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 ミトコンドリア
 外膜に被われたミトコンドリアmitochondria)の内部は、内膜により、中心部のマトリックスと、内膜と外膜の間の膜間スペース(膜間腔)とに区切られている。
 ミトコンドリアの内膜は、クリステと呼ばれる、たくさんのひだ(注1)を形成している。(下図、及び、英語版の図を参照のこと。)

 ミトコンドリアは、TCA回路と、脂肪酸分解(β酸化)の場である。
 細胞内のミトコンドリアの数は、生物によって異なり、藻類では細胞内のミトコンドリアの数が一つのものも存在するが、哺乳類の肝細胞のミトコンドリアの数は、最大5,000個と言われる。
 哺乳類の典型的なミトコンドリアは、直径が0.2〜0.8μm、長さが0.5〜1.5μm(大腸菌程度の多きさ)。
 ミトコンドリア内膜は、ミトコンドリア外膜と異なり、蛋白質が多量に存在する(蛋白質:脂質=4:1)。
 マトリックスは、蛋白質濃度が非常に高く(500mg・mL-1)、塩基性で負に荷電(陰性荷電)している。

 アスピリンの代謝産物のサリチル酸は、ミトコンドリアで、PTP(permeability transition pore)という穴構造を開いてしまうので、その結果、プロトンを含めた低分子量の物質が、ミトコンドリア外(細胞質ゾル)から、ミトコンドリア内(マトリックス)に流入して、その為、ミトコンドリアは、膨化(膨張化)してしまい、TCA回路が作動しなくなり、NADH2+の生成が減少し、電子伝達酸化的リン酸化によるATP生成が障害され、また、肝臓では、脂肪酸のβ酸化が進行せず、中性脂肪が、蓄積すると、考えられる。
 Hunter等の実験結果では、Ca2+ (カルシウムイオン)は、PTPを開口させ、ミトコンドリアの膜電位を喪失させるようだ。
 アポトーシスを惹起するPTPの開口(induction)は、Ca2+に依存する。その理由は、Bernardiの実験結果から、PTPの開口は、膜電位(the proton electrochemical gradient:刄ハH+)により制御されていて、Ca2+Camの増加)が、ミトコンドリア内で、膜電位(刄ハH+)を変化させて、PTPの開口(induction)を引き起こすためと、考えられる。
 Trost等の実験結果では、細胞外Ca2+濃度(Cao)が高いと、サリチル酸の毒性(ミトコンドリア障害作用)が、増強した。
 Al-Nasserの実験結果では、PTPが開口すると、ミトコンドリアが膨化し、膜電位が低下し、ミトコンドリア内に蓄積されていたCa2+(accumulated Ca2+:Cam)が、放出される。
 なお、Zhu等の実験結果では、ミトコンドリア内Ca2+濃度(Cam)が減少すると、アポトーシスが起こる。

 ミトコンドリア内膜は、イオンや代謝物質を通過させないので、ミトコンドリア内(マトリックス)と、ミトコンドリア外(細胞質ゾル)との間(ミトコンドリア内外)には、イオン濃度勾配が、生じる。
 ミトコンドリア内(マトリックス)は、電位は-180mV、pHは、8となる。
 ミトコンドリアは、小胞体や、筋小胞体と同様に、細胞質ゾルのCa2+濃度を、安定させる。

 ミトコンドリアは、ATPを合成して細胞の生を維持するだけでなく、アポトーシスに中心的な役割を果たして、細胞の死をも制御している。

 細胞内のミトコンドリア数は、細胞の種類や、代謝状態により異なる:人間では、精子(spermatozoa)には、16個のミトコンドリアしか存在しなしが、卵子(oocyte:卵母細胞)には、100,000ものミトコンドリアが存在すると言う。

