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 抗酸化物質

 体内で発生する活性酸素に電子を供給し、消去するのが、抗酸化物質
 還元剤としてのビタミンC(アスコルビン酸、水溶性)、ビタミンE(トコフェノール、脂溶性)が重要だが、その他、β-カロテン、尿酸、ユビキノ−ル(ビタミンQ)も重要。

 野菜や果物を、多く摂取し、抗酸化物質を摂取すると、心血管疾患(心筋梗塞等)の発症が、25%低下する。
 野菜や果物を、多く摂取しても、発癌率は、減少しない。

 食事で、抗酸化物質のビタミンCを多く摂取し、血中のビタミンC不足が改善しても、血中の過酸化脂質(血清LPO)は、低下しない。
 抗酸化物質の摂取が、健康に有益なためには、不飽和脂肪酸の摂取を控える必要があると思われる。
 (抗酸化物質は、活性酸素に電子を供給し、自身は、酸化されるので、高濃度では、却って、酸化を促進させる危険性が考えられる。しかし、正常な状態では、酸化を防止するように作用し、酸化を促進することはないと、考えられる。)

 野菜は、様々な抗酸化物質を含んでいるが、露地栽培の方が、紫外線を浴びて成長するので、含まれる抗酸化物質の量が多い。
 合成の殺虫剤や肥料をまったく使用しない有機農業で育てた、有機野菜は、抗酸化物質を多く含む。トウモロコシやマリオンベリー(キイチゴの1種)は、有機栽培された場合、合成の殺虫剤や肥料を使用する従来式農法で栽培された場合より、フェノール系抗酸化物質を、65%も多く含む。これは、作物が、農薬を使用しないで育てると、害虫や病気から自分を守るために、抗酸化物質を自力で、より多く作るためと考えられる。

 1.ビタミンC(ascorbic acid、水溶性)
 ビタミンCは、スーパーオキシドを消去する。
 ビタミンCは、活性酸素を消去して、酸化されたビタミンEを、再生させるという。

 血漿を用いた実験では、ビタミンEではなく、水溶性のビタミンCが、過酸化脂質脂質ヒドロペルオキシド:LOOH)でも、特に、CE-OOH(cholesterylester hydroperoxide)の生成を、抑制した。
 ヒト血漿に、Cu2+(5μm)を添加し、37℃の空気中で、インキュベートした実験結果によると、脂溶性のビタミンEの濃度は、変化しないが、最初に、水溶性のビタミンCの濃度が減少し(インキュベート開始6時間後程で涸渇し消滅)、次いで、脂溶性のCoQH2-10(CoQ10の還元型のユビキノール)の濃度が減少する(インキュベート開始24時間後程で消滅)。それに伴ない、インキュベート開始22時間後から、血漿中に、過酸化脂質(脂質ヒドロペルオキシド)のCE-OOH(cholesterylester hydroperoxide:コレステロールエステルの不飽和脂肪酸が酸化)が増加し、インキュベート開始46時間後には、血漿中のCE-OOH濃度は、約0.4μMに達する。なお、過酸化脂質のPC-OOH(phosphatidylcholine hydroperoxide:リン脂質のレシチンの不飽和脂肪酸が酸化)の増加は、インキュベート開始46時間後でも、明白でない。
 なお、ヒト血漿に、Cu2+(5μm)を添加しない場合、Cu2+(5μm)を添加した場合に比して、ビタミンCや、CoQH2-10の減少・涸渇に要する時間は長く(消費が遅い)、過酸化脂質のCE-OOH(cholesterylester hydroperoxide)の生成も遅く、生成量も、少なかった(CE-OOH血漿中濃度は、インキュベート開始46時間後でも、約0.05μM程度だった)。

 ビタミンC投与で、マウス(ハツカネズミ)の平均寿命は延長する。しかし、最大寿命は、変わらない。
 ヒトを含む霊長類(新世界猿)、モルモット、ゾウ、コウモリは、グロノラクトンオキシダーゼ遺伝子を欠損していて、体内でビタミンCを合成できない。そのため、食餌でビタミンCを摂取する必要がある。なお、原猿、他の哺乳類(イヌ、ネズミ、ウサギ)は、体内でビタミンCを合成できる。
 ビタミンCは、コラーゲンの合成にも不可欠であり、欠乏すると、壊血病になる。
 
