5、1  1  1回  2  徐脈、気管支喘息発作、心不全増悪  禁
 ミケラン  カルテオロール  5、細粒  10〜15  2〜3回  30  徐脈、気管支喘息発作、低血糖  禁
 α遮断薬  カルデナリン  ドキサゾシン  0.5、1、2  0.5〜4  1回  8(16)  徐脈、失神、不整脈、めまい、ほてり  有益性
 ミニプレス  プラゾシン  0.5、1、2  1〜6  2〜3回  15  徐脈、失神、起立性低血圧  有益性
 合剤  プレミネント  ロサルタン+ヒドロクロロチアジド  50/12.5  1錠  1回  1錠  血管浮腫、横紋筋融解症、ほてり、低Na血症、低K血症  禁
 2.ACE阻害薬
 ACE阻害薬(ACE阻害剤)は、諸臓器(循環血中や心血管系など)に存在するACEを阻害し、アンジオテンシンII(ATII)の生成を抑制し、RAA系(レニン・アンジオテンシン系)を抑制する。

 ACE(アンジオテンシン変換酵素)は、キニナーゼII作用がある。ACE阻害薬により、キニナーゼII作用が阻害されると、ブラジキニン、プロスタグランジンE2(PGE2)、プロスタグランジンI2(PGI2)、一酸化窒素(NO)の産生が増加するので、RAA系が抑制されている患者でも、降圧する。
 心血管系には、ACE以外に、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する酵素(キマーゼ、カテプシンGなど)が存在する。その為、ACE阻害薬によりACEが阻害されても、アンジオテンシンIIは生成される。

 ACE阻害薬は、アンジオテンシンIIの生成を阻害し、末梢血管を拡張させ降圧作用を現すが、交感神経活性の亢進は起こらないので、反射性頻脈や、Naや水の貯留は、来たさない。
 ACE阻害薬は、腎臓糸球体の輸出細動脈を拡張させる。糸球体内圧が低下し、尿蛋白の減少など腎保護効果が現れる。ACE阻害薬の腎保護効果は、全身血圧の変化とは無関係に現れる。

 ACE阻害薬は、心血管系の肥厚を改善し、動脈硬化の進展を阻止する。
 ACE阻害薬は、糖代謝や脂質代謝に悪影響しない。
 ACE阻害薬は、インスリン抵抗性を改善する。
 ACE阻害薬は、心不全や心筋梗塞の予後を改善する。 
 ACE阻害薬は、妊婦には投与しない(妊娠中の高血圧には、投与しない)。
 ACE阻害薬は、心肥大の原因となる圧負荷を軽減させ、心肥大を改善する効果が、他の降圧剤より優れている。
 ACE阻害薬やARBの投与で、RAA系が抑制されると、腎障害(糖尿病性腎症、慢性腎炎)の進展が阻止される。RAA系の抑制により、全身血圧が降下し、また、腎糸球体の輸出細動脈が拡張し、糸球体高血圧が改善されるが、GFRは、低下する(機能的変化)。ACE阻害薬やARBの尿蛋白減少作用(腎保護作用)は、減塩すると、増強される。ACE阻害薬やARBの投与後、2週間以内に腎機能が悪化(血清クレアチニン値が上昇)した場合、腎動脈硬化症の可能性がある(注1)。ACE阻害薬やARBの投与後、血清カリウム(K)値が上昇することがある。
 ACE阻害薬は、尿中排泄性の薬剤が多く(腎臓で代謝を受ける→腎機能が低下している患者には投与量を減らす)、ARBは、胆汁排泄性の薬剤が多い(肝臓で代謝を受ける)。
 ACE阻害薬は、副作用として、血管浮腫(呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする)、急性腎不全、高カリウム血症、膵炎、咳(空咳)、動悸、顔面紅潮などが現れることがある(ほてりは現れない)。血管浮腫では、顔面、口唇、咽頭・喉頭、舌等に腫脹が現れ、喉頭浮腫等により呼吸困難を来たすこともある(観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う)。

 ヒトでは、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する酵素(活性化経路)には、ACE以外に、キマーゼが存在する。ACE阻害剤のみでは、アンジオテンシンIIの生成を抑制し、RAA系(RAAS)を抑制することは出来ないと考えられている。