 マトリックスより、膜間スペースの方が、水素イオン濃度(H+:プロトン)が高い(注2)。
 マトリックスのTCA回路では、NADH2+が生成される。

 ミトコンドリアでは、電子(e-を内膜に伝達させて水素イオン(H+を膜間スペースに汲み出し(電子伝達系注3)、ATPの合成が行われる(酸化的リン酸化)。

 ミトコンドリアでは、脂肪酸のβ-酸化も行われる。  
 脂肪酸のβ-酸化で生成されるアセチル-CoAは、ミトコンドリアのマトリックスTCA回路で代謝され、NADH2+などが生成される。NADH2+は、さらに、ミトコンドリアの内膜の電子伝達系に電子を供給し、水素イオン(プロトン)が、膜間スペースに汲み出され、プロトン濃度勾配を利用して、酸化的リン酸化が行われ、ATPが生成される。
 このように、アセチル-CoAが、TCA回路で代謝され、ATP生成に必要なNADH2+が生成されるためには、アセチル-CoAと結合してクエン酸になる、オキサロ酢酸(グルコースの代謝産物)が必要。従って、脂肪酸は、エネルギー源だが、オキサロ酢酸がないと、TCA回路で、代謝されて、ATPが生成されにくいので、「脂肪は、糖の炎によって燃える」と言える。リンゴ酸は、リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルにより、ミトコンドリア内膜を通過して、ミトコンドリア内(マトリックス)に移行して、オキサロ酢酸になる。従って、リンゴ酸は、ミトコンドリアでの脂肪酸の代謝を促進して、NADH2+やATP
の生成を、高めると考えられる。

 ミトコンドリア外膜には、porin(ポリン、注4)、又は、VDAC(voltage-dependent anion channel)と呼ばれる穴蛋白(a pore protein)が、存在し、膜間スペース(膜間腔)の 5 kDaまでの物質を、細胞質ゾルに、透過させる。しかし、ミトコンドリア内膜は、水、酸素、二酸化炭素、アンモニアなど、わずか物質しか、細胞質ゾルに、通過させない。

 ミトコンドリア内膜と、外膜との接触部位(contact sites)には、PTPpermeability transition pore:ミトコンドリア膜透過性遷移孔)と呼ばれる穴構造が、存在する。PTPは、PTPは、porin、adenine nucleotide translocase、cyclophilin Dで構成される複合体で、複合体Iに関連しているようだ。
 PTPの開口を調節する、主な因子は、Ca2+(カルシウムイオン:ミトコンドリア内にCa2+が蓄積すると、開口する)。また、ミトコンドリア内のCa2+が減少・涸渇すると、アポトーシスが起こる(注5)。
 PTPが開いた状態では、低分子量の物質(分子量1500まで)が、ミトコンドリア内(マトリックス)と、細胞質ゾルの間を、自由に通過する。
 PTPが開くと、PTPの穴を、プロトン(水素イオン:H+)が、ミトコンドリア内に、流入して(proton influx、注6)、膜電位(the mitochondrial transmembrane potential:Delta Psi )が、低下し、ミトコンドリアが、膨化する。
 PTPが開くと、ミトコンドリア膜の電位(the mitochondrial membrane potential)が、放電(discharge)され、酸化還元電位が変化して、アポトーシスが誘導される(pro-apoptogenic)と、考えられる。しかし、完全にエネルギーが放電されると(a complete deenergization)、細胞は、アポトーシスでなく、壊死(necrosis)に陥る:PTPは、壊死(ネクローシス)と言う、アポトーシスと異なる細胞死にも、関与する。従って、ミトコンドリアで、プロトンを脱共役する物質(mitochondrial protonophoric uncouplers)は、アポトーシスを誘導しない。
 NSAIDs脱共役作用(uncoupling effec)の、少なくとも一部は、PTPの誘導(induction)の為と、考えられ得る。サリチル酸(salicylic acid)や、アスピリンは、ミトコンドリアに副作用があるが、これは、PTPの穴を開口させて、膜電位(Delta Psi )を低下させ、ミトコンドリア内のNADH2+を、減少させ、ATP産生を、減少させるためと考えられる。Mg2+や、シクロスポリンA(Cyclosporin A:CysA)は、PTPの阻害剤(inhibitor)であり、ミトコンドリアを、防御する。
 Cyclophilin D(CpD)は、PTPの、ミトコンドリア内膜側の部分に、存在する。シクロスポリンAは、このcyclophilin Dに結合し、cyclophilin Dを、内膜から除去し、PTPの開口(opening)を阻害することが、示唆されている。
 サリチル酸(salicylates)が、PTPを開口させ、ミトコンドリアの膜電位を喪失させるのには、Ca2+ が、必要のようだ。しかし、他方で、サリチル酸は、PTPを開口させ、ミトコンドリア内に蓄積されたCa2+を、放出させる。これらのサリチル酸の効果(毒性)は、シクロスポリンAで、阻害される。PTP(の穴)を誘導する(開口させる)作用は、サリチル酸の方が、アスピリン(acetylsalicylic acid)より、強い。