 ビタミンCは、水溶性なので、体内に蓄積しない。
 ビタミンC欠乏食を摂ると、最初、速やかに血清中のビタミンC量が低下し、その後、白血球のビタミンC量がゆっくり低下する。

 ビタミンCは、微量の鉄イオンや銅イオンが存在すると、逆に、酸化を促進し、過酸化脂質を生成するという。
 ビタミンCを、むやみに多量に摂取するのも、健康に良くないと考えられる。

 ストレスの多い人や、喫煙者は、血漿中のビタミンC濃度が低下している。

 アスコルビン酸(還元型ビタミンC)は、強い還元性を持っており、酸化されると、モノデヒドロアスコルビン酸(ラジカル)を経て、デヒドロアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)に変化する(-OHが、=Oに変化する)。
 モノデヒドロアスコルビン酸(MDA:セミデヒドロアスコルビン酸)は、MDA還元酵素(モノデヒドロアスコルビン酸レダクターゼ)によって、ビタミンCに再生(還元)することが可能。
 デヒドロアスコルビン酸(DHA)は、グルタチオンレダクターゼ(グルタチオン還元酵素)か、デヒドロアスコルビン酸レダクターゼにより、ビタミンCに再生(還元)される。グルタチオン依存性デヒドロアスコルビン酸還元酵素(GSH-DHAR)の活性は、インスリンにより、増強される(インスリンが不足した糖尿病では、GSH-DHARの活性が低下すると思われる)。
 調理や、貯蔵に際して、食品中のビタミンCが、デヒドロアスコルビン酸(DHA)に酸化され、中性の条件下で、2,3-ジケトグロン酸(DKG)に変換されると、デヒドロアスコルビン酸(DHA)に再生されないので、もはや、ビタミンCに再生されないと言う。
 糖尿病などの高血糖状態では、細胞内の還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE還元型グルタチオンの含量が、低下している。

 ビタミンC摂取は、血液中の酸化型CoQ-10量を減らす可能性がある。
 ビタミンC摂取は、血液中の過酸化脂質量を減少させないと思われる。 
 野菜や果物を多く摂取し、食事からビタミンCを多く摂取し、血中のビタミンC不足が改善しても、血中の過酸化脂質(血清LPO)は、低下しない。

 ビタミンEは、ビタミンC(還元性物質)と相乗的に、抗酸化作用を示す。
 大豆レシチンリポソームでは、ビタミンEは、ビタミンCが共存している場合は、ペルオシキラジカルにより、最初は、水相のビタミンCが消費される(直線的に減少する)が、脂質相のビタミンEは、殆ど消費されず、ビタミンCが枯渇してから、ビタミンEは減少する。
 大豆レシチンリポソームでは、ビタミンEは、ビタミンCが共存している場合は、脂質相に生じたペルオシキラジカルを、ビタミンEが最初に作用して、連鎖的脂質過酸化反応を停止させ、Eラジカルとなる。その後、Eラジカルは、リポソーム表面で、水相のビタミンCにより還元され、ビタミンEに再生される。


 ビタミンCの合成経路(ビタミンC生成経路)は、完全に解明されていないが、植物では、光合成により生成されるブドウ糖(グルコース)から、ビタミンCが生成される。
 作物(レタス)では、含まれる全糖量(乾物%)と、ビタミンC量(mg%生量)とは、相関関係にある。
 作物(小松菜)に含まれるビタミンC量は、日射量が多いと、多くなる。また、小肥(収穫4日前から施肥を水に替える)だと、作物(小松菜)に含まれる硝酸量が少なく、アミノ酸生成に利用されるブドウ糖量も少なくなり、ビタミンC生成量が、増加する(硝酸量が、アミノ酸生成に利用されるブドウ糖量を左右する)。

 2.ビタミンE(α-tocophenol、脂溶性)
 ビタミンEは、ヒドロキシルラジカル一重項酸素を消去し、脂質の酸化を防止する。

 脂溶性のビタミンEは、脂質過酸化に対する、生体の最も重要な抗酸化物質と考えられている。
 ビタミンEは、連鎖的脂質過酸化反応を停止させる。


 ビタミンEは、強い抗酸化力を持ち、細胞膜を形成するリン脂質の酸化を防止している。
 ビタミンEが欠乏すると、臓器中の過酸化脂質の量が増加し、細胞膜が損傷を受ける。
 酸化されやすい脂質をたくさん摂取すると、血液中のビタミンE量は、減少する。 