 ACE阻害薬は、ブラジキニンNO(一酸化窒素)、COX-2を増加させ、血管内皮機能(血管内皮細胞)機能を高め、血液凝固炎症を抑し(血栓形成を抑制する)、血管保護作用を現わす。
 マクロファージは、活性化させられると、MMP(matrix metalloprotease:マトリックスメタロプロテアーゼ)を産生する。MMPは、細胞外マトリックス調節に関与している蛋白分解酵素。MMPは、プラークの繊維性皮膜を崩壊させるので、急性心筋梗塞や不安定狭心症が起こり易くなる。ACE阻害薬(塩酸イミダプリル、医薬品名:タナトリル錠)は、プラークを脆弱化させるMMP-2やMMP-9の活性を、直接的に抑制する作用があると言う。ACE阻害薬は、腹部大動脈瘤に対する保護効果が認められているが、ARBは、認められていない。MMPは、コラーゲンやエラスティン代謝に関連する。ACEもMMPも、活性中心に亜鉛(Zn)を含有する酵素。ACE阻害薬は、MMPを直接的に阻害する作用がある。ACE阻害薬のカプトプリル(カプトリル)は、1〜1,000nMの低濃度で、濃度依存的に、MMP-2、MMP-9の活性を抑制する。ACE阻害薬は、炎症に対しても、抑制的に作用する。MMPの発現には、アンジオテンシンIIや酸化ストレスが関与している。
 イミダプリル(医薬品名:タナトリル)は、空咳の頻度が少ない。
 イミダプリル(医薬品名:タナトリル)は、心肥大(左室肥大)退縮効果がある(降圧作用とは独立した効果)。ACE阻害薬は、アンジオテンシンIIの生成を抑制し全身の血管抵抗を減少させると同時に、ブラジキニンの活性を増加させ、NOの産生を促進させる。イミダプリルは、心臓への組織移行性が優れている。
 ACE阻害薬(タナトリルなど)は、心筋梗塞後の患者の冠動脈の側副血行路の発達を促進させる。ARBは、側副血行路の発達を促進させる効果は見られていない(投与群は、非投与群と有意差がない)。ACE阻害薬投与群は、ARB投与群に比して、約4倍、側副血行路が発達する。ACE阻害薬は、ACEを抑制し、ブラジキニンを増加させ、NOを増加させ、血管新生を促進させる。ATIIは、AT2受容体を介して血管新生を抑制するが、ACEが、ATII産生を抑制し、血管新生を促進する。ACE阻害薬には、心不全抑制作用があるが、心不全は、血管新生が抑制されて起こると考えられている。ACE阻害薬は、血管新生作用がある。ACE阻害薬による血管新生作用は、ブラジキニンやNOを増加させることによる血管新生の促進作用に加え、AT2受容体刺激(血管新生を抑制する)を減少させることによると考えられている。ARBは、ブラジキニンやNOの増加作用はなく、AT2受容体刺激(血管新生を抑制する)を増加させる。
 ACE阻害薬は、心臓病の薬(冠状動脈疾患を改善する)、ARBは、高血圧の薬と言う人もいる。
 冠動脈疾患を有する患者には、ACE阻害薬が、最も有効。PCI後に、ACE阻害薬を服用させた方が、血管内皮細胞の回復が、有意に良い。冠動脈疾患の患者の内、3〜4割の症例は、高血圧症を合併している。
 ACE阻害薬で、十分な降圧が得られない場合、利尿薬を併用するより、Ca拮抗薬を併用する方が、心血管イベントが抑制される(ACCOMPLISHスタディ)。ACE阻害薬で臓器保護をし、Ca拮抗薬で血圧を下げる。
 脳卒中は、近年、脳梗塞が増加している(脳出血は減少し、くも膜下出血は増減なし)。脳梗塞は、アテローム血栓性脳梗塞、心原因性脳塞栓梗塞、ラクナ脳梗塞などが存在する。最近は、アテローム血栓性脳梗塞(糖尿病、脂質異常、肥満が原因)と心原因性脳塞栓(高齢者の心房細動が原因)が増加している。心原因性脳塞栓では、心臓に出来るフィブリン血栓(動脈に生じる血小板血栓より大きい)が原因で、脳の太い動脈を閉塞させ、再発率や後遺症を残すことが多く、死亡率も高い。高血圧の人に降圧療法を行うと、脳卒中の発症が、4割減少すると言う。
 慢性心不全や左心機能低下の患者には、ACE阻害薬を投与する方が、ARBの投与より良い。
 タナトリルは、組織親和性が高い。イミダプリル(タナトリル)は、エナラプリル(レニベース)やカプトプリル(カプトリル)に比して、組織ACE活性(高血圧自然発症ラットの胸部大動脈のACE活性)を、持続的に強力に抑制する)。

 3.ARB
 ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)は、AII受容体(AT1受容体)に作用し、アンジオテンシン(AII)の作用を抑制する。その結果、末梢血管の拡張、アルドステロン分泌抑制、交感神経末端からのノルアドレナリン放出抑制が起こり、血圧が低下する。
 ARBを投与すると、レニン産生が増加する。その結果、アンジオテンシンIIの生成が増加し、II型受容体(AT2受容体)に作用する。
 ARBは、ACE阻害薬と同様に、心臓や腎臓の保護効果がある。
 ARBを投与すると、新規の糖尿病の発症が少ない。
 両側腎動脈狭窄症や、腎動脈に狭窄がある単腎症では、ARB投与によって、急速に腎機能が低下することがある。
 ARBは、高K血症を呈する高血圧患者には、投与しない。
 糖尿病性腎症には、ACE阻害薬やARBが良い。
 ARBでも、副作用として血管浮腫が現れることがある。

 ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)は、片頭痛(偏頭痛)の発作を予防する効果がある。片頭痛患者は、高血圧リスクが高い。