 Trost等の、ラットの培養肝細胞を用いた実験結果では、0.3〜5mMのサリチル酸が、濃度に比例して(concentration-dependent)、細胞を死滅させた。
 また、サリチル酸の毒性(ミトコンドリア障害作用)は、細胞外のカルシウムイオン濃度(Ca2+濃度)が高いと、増強したカルシウム拮抗作用のある薬剤(verapamil、diltiazem、chlorpromazine、nifedipine、nisoldipine)は、サリチル酸の毒性(ミトコンドリア障害作用)を、阻害ないし軽減させた
 Ca2+濃度の高い緩衝液(buffer)中でも(培養しても)、カルシウム拮抗作用のある薬剤は、ミトコンドリア内の遊離カルシウムイオン(mitochondrial free Ca2+)の上昇を、阻害した。

 PTPが開口すると、膜電位が喪失するが、Bernardiの実験結果では、PTP(の開口)は、Ca2+の存在下でも、非存在下でも、膜電位(the proton electrochemical gradient:delta mu H+)で制御されていて(controlled)、膜電位の崩壊(a collapse of the membrane potential)が原因(cause)で、PTPが開口する。
 ミトコンドリア内(マトリックス)が酸性だと(at acidic matrix pH values)、PTPの開口(induction)は、防止された。ミトコンドリア内にCa2+が蓄積すると、マトリックスがアルカリ性になり、膜電位の低下(menbrane depolarization)が起こる。
 PTPの開口(induction)は、Ca2+に依存する。その理由は、Ca2+Camの増加)が、ミトコンドリア内で、膜電位(delta mu H+:刄ハH+)を変化させ、PTPの開口(induction)を引き起こすためと考えられる。
 PTP(MTP:membrane transition pore)には、(ミトコンドリア内に蓄積した)長鎖脂肪酸ア シル-CoA(LCACoA)により、開口が促進される。カルニチンは、PTPの開口による透過性の急激な変化を、抑制する。

 ミトコンドリアの機能が障害されると、血液中に乳酸やピルビン酸が増加する。

 ミトコンドリアの、電子伝達系の複合体が欠損すると、ミトコンドリア脳筋症を来たす(注7)。

 ミトコンドリアの起源は、細胞(新核生物:古細菌)内に寄生した細菌(リケッチアに近い:αプロテオバクテリア)だったと、信じられている。
 葉緑体の起源は、酸素発生型の光合成細菌(一種類のシアノバクテリア)だったと言うのが、定説になっている。

 ミトコンドリアは、速筋線維(白筋細胞)に少なく、遅筋線維(赤筋細胞)や、心筋線維(心筋細胞)に多い。

 注1:通常の細胞のミトコンドリアでは、クリステは、図のように、櫛状をしている。生きている細胞内のミトコンドリアは、蛍光顕微鏡で観察すると、糸状の形状をして、活発に動いている。細胞内のミトコンドリアは、互いに、結合したり、離散しながら、細胞内を、激しく動いている。
 ステロイドホルモンを合成する、副腎や精巣や卵巣のミトコンドリアのクリステは、袋状をしている。

 ミトコンドリアは、英語では、単数はMitochondrion、複数はMitochondria。
 ミトコンドリア(Mitochondrion)のMitoは糸、chondrionは粒の意味であり、糸粒体と呼ばれた。

 注2α-ケトグルタル酸、ピルビン酸、リンゴ酸クエン酸グルタミン酸(Glu)、アスパラギン酸(Asp)は、内膜や外膜を通過して、マトリックスと、細胞質ゾル間を移動出来る。
 グルタミン酸は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH、主に肝臓のミトコンドリアに存在する)により、α-ケトグルタル酸とアンモニア(NH3)に分解され、後者は、尿素回路尿素に変換される。
 アラニン(Ala)は、細胞質ゾルで、ALTGPT)により、ピルビン酸となって、ミトコンドリア内(マトリックス)に移動し、リンゴ酸や、アスパラギン酸に変わる。
 オキサロ酢酸、乳酸は、ミトコンドリア内に、移動出来ない。