 体重当りのカロリー消費量に対するビタミンE濃度を、いろいろな動物で調べると、ビタミンE濃度が高い程、寿命が長い。
 ビタミンEを線虫やショウジョウバエに投与すると、寿命が延長する。しかし、ヒトでは、ビタミンEで寿命は延長されないようだ。

 ビタミンEを服用すると、冠動脈疾患の発症が有意に低下される。

 ビタミンEは、LDL表層にとどまってしまい、LDLの酸化を生体内でおさえるのには十分でないとも考えられている。
 また、ビタミンEは、マクロファージのミエロペルオキシダーゼ(MPO)を阻害出来ず、MPOによる低比重リポ蛋白(LDL)の酸化を抑えられないという。

 ビタミンEは、高濃度だとLDLの酸化を促進するが、ビタミンCと一緒に摂取するとLDLの酸化を遅延させるという。
 ビタミンEの動脈硬化進展抑制作用を得るためには、ビタミンCを併用することが必要。

 ビタミンEは、食品群別平均摂取量から見ると、油脂類から約25%、魚介類から約18%、緑黄色野菜注1)から約14%、摂取されている。 
 油脂類は、ビタミンEを多く含んでいるが、酸化され易い多価不飽和脂肪酸も多く含んでいる。
 油脂類で、ビタミンEを摂取しようとすると、高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症)になり、過酸化脂質が増加する危険がある。
 しかし、緑黄色野菜は、含まれる多価不飽和脂肪酸が少なく、ビタミンE/多価不飽和脂肪酸比が高い。そのため、緑黄色野菜は、ビタミンE供給源として、優れている

 ビタミンC合成不能ラットを用いた実験結果では、
 ・
食餌中にビタミンEを添加しないと、血清中および肝臓の過酸化脂質量が増加する
 ・
食餌中のビタミンC量は、血清および肝臓の過酸化脂質量に影響しない
 ・食餌中にビタミンEを添加しないと、アルコールを自由に飲ませた群は、飲料水を飲ませた群に比して、血清中の過酸化脂質が増加するが、
肝臓の過酸化脂質量は変わらない
 ・食餌中のビタミンC量を増やしても、アルコールを自由に飲ませた群では、血清中の過酸化脂質量は増加する:ビタミンCによる、ビタミンE再生作用は、認められなかった
 ・アルコールを自由に飲ませた群では、肝臓のビタミンE量が低下する傾向にあった
という。

 飲酒時には、ビタミンEを十分に摂取して、過酸化脂質の生成を予防することが必要と考えられる。

 高齢者の末梢血単核球は、若い人の単核球より、PGE2の産生が多い。ビタミンE投与により、PGE2の産生は、減少する。

 ビタミンEは、生体膜(細胞膜など)を活性酸素から保護し、流動性を守っている。
 
 ビタミンEは、抗酸化作用を介して生体膜を安定化させる作用以外に、ビタミンEの側鎖(フィチル側鎖)の部分が、細胞膜のリン脂質(リノール酸アラキドン酸)の二重結合に入り込み、膜組織を安定にさせる。
 ビタミンEは、生体膜安定化作用があり、赤血球や血小板の膜を安定化させる。

 免疫担当細胞は、細胞膜に、多価不飽和脂肪酸を、通常の細胞より、多く含んでいる。ビタミンEが不足すると、免疫担当細胞の細胞膜で、過酸化脂質が生じ、プロスタグランジンE2(PGE2)の生成が増加し、T細胞の活性化や、サイトカインの産生が、抑制される。

 ビタミンEが、血漿中に十分に存在しても、(血漿中の)脂質過酸化物質は、生成されてしまう。
 ヒト血漿を37℃空気中にインキュベートした実験では、ビタミンCやユビキノール(CoQ-10)が、脂質ヒドロペルオキシドの生成を抑制する為に、消費されるが、ビタミンEは、消費されない(ビタミンEは、脂質ヒドロペルオキシドの生成を抑制出来ない)。