 テルミサルタン(商品名:ミカルディス)は、インスリン抵抗性を改善する(アディポネクチン上昇、中性脂肪低下、HDL-C上昇、hs-CRP低下、PPARγ活性化)。インスリン抵抗性が亢進時、インスリン受容体数は変化していない。
 テルミサルタンは、胆汁からほぼ100%排泄される。PPARγ活性化作用は、ARBでは、テルミサルタン(商品名:ミカルディス)のみが有する。
 テルミサルタンは、CYP代謝の影響を受けない。テルミサルタンは、肝代謝酵素P-450によって代謝されない。テルミサルタンは、UGT酵素(UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ)によるグルクロン酸抱合により代謝される。しかし、14Cで標識したテルミサルタン40mgを静脈内投与した実験結果では、投与したテルミサルタン(血漿中総放射能)の84%以上は未変化体であり、残りはグルクロン酸抱合体であったと言う。テルミサルタンは、未変化体に降圧作用(AT1受容体拮抗作用)がある。テルミサルタンの未変化体は、殆ど尿中に排出されない(投与24時間後までの平均累積尿中排泄率は、0.02%以下)。
 テルミサルタンは、40mgを1日1回内服する(1日2mgから内服を開始し漸次増量する)。
 テルミサルタンは、心血管イベント発症抑制効果がある。テルミサルタン(80mg/日)は、ラミプリル(10mg/日)と比較して降圧度(6週間後)が優れていて、心血管死、心筋梗塞、脳卒中は同等の効果が得られる(ONTARGET)
 ARB(ミカルディス)は、心不全に関しては、ACE阻害薬より、入院減少効果が劣る。
 テルミサルタンは、ARBの中でも、唯一、PPARγ活性化作用を有する。
 テルミサルタンは、アンジオテンシン経路の遮断により、高血圧、酸化ストレス、細胞増殖、炎症を抑制する。テルミサルタンは、また、PPARγ経路の活性化作用により、インスリン抵抗性、脂質異常、細胞増殖、炎症を抑制する。その結果、動脈硬化が抑制され(血管保護)、心血管イベントが抑制される。
 テルミサルタンは、ウサギ(WHHLウサギ)の実験で、大動脈のプラーク形成(動脈硬化)を抑制する。このテルミサルタンの動脈硬化抑制作用は、PPARγ阻害薬により、部分的に消失することから、テルミサルタンは、PPARγ活性化作用を介して、脂質異常を改善させ、動脈硬化を抑制すると考えられている。
 テルミサルタン(ミカルディス錠)は、空腹時投与した場合は、食後投与した場合より、血中濃度が高くなる
 テルミサルタン(ミカルディス)は、殆どが(98%以上)が、胆汁中に排泄され(糞便から排泄される)、また、血中の半減期(T1/2)も、投与量20mgでは24.0±11.0時間、投与量40mgでは20.3±12.1時間、投与量80mgでは20.9±10.6時間と、長い。肝障害患者では、テルミサルタンの血中濃度が、約3〜4.5倍に上昇する。

 ARB(AT1レセプターブロッカー)のオルメサルタン(オルメサルタン メドキソミル:医薬品名:オルメテック錠)は、CKD合併高血圧患者に投与すると、降圧作用(収縮期血圧と拡張期血圧を共に低下させる)、尿蛋白減少作用(尿蛋白が、投与前平均2.29±2.04g/24hrあったのが、投与後平均1.21±1.19g/24hrに減少する)がある。
 オルメサルタンは、側鎖として、COOH基(カルボキシル基)に加え、OH基(ヒドロキシル基)を有しており(ダブルチェーンドメイン)、AT1受容体に、これら2つの側鎖を介して強力に結合するので、降圧作用が強いと言う。
 ACE阻害薬(ACEI)も、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)も、高血圧を改善することで(降圧作用による血圧依存性に)、冠動脈イベントのリスクを減少させる(ACEIやARBを服用し、血圧が正常化すると、心筋梗塞などの発作が起こり難くなる)。
 ACE阻害薬(ACEI)は、高血圧を改善することで(血圧非依存性に)、冠動脈イベントの相対リスクを9%減少させる効果がある。しかし、ARBには、そのような効果は、認められていない。

 ARB(テルミサルタン)と、ACE阻害薬(ラミプリル)を併用して投与すると、腎機能の低下を招くと言う報告がある(Mnn JFE, et al.)。

 カンデサルタン シレキセチル(商品名:ブロプレス錠)は、アンジオテンシンII受容体との解離半減期が長く、受容体たおの結合力が強い(T/P比が長く、持続性に優れている)。カンデサルタンは、慢性心不全にも、効能がある(ARBで唯一)。カンデサルタンは、食事の影響を受けない(ディオバン、ミカルディスは、食事によりAUCが低下する)。カンデサルタンの効果は、性差がない(ニューロタン、ミカルディスは、女性で血中濃度が2倍に増加する)。カンデサルタンは、脳血管障害に対しても、安心して使用できる(唯一、慎重投与の記載がない)。
 カンデサルタン(商品名:ブロプレス錠)を、糖尿病性網膜症がある2型糖尿病患者に内服させる(16mg/1回/1日→32mg/1回/1日)と、糖尿病性網膜症を有意に改善させると言う。カンデサルタンの投与は、増殖が目立つ早期段階では回復効果が期待出来るが、虚血が主体の後期段階では、回復は期待出来ない(ARVO)。