 脂肪酸が、acyl-CoAとなり、ミトコンドリアの内膜を通過して、マトリックスに移動し、β-酸化されるには、カルニチンと結合することが必要。

 NADH2+は、ミトコンドリア内膜を通過出来ない。細胞質ゾルのNADH2+は、リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルグリセロリン酸シャトルにより、結果的に、ミトコンドリア外から、ミトコンドリア内に輸送される:NADH2+の電子(H)が、輸送される。

 ミトコンドリア内膜には、ATP-ADP輸送体(担体蛋白質)が存在する:ADPは、ATP-ADP輸送体により、外側の細胞質ゾルから、ミトコンドリア内膜を経て、内側のマトリックス側に輸送され、交換に、ATPが、内側(マトリックス)から、外側(細胞質ゾル)に、輸送される。

 マトリックス側のクエン酸は、担体蛋白質により、外側に輸送され、交換に、外側のリン酸が、内側に輸送される。

 マトリックス側のα-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸)は、リンゴ酸-α-ケトグルタル酸輸送体により、外側に輸送され、交換に、外側のリンゴ酸が、内側に輸送される。 

 ミトコンドリア外膜には、リン脂質合成系(phospholipid synthesis pathway)の最初の段階が、存在する:ミトコンドリア外膜で、グリセロール 3-リン酸(α-glycerol phosphate)とアシル-CoAから、リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid)とホスファチジン酸(phosphatidic acid)が生成される。窒素を含むリン脂質は、全て、ミトコンドリア外膜で生成される。
 しかし、ミトコンドリア内膜の典型的なリン脂質であるカルジオリピン(cardiolipin)は、ミトコンドリア内で生成される。
 ミトコンドリア内膜は、ホスファチジルセリン(phosphatidylserine)をホスファチジルエタノールアミン(phopshatidylethanolamin)に脱炭酸(decarboxylation)する、特異的な場所でもある。