 3.カロテノイド
 カロテノイド(カロチノイド)も、ヒドロキシルラジカル一重項酸素を消去する。
 カロテンは、高熱で破壊されるので、煮物など、茹でて、摂取すると良い。

 表1 緑黄色野菜中のカロテノイド含有量(μg/100g)
 野菜  α-カロテン  β-カロテン  リコピン  ルテイン
 ニンジン   3600   7900      −    260
 ホウレンソウ      −   4100      −  10200 
 冬カボチャ     12    820      −     38
 夏カボチャ     12    420      −   1200  
 生食用トマト      −    520   3100    100
 ブロッコリー      −    700      −   1900
 コーン     50     51      −    780
 グリンピース    630     44      −    740


 1).α-カロテン
 α-カロテンは、ニンジン、カボチャ、コーンなどに多く含まれ、肺癌、皮膚癌、肝臓癌の発生の抑制効果がある。
 なお、ニンジンには、ビタミンCを分解する酵素も含まれている。

 2).β-カロテン(脂溶性)
 β-カロテンは、プロビタミンA活性があり、体内でビタミンAに変わる。
 ビタミンAは、一重項酸素のみを消去する。
 β-カロテンは、従来、β-カロチンとも呼ばれた。
 β-カロテンは、リン脂質の代謝を抑制する。
 β-カロテンは、マクロファージ、T細胞、NK細胞を活性化する。
 β-カロテンは、ニンジン、ホウレンソウ、ブロッコリーなどに多く含まれる。
 β-カロテンには、肺癌の発生の抑制効果は、ない。
 ニンジン等を摂取して、血中のカロテノイド(β-カロテン)が多い人は、乳癌の発生率が低い。
 ニンジンは、茹でると、β-カロテンの腸からの吸収が高まる。茹でたニンジンを摂取した場合、生のニンジンを摂取した場合に比して、血中のβ-カロテン濃度は、高い:摂取6時間後で平均1.4倍、摂取8時間後で平均1.6倍、血中のβ-カロテン濃度が、高い。
β-カロテンは、紫外線により発生する一重項酸素を消去し、皮膚のシミなどを改善・予防する。
 ニンジンを茹でたジュース(果汁)を飲むと、皮膚のシミが、改善する。

 3).リコピン
 リコピンには、肝臓癌、膀胱癌、前立腺癌の発生を予防する効果がある。

 4).ルテイン
 ルテインは、ホウレンソウ、夏カボチャ、ブロッコリーなどに多く含まれ、肺癌、乳癌、子宮癌、大腸癌の発生を抑制する効果がある。
 ルテインは、体内で合成出来ない。
 ルテインは、黄斑部に含まれていて、光(特に、青色光)を吸収し、光による脂質の酸化を予防し、黄斑部変性症を、予防するという。

 ルテインは、眼の水晶体や黄斑に、多く蓄積する。
 ルテインは、ホウレン草やキャベツ等、緑黄色野菜に多く含まれている。食品中のルテインは、フリー体が約80%を占めるが、エステル体(ルテイン脂肪酸エステル)も、存在する。
 眼の黄斑が、黄色なのは、蓄積したフリー体のルテインの色素による。黄斑のルテインは、青色光線のエネルギーを吸収し、黄斑を、可視光線による光障害から、保護している。
 加齢黄斑変性症は、網膜が、光障害を受け、変性が起こり、発症すると考えられる。抗酸化物質や亜鉛を摂取すると、黄斑変性の進行度が、低くなる。加齢黄斑変性症(AMD)は、抗酸化物質である、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンや、亜鉛、鉄の摂取により、発症リスクが、減少する。特に、ビタミンEと亜鉛は、加齢黄斑変性症(AMD)の発症リスクを、減少させる。
 ルテインは、ビタミンEより、10倍以上強力に、一重項酸素を、消去する。
 ヒト黄斑部に含まれるルテイン量は、加齢と共に減少する。ヒト黄斑部に含まれるルテイン量は、加齢黄斑変性症では、優位に、低下している。ルテイン含有サプリメントを服用すると、(黄斑部の)色素密度(ヒト黄斑部に含まれるルテイン量)が、正常レベルに近づく。
 食事で、1日当たり6mgのルテインを摂取していると、加齢黄斑変性症の発症リスクが、半減する。