 ARBのAT1受容体(AT1レセプター)との解離半減期は、カンデサルタン(医薬品名:ブロプレス)が120分(ブロプレスは、Strong & Longに作用する)。
 ARBのAT1受容体に対する結合力(AT1受容体結合率)は、カンデサルタン(医薬品名:ブロプレス)を1とした場合、オルメサルタンは0.73(解離半減期は75分)、テルミサルタンは0.083(解離半減期は25分)、バルサルタンは0.17(解離半減期は17分)、イルベサルタンは0.15(解離半減期は7分)、ロサルタンは0.014(解離半減期はfast=約数分)。
 表 ARBの比較(医薬品メーカーの資料や添付文書などを基に作成)
 製品名  アバプロ  オルメテック  ディオバン  ニューロタン  ブロプレス  ミカルディス
 一般的名称  イルベサルタン  オルメサルタン  バルサルタン  ロサルタン  カンデサルタン  テルミサルタン
 降圧作用  ◎  ◎  △  △  ○  ○
 用量(mg)  100   20   80   50    8   40
 アディポネクチン増加作用  +  −  −  −  −  +
 PPARγ活性化作用  +  −  −  −  −  +
 血中尿酸低下作用  +(上昇例あり)  −(上昇例あり)  −(上昇例あり)  +(上昇例あり)  −(上昇例あり)  −(上昇例あり)
 活性体  未変化体  活性代謝物  未変化体  活性代謝物  活性代謝物  未変化体
 臓器保護  脳      ○     ○  
 心臓      ◎  ◎  ◎  ○
 腎臓  ◎    ○  ◎  ○  ◎
 物性(脂溶性)  比較的高い  低い  中間  低い  中間  高い
 蛋白結合率  約97%  99%  85-99%  99.6%  99%以上  99%以上
 生体利用率(%)  60〜90  25.6  39  33  34.3〜55.6  43
 血中濃度  Tmax(hr)   1.6±0.9  1.7〜2.2  2〜3  約3  4.5±1.3  4.6±1.7
 T1/2(hr)   13.6±15.4  11  3.9±0.6  約4  11.2±7.2  20.3±12.1
 代謝  CYP  CYP2C9    (CYP2C9)  CYP2C9  CYP2C9  −
 グルクロン酸抱合  +    −   −   −  (+)
 排泄  代謝物  活性代謝物  未変化体  代謝物  活性代謝物  未変化体 
 排泄経路  肝臓(胆汁中)  +++  +++  +++  ++  +  +++++
 腎臓  +  +  +  +  +  −
 糞便中  約54%  77.2%  86%(168時間値)  58%  36%(静注時)  102%(144時間値)
 尿中  約20%  12.6%  13%(168時間値)  約35%(6.1〜7.9%)  10〜12%  0.5%
 肝機能低下症例に対して  △  △  △  ×  △  ×
 腎機能低下症例に対して  △  △注意  △  △  △(注意)  −
 :CYP1A2、CYP2D6、及び、CYP2E1をは阻害せず、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C9、及び、CYP3A4をは阻害するがその程度は弱い。
 :オルメサルタン メドキソミルは、プロドラッグであり、経口投与後、腸管及び肝臓あるいは血漿において加水分解され、活性代謝物オルメサルタンに代謝される。オルメサルタン メドキソミル20mgを、単回経口投与したところ、血漿中には活性代謝物のオルメサルタンのみが認められ、投与量(総放射能)の12.6%が240時間後までに尿中へ、77.2%が312時間後までに糞中へ排泄された。オルメサルタンの血清蛋白結合率は99%と高く、主に、アルブミンのワルファリンサイトに結合する。しかし、ワルファリンとの併用試験では、ワルファリンの薬物動態に影響がなく、オルメサルタンは、ワルファリン服用中の患者に投与しても、血液凝固系に影響を及ぼさないと言われる。オルメサルタンは、CYPで代謝を受けない。
 :バルサルタンを経口投与後の血漿中には、主として未変化体が存在するが、主としてCYP2C9による代謝物の4-ヒドロキシ体も生じる。4-ヒドロキシ体は、糞中に8%(12〜72時間値)が、尿中に1%(48時間値)が排泄される。
 :ロサルタンカリウムは、経口投与された後、速やかに吸収され、主に肝臓でCYP2C9により代謝を受け、活性代謝物のカルボン酸体 (EXP3174:イミダゾール環の5-ヒドロキシメチル基の酸化物) に変換される。ロサルタンやカルボン酸体(EXP3174)は、共に、生理的昇圧物質のアンジオテンシンII (A-II) のAT1受容体と選択的に結合し、A-IIの昇圧作用を拮抗阻害する(ACE阻害作用はない)。ロサルタンカリウムを1回経口投与(25、50、100、又は、200mg)すると、投与後30時間後までに、ロサルタンは3.2〜4.1%が、カルボン酸体は6.1〜7.9%が、尿中に排泄されると言う。透析患者にロサルタンを投与した時、ロサルタンや代謝物のカルボン酸体は、透析により血漿中から除去されない。
 :カンデサルタン シレキセチルは、小腸から吸収される際に、小腸のカルボキシルエステラーゼにより、活性代謝物のカンデサルタン(CV-11974)に代謝される。さらに、一部は、CYP2C9により非活性代謝物M-IIに代謝され。M-IIの血中濃度や尿中排泄率は、カンデサルタンの血中濃度や尿中排泄率に比して低いので、CYP2C9の遺伝的多型により、カンデサルタンの血中濃度が影響を受けることは、少ないと言われる。カンデサルタンは、CYP1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9-Arg、2C19、2D6、2E1、3A4の代謝活性を阻害しない。カンデサルタンの蛋白結合率は、ヒト血清などを用いて実験結果では、99%以上。尿中には、活性代謝物のカンデサルタンやM-IIが排泄される。カンデサルタン シレキセチルは、尿中に排泄されない。
 :テルミサルタン(ミカルディス錠)は、空腹時投与した場合は、食後投与した場合より、血中濃度が高くなる。テルミサルタン(ミカルディス錠)は、CYPの影響を受けない(代謝を受けない)。14Cで標識したテルミサルタン40mgを静脈内投与した実験結果では、投与したテルミサルタン(血漿中総放射能)の84%以上は未変化体であり、残りはグルクロン酸抱合体であったと言う。未変化体は、殆ど尿中に排出されない(投与24時間後までの平均累積尿中排泄率は、0.02%以下)。
 尿酸値に対する影響としては、ARBでも、アバプロ(イルベサルタン)やニューロタンは有意に低下させ、ブロプレスは有意に上昇させ、ディオバン、ミカルディス、オルメテックは変化させないと言う(アバプロ、ニューロタン、ディオバンも、副作用として、尿酸値が上昇することが添付文書に記載されている)。