 注3:電子伝達系では、電子が、酸化還元電位の低い物質(NADH2+0.315V)から、高い物質(O20.815V)に、伝達される。
 磁気の強い場所(神社など)に行ったり、磁気製品(ピップエレキバン、磁気ブレスレットなど)で、体調が良くなるのは、磁気によって、電子伝達系の効率が高まり、酸化還元電位が変化し、ATP合成が促進するためかも知れない。
 また、気功で発せられる「」のエネルギーは、電子に吸収され、電子を励起状態にする。また、「気」のエネルギーは、水分子の電気抵抗を減少させる(電気伝導率を増加させる:原子核の陽子の振動を、減少させる)。その結果、「気」のエネルギーは、電子伝達系の効率を高め、生体のエネルギー産生を促進させ、健康状態を改善するのかも知れない。気は、空間を伝達されるが、気は、電気(電子)が伝達され易い、神経線維、電線・電話線の方が、伝達され易いようだ。なお、「気」をいれた水は、電気抵抗が減少している(電気伝導率が増加している)と言う。気功で「気」のエネルギーによって水の電気抵抗が減少するのは、電子のスピンの向きが揃うからだと考える説もある。
 赤血球の表面は、陰性荷電を有しているが、気功などで「気」のエネルギーが血液に入ると、荷電状態が変化し、赤血球の変形能が改善して、血流が良くなるのかも知れない。
 仙人は、特異な能力で、食餌からでなく、「気」のエネルギーを、ミトコンドリアの電子に吸収し、電子伝達系を作動させ、ATPを合成することが、可能なのかも知れない。
 「気」のエネルギーは、ヨガで言う「プラーナ」と同じ存在であり、現代物理学が存在を認めている「真空のエネルギー」(斥力を有する「揺らぎ」)とも、同じ存在なのかも知れない。
 「プラーナ」は、「活力微少球」(かつりょくびしょうきゅう)とも呼ばれ、それ自体は、肉眼では見えないが、光(電磁波)を反射・吸収するので、晴れ上がった空を背景にして、5〜6フィート先に目の焦点を合わせると、大気の中を、キラキラ、白光を発し、軌跡を描いて動く、無数の粒子として、見えるという。「プラーナ」の粒子は、1秒ほどで消えて行くが、注意して見ると、7ケの粒子が、糸状に繋がれているという。
 「気」、「プラーナ」は、波動的なエネルギーを有している。
 「気」、「プラーナ」は、喩えて見れば、白紙であり、色づけにより、どのようにも変化するように思われる。白紙である、「気」、「プラーナ」に色づけをするのは、心(霊魂の想念)であり、心の持ち方や、宗教心(神霊との交わり)が、肉体の健康にも、影響するものと、考えられる。
 「プラーナ」は、ヨガでは、呼吸で、肉体内に取り込まれると教えられるが、呼吸法としては、岡田式静座のように、まず、下腹(丹田)を凹ませて、息を吐くことに、意識を集中させるのが、自然と思われる。息を長く吐き出せば、その後、空気は、自然に、肺に入って来る。呼気(息を吐き出す時間):吸気(息を吸う時間)=2:1程度が良い。静座や深呼吸は、眼を閉じて行う方が、良い。なお、静座を長く行った人や、気功師には、脳出血など、脳の病気でなくなる人が多いように思われる。これは、静座や気功などで、「気」が、頭部に詰まる(鬱滞する)ことが、原因なのかも知れない。深呼吸は、行い過ぎると、立ち眩み、手足の痺れなどの症状(副反応)が現れることがある(深呼吸を行う目安は、1回1分、1日3回程度が、良い)。深呼吸は、冷え性(冷え症)を、改善させる。深呼吸や静座を行うと、不安やストレスに対する脳の反応を抑制出来る(ストレスに強くなる)。
 とにかく、未知のエネルギーが存在することは確かであり、そのエネルギーが、科学的にも解明され、肉体や精神(霊魂)の治療に、応用される事を期待したい。 

 炭素は、三つのσ電子(共有結合に用いる)と、一つのπ電子(パイ電子)を有している。
 炭素から構成されるグラファイトは、π電子が雲状に広がったπ電子空間を有する、π電子物質
 炭素材料は、生体と馴染み易い。
 炭素材料は、離れた位置にある細菌(バクテリア)に、影響し、その増殖を、活性化させると言う(炭素材料のπ電子が、空間から気のエネルギーを吸収して発する波動が、細菌の増殖に影響する)。

 注4porin(ポリン)は、VDAC(voltage-dependent anion channel)とも呼ばれる。
 porinは、ミトコンドリア外膜に存在し、大きさ10kD以下の分子は、自由拡散で通過する。従って、膜間スペース(膜間部)の代謝産物やイオンは、細胞質ゾルと同等。
 他方で、ミトコンドリア内膜は、ミトコンドリア外膜に比して、蛋白含量が高く、蛋白質は、乾燥重量の約75%を占めると言う。
 ミトコンドリア内膜を通過出来るのは、水(H2O)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、アンモニア(NH3)に限られ、ATPADP、ピルビン酸、Ca2+、リン酸などの通過は、ミトコンドリア内膜の種々の輸送蛋白により、制御されている。
 ミトコンドリア内のイオンや、代謝産物は、ミトコンドリア内膜を通過出来ないものが多く、ミトコンドリア内(マトリックス)と、細胞質ゾル(サイトゾル)の間に、イオン濃度勾配が、生じる。
 porin(VDAC)は、ANT(adenine nucleotide translocase)、cyclophilin Dと共に、複合体である、PTPを構成する。