 MMPの発現には、アンジオテンシンIIや酸化ストレスが関与している。
 MMPやACEは、活性中心に亜鉛(Zn)を有するプロテアーゼであり、構造が類似している。
 ACE阻害薬(タナトリルなど)は、ACEの活性中心に結合し、降圧作用を示すと同時に、MMPの活性中心にも直接結合し、MMP発現を抑制する。
 ARBは、アンジオテンシンIIを介するMMP発現のみを抑制する。ARBは、酸化ストレスが関与するMMP発現をは、抑制出来ない。

 4.利尿薬
 腎臓の尿細管に作用し、Naや水の再吸収を抑制する(排泄を促進する)。
 表 利尿薬の利尿作用の比較(参考文献の「標準薬理学」の283頁の表14-5を改変し引用)
 利尿薬の分類  一般名  薬剤名  最大Na利尿
 (%)
 GFR  尿中イオン排泄
 Na+  K+  Cl-  HCO3-  Ca2+
 炭酸脱水酵素阻害薬  acetazolamide  ダイアモックス     5  →  ↑  ↑  →  ↑  ↑
 ループ利尿薬  furosemide  ラッシックス    25  →↑  ↑  ↑  ↑  →  ↑
 サイアザイド系利尿薬  thiazide  ダイクロトライド     8  ↓  ↑  ↑  ↑  →  →↓
 抗アルドステロン薬  spironolactone  アルダクトンA     3  →  ↑    ↑  →↑  →
 直接作用薬  triamterene  トリテレン     3  →  ↑   ↓  ↑  →↑  →
 利尿剤は、投与初期には、循環血液量が減少し、末梢血管抵抗が増加し、心拍出量が低下する。利尿剤の投与を継続していると、心拍出量は徐云に元のレベルに回復し、末梢血管抵抗が低下し、降圧効果が維持される。
 利尿薬には、サイアザイド系利尿薬抗アルドステロン薬アルドステロン拮抗薬)、ループ利尿薬などが存在する。
 降圧利尿薬は、糖代謝に悪影響を及ぼすが、脳血管合併症や心血管合併症(心血管イベント)を予防する効果は、Ca拮抗薬や、ACE阻害薬や、ARBに匹敵する。
 表 降圧薬の脳循環に及ぼす急性効果参考文献の表6-1を改変し引用)
 降圧薬  脳血流量  脳血流自動調節下限域  脳代謝
 Ca拮抗薬  ↑  ↓  →
 ACE阻害薬  →↑  ↓  →
 ARB  →↑  ↓  
 利尿薬  ↓    
 β遮断薬  ↓(↑)  →↑(↓)  ↓
 α遮断薬  →↑  ↓  
 a).サイアザイド系利尿薬
 遠位尿細管に於いて、Na再吸収を抑制する。
 サイアザイド系利尿薬は、遠位尿細管のNa+-Cl-共輸送体を阻害しNa+の再吸収量を減少させ、利尿効果を現わす。
 サイアザイド系利尿薬は、心血管病の予防に有用(=サイアザイド系利尿薬は、心血管系臓器保護効果あり)。

 サイアザイド系利尿薬は、Na排泄と、K排泄とを促進させる。サイアザイド系利尿薬は、低K血症を来たし易い(不整脈や突然死が起こるおそれがある)。
 低K血症は、サイアザイド系利尿薬を少量投与する(常用量の1/4〜1/2量を投与する)ことや、ARB又はACE阻害薬と併用することで、予防可能。
 サイアザイド系利尿薬は、副作用として、低K血症の他に、痛風、高脂血症、耐糖能異常(糖尿病)、勃起不全、脱水による血液濃縮、日光過敏性皮膚炎、骨髄抑制などが現れることがある。

 b).抗アルドステロン薬
 抗アルドステロン薬アルドステロン拮抗薬)のスピロノラクトンは、腎臓の遠位尿細管や接合集合管に作用し、アルドステロンなどの鉱質コルチコイドに拮抗し、Na排泄を促進し(Na再吸収を抑制し)、K排泄、H排泄を抑制する。
 アルドステロンには、心血管系障害作用がある。
 抗アルドステロン薬は、副作用として、勃起不全、女性化乳房、高K血症(腎障害例で現れる)などが現れることがある

 抗アルドステロン薬は、(腎障害例に投与すると)尿蛋白を減少させる作用があるが、血清K値を上昇させる(高K血症)おそれがある。

 抗アルドステロン薬のトリアムテレン(K保持性利尿薬)は、主に、腎臓の遠位尿細管に作用し、鉱質コルチコイド(アルドステロンなど)と無関係に、Na+とK+の交換を抑制し、K+排泄(K+喪失)無しにNa+排泄を促進し、軽度に降圧作用を現す。
 抗アルドステロン薬のトリアムテレンは、副作用として、腎臓結石(腎結石)、急速な腎機能低下(インドメタシンなどのNSAIDs併用時)などが現れることがある

 c).ループ利尿薬
 ループ利尿薬は、ヘンレ上行脚で、
Na+-K+-2Cl-共輸送体を阻害し、Na+K+、Cl-の排泄を促進(吸収を抑制)し、利尿効果により、降圧作用を現す。
 ループ利尿薬は、副作用として、低K血症、高尿酸血症、高脂血症、耐糖能異常(糖尿病)、脱水による血液濃縮(サイアザイド系利尿薬より頻度が高い)、膵炎、発疹などが現れることがある
 ループ利尿薬のフロセミドは、サリチル酸誘導体(サリチル酸ナトリウムやアスピリン)とは、腎臓の排泄部位において競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅延し、サリチル酸中毒が起こリ易くなる。フロセミドは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)のインドメタシンにより、利尿作用が減弱するおそれがある:NSAIDsは、腎臓でのプロスタグランジン合成を阻害し、水、塩類(Na+等)の体内貯留を引き起こし、利尿薬の作用と拮抗する。

 5.β遮断薬
 β遮断薬の降圧機序は、解明されていない。
 β遮断薬は、心拍出量を低下させ、レニン産生・分泌を低下させ、中枢性の交感神経活動を抑制する。
 末梢血管抵抗は、β遮断薬の投与初期には心拍出量の低下に伴ない増加するが、次第に回復する。

 β遮断薬は、心臓のβ1受容体の選択遮断性、心臓外のβ2受容体の遮断性、脂溶性か水溶性、内因性交感神経刺激作用(ISA)の有無などによって、分類される。ISAのないβ遮断薬は、陳旧性心筋梗塞の再発予防、虚血性心疾患発症予防、心不全の予後改善に有利。

 β遮断薬は、副作用として、気管支喘息の発作誘発、慢性閉塞性肺疾患の増悪、徐脈や房室ブロック、活力の低下、運動能力の低下(運動選手)、悪夢(脂溶性のβ遮断薬)、血清中性脂肪の上昇とHDLコレステロールの低下(ISAのないβ遮断薬)、CPKの上昇(ISAのあるβ遮断薬)などが現れる。
 β遮断薬は、長期間服用後に、服用を中止すると、狭心症を誘発したり、一過性の血圧上昇が起こることがある。 


 β遮断薬には、α遮断作用を有する薬剤が存在する(αβ遮断薬)。
 αβ遮断薬は、末梢血管拡張作用が加わる(褐色細胞腫の治療に有利)。

 β遮断薬は、高齢者では降圧作用が弱い。

 6.α遮断薬 
 α遮断薬は、交感神経のα受容体(α1受容体)を選択的に遮断する。
 α遮断薬は、交感神経末端の筋接合部の平滑筋側に存在するα1受容体に作用し、ノルアドレナリンのα1受容体への結合を遮断し、血管拡張作用を現す(α遮断薬は、末梢細動脈を拡張させ、降圧作用を現す)。
 α2受容体は、平滑筋側と、交感神経末端側とに存在し、ノルアドレナリンの作用を受けると、交感神経末端からのノルアドレナリンの放出を抑制し、交感神経を抑制する(α遮断薬は、α2受容体遮断作用があると、ノルアドレナリンの放出を増加し、頻脈の副作用が現れる)。α1受容体を選択的に阻害するα遮断薬は、頻脈の副作用が少ない。

 α遮断薬は、副作用として、立ち眩み、眩暈が現れることがある。 
 α遮断薬は、糖代謝や脂質代謝を改善する効果がある。しかし、α遮断薬は、心血管イベント(心筋梗塞の発作など)を予防する効果は、降圧利尿薬より劣る
 α遮断薬は、前立腺肥大症の排尿困難を改善する。

 表 降圧薬の心拍数への影響(参考文献の有田氏の表2を引用)
 降圧薬  安静時  運動負荷時
 収縮期血圧  収縮期血圧  心拍数  血漿ノルエピネフリン
 α遮断薬  ↓  →  ↑  →
 β遮断薬  ↓  ↓  ↓  
 サイアザイド系利尿薬  ↓  →  →  →
 ACE阻害薬  ↓  ↓  →  
 短時間作動型Ca拮抗薬  ↓  →  ↑  
 長時間作動型Ca拮抗薬  ↓  ↓  →  →
 降圧剤の糖代謝や脂質代謝への影響
 ACE阻害薬、ARB、長時間作用型Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)は、インスリン抵抗性を減少させ(インスリン感受性を改善する)、脂質代謝に悪影響しない(ACE阻害薬、ARB、Ca拮抗薬は、血清脂質に影響を及ぼさない)。
 利尿薬、β遮断薬は、インスリン抵抗性を増加させ(インスリン感受性を低下させる)、中性脂肪を増加させる。高用量のサイアザイド系利尿薬やループ利尿薬は、血清中の総コレステロール、LDL-コレステロール、中性脂肪を増加させる。β遮断薬は、血清中の中性脂肪を増加させ、HDL-コレステロールを低下させる。
 α遮断薬は、インスリン抵抗性を減少(改善)させ、糖代謝や脂質代謝を改善する作用がある。 
 表 降圧薬の脳循環に及ぼす急性効果
 降圧剤  脳卒中  冠動脈
 疾患
 心不全  糖尿病  インスリン
 抵抗性
 脂質
 代謝
 高尿酸
 血症
 血清
 K
 心保護
 作用
 腎保護
 作用
 末梢血管
 抵抗 
 気管支
 喘息
 Ca拮抗薬  ↓  ↓  ↓  悪影響無  ↓  悪影響無  影響無  (↑↓)         悪影響少
 ACE阻害薬  ↓   ↓  ↓  悪影響無  ↓  悪影響無  影響無  ↑  +  +    悪影響
 ARB  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  悪影響無  影響無  ↑  +  +    悪影響無
 サイアザイド系利尿薬  ↓      悪影響  ↑  悪影響  ↑↑  ↓  +    ↑  悪影響
 抗アルドステロン薬      ↓    ↑      ↑        悪影響
 ループ利尿薬        悪影響  ↑  悪影響  ↑  ↓        悪影響
 β遮断薬      ↓    ↑  悪影響  軽度上昇        ↑(初期)  禁忌
 α遮断薬        好影響  ↓  好影響  影響無          
 降圧剤の気管支喘息への影響
 Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系と非ジヒドロピリジン系)は、気管支喘息患者の呼吸機能に、悪影響を及ぼすことは少ない。
 ACE阻害薬は、気管支喘息を合併する高血圧症患者に投与すると、気管支過敏性(ブラジキニンなどにより気道過敏性)を亢進させ、咳の頻度が増すので、気管支喘息患者への投与は、推奨されない。
 ARBは、気管支喘息を合併する高血圧症患者に投与しても、咳の増悪や、呼吸機能の抑制は、認められない。
 利尿薬は、気管支分泌物(喀痰)の粘稠度を高めるので、気管支喘息の病状を悪化させるおそれがある。
 β遮断薬は、気管支平滑筋のβ2受容体を遮断し、気道抵抗を増加させるので、気管支喘息患者や慢性閉塞性肺疾患患者には、投与してはならない(原則禁忌)。