 注5Zhu等の培養細胞を用いた実験結果によると、細胞外(培養液)のCa2+濃度を低くすると、早期に、ミトコンドリア内Ca2+濃度([Ca2+]:Cam)と、膜電位(Δcapital Psi, GreekmDelta Psi )とが、減少し、その後、シトクロムc(cytochrome c)が放出され、カスパーゼ(caspase)が活性化され、アポトーシス(apoptosis)が起こる。ミトコンドリアのPTP(mitochondrial permeability transition pore)を阻害する、シクロスポリンA(cyclosporin A)や、Bcl-2は、ミトコンドリア内Ca2+(Cam)の放出を阻害し、アポトーシスを抑制した。
 反対に、(培養液のCa2+濃度を高め、)ミトコンドリアにCa2+を過補充(overload)し、ミトコンドリア内Ca2+濃度([Ca2+]:Cam)を高めると、細胞は、アポトーシスでなく、壊死(necrosis)で、死ぬ:細胞外Ca2+CaO)が過剰に存在すると、ミトコンドリア内Ca2+(Cam)も増加し、同時に、1時間後をピークに、膜電位(Δcapital Psi, Greekm)が低下し、2時間後には、壊死(necrosis)が起こる。
 アポトーシスでは、ミトコンドリア内Ca2+濃度(Cam)の低下と、膜電位(Δcapital Psi, Greekm)の低下は、共役した反応(a coupled reaction for apoptosis)だが、両者は、壊死では、脱共役(was uncoupled)している:壊死では、ミトコンドリア内Ca2+濃度(Cam)が上昇すると、膜電位(Δcapital Psi, Greekm)が低下し、壊死が起こる。
 クロナゼパム(clonazepam)は、ミトコンドリアのNa+/Ca2+交換輸送体(Na/Ca exchanger)を比較的特異的に阻害する。クロナゼパムは、(培養液の高いCa2+濃度の為に、)過剰に増加したミトコンドリア内Ca2+濃度(Cam)を軽減させ、壊死から、細胞を防御することが出来ると言う(この論文で、ミトコンドリアの「Na/Ca exchanger」とは、輸送系2のことのようだが、輸送系2だと、Ca2+を、ミトコンドリア内からミトコンドリア外に輸送するので、阻害すると、ミトコンドリア内Ca2+濃度のCamは、むしろ増加すると考えられる)。

 注6:PTPが開くと、PTPの穴を通って、プロトンなどが、ミトコンドリア外(細胞質ゾル)から、ミトコンドリア内(マトリックス)に、流入する。
 アスピリンの代謝産物のサリチル酸は、ミトコンドリアで、PTP(permeability transition pore)という穴構造を開いてしまうので、その結果、プロトンを含めた低分子量の物質が、ミトコンドリア外(細胞質ゾル)から、ミトコンドリア内(マトリックス)に流入して、その為、ミトコンドリアは、膨化(膨張化)してしまい、TCA回路が作動しなくなり、NADH2+の生成が減少し、電子伝達酸化的リン酸化によるATP生成が障害され、また、肝臓では、脂肪酸のβ酸化が進行せず、中性脂肪が、蓄積すると、考えられる。

 注7MELAS(mitochondrial encephalomyopathy, lactic acidosis and stroke-like episode)は、代表的なミトコンドリア脳筋症(ミトコンドリア異常症)。
 MELASは、ロイシン転移RNAの遺伝子点変異の為、特に複合体Iの活性が低下する。その為、脳、筋、腎など、エネルギーを必要とする臓器が、機能低下に陥る。
 成長障害、低身長、易疲労性、周期性嘔吐が早期から見られる。次第に、知的障害、全身性痙攣、神経性難聴、運動失調などの神経症状が現れる。脳卒中様の突発性片麻痺(脳内の小血管の血管内皮細胞や平滑筋のミトコンドリアが障害されている為、梗塞を来たす)、四肢麻痺、意識障害、視力障害、不随意運動も見られる。頭部CT検査では、脳梗塞様の多発性低吸収域、基底核石灰化などが見られる。
 MELASは、頭痛、特に、片頭痛が、初発症状のことが多い。 
 治療は、乳酸の蓄積を予防する為、糖質の制限(低炭水化物の食事)や、ビタミンB1ピルビン酸脱水素酵素の補酵素)、ビオチンピルビン酸カルボキシラーゼの補酵素)、ジクロロ酢酸ナトリウム(sodium dichloroacetate:DCA)、ピルビン酸脱水素酵素の活性化剤)の投与が試みられる。
 L-アルギニン療法(10%溶液を5ml/kg/hr投与)により、(NOの産生が増加し、)血管内皮細胞機能が改善し、脳卒中様発作の頻度や重症度が、改善した。

 参考文献
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