 降圧剤の肝疾患への影響
 降圧薬の内、代謝型(胆汁中排泄型)なのは、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(ニフェジピン、ニルバジピン)、ARB、β遮断薬(プロプラノロール、メトプロロール、ラベタロール)、α遮断薬(プラゾシン、ドキサゾシン)。
 降圧剤の内、腎代謝型(腎排泄型:尿中排泄型)なのは、大部分のACE阻害薬(カプトプリル、リシノプリル)、β遮断薬(アテノロール、ナドロール)、利尿薬(ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、フロセミド)。
 
 Ca拮抗薬は、アレルギー性肝障害(薬剤性肝障害)を来たすことはあるが、急性肝障害などの肝障害の発生は少ない。
 ACE阻害薬は、肝障害の発生は少ない。
 ARBは、肝毒性の報告は少ない。
 利尿薬(ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、フロセミド)は、重度の肝硬変症患者に投与すると、肝性昏睡を来たすおそれがある。
 β遮断薬は、肝毒性が低い(ラベタロールを除く)。β遮断薬には、肝代謝型の薬剤と、腎排泄型の薬剤が存在する。

 降圧剤とNSAIDs
 降圧剤(利尿薬、β遮断薬、ACE阻害薬など)は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)により、効果が減弱する。
 NSAIDsは、腎機能を低下させ、血清K値を上昇させるおそれがある。

 プロスタグランジンは、腎臓では、微小血管(輸入細動脈など)を拡張させ(腎血流量やGFRが増加する)などして、腎機能の維持に関与している。
 NSAIDsは、腎臓でプロスタグランジンの産生を抑制し、Na再吸収や水再吸収を抑制し(水やNaが貯留する)、血管拡張を抑制する。
 高齢者や腎機能障害患者では、腎臓でプロスタグランジンが作用し、腎機能を代償的に保持し、血圧上昇を抑制している。
 NSAIDsを投与すると、プロスタグランジンの産生が抑制され、腎機能が低下し、血圧が上昇する(平均血圧5mmHg程度が上昇する)。

 利尿薬は、腎尿細管でのNaCl再吸収を抑制し、同時に、プロスタグランジン(PGI2)の産生を刺激すると言う。ループ利尿薬(フロセミド)の作用は、プロスタグランジン依存性と言われる。
 利尿薬の投与を受けている患者が、NSAIDsの投与を受けると、利尿薬の降圧効果が減少する。
 ACE阻害薬、β遮断薬の
投与を受けている患者が、NSAIDsの投与を受けると、利尿薬の降圧効果が減少する。
 ARBの
投与を受けている患者が、NSAIDsの投与を受けた場合、降圧効果が減少すると言う報告と、影響を受けないとする報告とが存在する。
 Ca拮抗薬の投与を受けている患者が、NSAIDsの投与を受けても、降圧効果は、影響を受けることは少ない。

 ステロイド剤(糖質コルチコイド)は、高用量を治療に用いると、高血圧の副作用を来たすおそれがある。
 ステロイド剤を投与されている患者が、高血圧の副作用が現れた場合の血圧管理には、降圧薬としては、利尿薬、Ca拮抗薬、ARBなどを用いる。

 カリウムと血圧
 カリウム(K)は、ナトリウム(Na)の排泄を促進させ、血圧を下げる作用がある。
 カリウム(K)は、酸化ストレスを軽減し、血管保護作用がある。
 カリウム(K)は、緑黄色野菜、芋類、海藻類などに多く含まれている。

 その他
 ・食品中のNa表示は、下記の式で、食塩量に換算する。
 食塩担当量(g)=Na(mg)×2.54÷1000

 ・Ca拮抗薬、ACE阻害薬、α遮断薬は、血管を拡張させ、降圧する。
 利尿薬は、腎臓に作用し、血液量を減少させ、降圧する。
 β遮断薬は、心臓に作用し、心拍出量を減少させ、降圧する。

 ・K(カリウム)は、降圧作用があるので、野菜や果物を積極的に摂取することが推奨されている。
 しかし、重篤な腎障害がある患者は、野菜や果物を摂取することで、高K血症を来たすおそれがあるので、推奨されない。

 ・高血圧を改善する為に、減塩、カリウム摂取、減量、運動療法(歩行、ランニング、サイクリング、水泳など)、」禁煙が推奨されている。
 飲酒は、HDLを上昇させるなど、好ましい効果がある。推奨される飲酒量(エタノール摂取量)は、男性の場合、20〜30ml/日、女性の場合、10〜20ml/日。 
 カフェインは、一過性に血圧を上昇させるが、高血圧患者に制限する必要はないと言われる。
 主要降圧薬の積極的適応
 合併症  Ca拮抗薬  ARB/ACE阻害薬  利尿薬  β遮断薬
 左室肥大  ○  ○    
 心不全    ○  ○  ○
 心房細動(予防)    ○1)      
 頻脈  ○2)      ○ 
 狭心症  ○      ○1) 
 心筋梗塞後    ○    ○
 蛋白尿    ○  ○3)  
 腎不全    ○   ○  
 脳血管障害慢性期  ○  ○    
 糖尿病/MetS    ○    
 高齢者  ○4)   ○  ○  
 1):冠攣縮性狭心症には注意、2):非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬、3):腎不全ではループ利尿薬、4):ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬

 ・アルブミン尿は、腎障害の伸展と心血管疾患の発症に密接に関連する(アルブミン尿の減少は心腎同時保護に重要)。
 合併症を有する高齢者高血圧に対する降圧薬の選択
 合併症  Ca拮抗薬
 ジヒドロピリジン系
 ARB/ACE阻害薬  利尿薬  β遮断薬
 脳血管障害慢性期  ○  ○  ○1)  ○
 虚血性心疾患  ○  ○    ○2)
 心不全    ○  ○  △3)
 腎障害  ○4)  ○5)  ○4)6)  ○
 糖尿病  ○4)  ○  △  △
 脂質異常症  ○  ○  △  △
 高尿酸血症  ○  ○7)  △  
 喘息/慢性閉塞性肺疾患        ×
 誤嚥性肺炎8)    ACE阻害薬    ×
 末梢動脈疾患  ○  ○  △  △
 骨粗鬆症      ○9)  
 1):脱水に注意、2):冠攣縮性狭心症では増悪する可能性があるので、Ca拮抗薬を併用するなど慎重に投与する、3):少量から開始し臨床経過を見ながら慎重に使用、4):ARB/ACE阻害薬で降圧不十分な時に積極的に併用する、5):クレアチニン2.0mg/dl以上は慎重に投与する、6):クレアチニン2mg/dl以上はループ利尿薬を用いる、7):ロサルタンは尿酸値を低下させる、8):不顕性を含め誤嚥性肺炎を繰り返す患者、9):サイアザイド系利尿薬
 各高血圧症治療ガイドラインで推奨されている降圧薬の組み合わせ
 降圧剤の組み合わせ  JNC-7  ESH/ESC2007  JSH2009
 Ca拮抗薬+利尿薬  ○  ○  ○
 Ca拮抗薬+β遮断薬    ○  ○
 Ca拮抗薬+ACE阻害薬    ○  ○
 CA拮抗薬+ARB    ○  ○
 ARB+利尿薬  ○  ○  ○
 ACE阻害薬+利尿薬  ○  ○  ○
 β遮断薬+利尿薬  ○    
 各種利尿薬の降圧効果、利尿作用の強さと主な使用目的(JSH2009)
 利尿薬  降圧効果  利尿作用  主な使用目的
 サイアザイド系利尿薬  +++  ++  高血圧症
 ループ利尿薬  +  +++  浮腫
 カリウム保持性利尿薬  ++  +  高血圧症a)
 a):主にサイアザイド系利尿薬と併用
 ARBと利尿薬併用の有用性
   利尿薬  ARB(RA系抑制薬)  併用効果
 血圧  ↓  ↓  相乗的
 血清K  ↓  ↑  相殺的
 インスリン感受性  ↓  ↑  相殺的
 ARBは、血清Kを上昇させ易く、利尿薬は、血清Kを低下させ易い。
 主要降圧薬の禁忌もしくは慎重使用例高血圧治療ガイドライン2009から引用)
 降圧薬  禁忌  慎重使用例
 Ca拮抗薬  徐脈(非DHP系)  心不全
 ARB  妊娠、高K血症  腎動脈狭窄症b)
 ACE阻害薬  妊娠、血管神経性浮腫、高K血症  腎動脈狭窄症b)
 利尿薬(サイアザイド系)  痛風、低K血症  妊娠、耐糖能異常
 β遮断薬  喘息、高度徐脈  耐糖能異常、閉塞性肺疾患、末梢動脈疾患
 b):主にサイアザイド系利尿薬と併用

 注1:降圧剤のACE阻害剤やARBを投与すると、血清クレアチニン(Cr)値が上昇することがある。これは、ACE阻害剤やARBが腎糸球体の輸出細動脈を拡張させ、糸球体で血液のクレアチニンが濾過されず、輸出細動脈に移行する為。
 RAA系を抑制するACE阻害剤やARBは、腎保護作用がある(糸球体内圧が低下し蛋白尿が減少する)ので、血清Cr値の如何にかかわらず使用することが望ましいと言われる。
 RAA系を抑制するACE阻害剤やARBでも、特に、ACE阻害薬の多くは尿中から排泄されるので、腎機能が悪くなる程(糸球体濾過量が低下する程)、体内に蓄積し、腎障害を進行させる(血清Cr値を上昇させる)おそれがある。
 Ca拮抗薬(主に平滑筋に作用する)は、主に、糸球体の輸入細動脈に作用する(拡張させる)。Ca拮抗薬には、輸出細動脈にも作用すると言われる薬剤も存在するが、ヒトで実際にどの程度作用するかはエビデンスが知られていない。

 参考文献
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 ・荻原俊男監修、高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)、協和発酵キリン株式会社(CONL0076A09B、2009年2月印刷).
 ・Mnn JFE, et al. Lancet 2008; 372:547-553.
 ・Association for Research in Vision and Ophthalmology (ARVO) 2009 Annual Meeting: Abstract 1679. Presented May 4, 2009.

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