 サツマイモの葉は、ルテインを多く含んでいる。ルテイン含量(mg/生100g)は、サツマイモ葉が20mg、ケールが23mg、ホウレンソウが10mg、ブロッコリーが3mg、レタス3mgと言われる。


 4.尿酸(水溶性)
 尿酸は、ヒドロキシルラジカルを消去する。
 尿酸は、体内(関節周囲や耳介)で結晶が沈着すると、痛風の原因になる。痛風では、血液中の尿酸値が、増加するが、排泄低下型と、産生過剰型とがある。
 尿酸の産生は、肝臓(550〜600mg/日)、食餌由来(100〜150mg/日)と、体内で合成される方が、約7倍多い。
 尿酸の排泄は、尿中(550mg/日)と、便中(150mg/日)とされる。
 このように、尿酸は、食餌に含まれるプリン体より、細胞が壊れる際に、核から放出されるプリン体の方が、原料になる。そのため、プリン体を多く含む食餌を食べても、短時間的には、尿酸値は、変動しない。
 尿酸は、アルカリに溶けやすいので、尿酸値を低下させたり、痛風の発作を予防したり、尿酸結石を予防するには、野菜を多く食べて、尿をアルカリ性の方向に、持って行くのが、良いと思われる。

 5.ユビキノ−ル(脂溶性)
 ユビキノールは、補酵素Q(ユビキノンCoQ)の還元型。
 ユビキノールは、別名、還元型ユビキノン、コエンザイムQ(CoQ)、CoQ10(補酵素Q10)、ビタミンQなどとも、呼ばれている。
 ユビキノール-10(CoQH2-10)は、血漿を用いた実験では、ビタミンCより長い時間、過酸化脂質(LOOH:cholesterylester hydroperoxide)の生成を抑制した。
 糖尿病患者では、血液中の酸化型ユビキノン-10(CoQ-10)は、朝食後から増加する。このような酸化型ユビキノン-10の増加は、健常者では、認められない。

 ユビキノール(補酵素Q)は、ミトコンドリアの内膜に存在し、電子(e-)を伝達して、水素イオン(H+)の膜間スペース(膜間腔)への輸送に関与している。伝達された電子が、酸素(O2)を還元する際、一電子還元すると、スーパーオキシド(O2-)が生成されてしまう。

 ユビキノールは、他の物質に電子を供給して、還元させる作用があり、最近は、抗酸化物質としての生理作用が、注目されている。
 ビタミンEに構造が似ている。葉緑体に含まれるPlastoquinoneにも、構造が似ている。

 ユビキノールCoQ10)は、体内でも生成されるが、年齢とともに生成量は減少するとされる。

 薬剤としては、ユビデカレノン(Ubidecarenone:医薬品名は「ノイキノン」)が、心筋細胞のATP産生の増加を期待して、心不全の治療に、従来から用いられて来た。
 野菜、大豆、背の青い魚、鶏肉、牛豚のレバーなどの食品に含まれるという。
 血液中での抗酸化作用は、ビタミンCや、ビタミンEより、長いとされる。
 
 6.葉酸
 葉酸が欠乏すると、ホモシステインが増加し、血管内で活性酸素を産生させ、
動脈硬化を促進させる。
 ホモシステインは、NOの産生を抑制したり、血小板凝集を促進し、
血栓形成を促進させる。
 ホモシステインは、食物にも含まれるアミノ酸で、必須アミノ酸のメチオニンや、S-アデノシル1-メチオニン(SAM)を生成するメチル回路を活性化するために、不可欠。
 ホモシステインには、脂質を酸化させる作用がある。
 ホモシステインは、含硫アミノ酸で、血管内皮細胞など、内皮細胞に対して、毒性を示し、その結果、血栓症や、脳機能障害を来たす危険性が指摘されている。
 血中のホモシステイン濃度は、加齢と共に上昇する。

 葉酸や、ビタミンB6ビタミンB12は、血中ホモシステインを減少させる。運動も、ホモシステインを減少させる。
 葉酸の1日必要摂取量は、成人200μg、妊婦400μgと言われる。日本人の15%の人は、遺伝子がTT型だが、TT型の人は、400μg摂取しないと、葉酸の血中濃度が上昇しない。
 葉酸欠乏は、口唇・口蓋裂、神経管閉鎖障害(二分脊椎症)などの胎児奇形の原因にもなる。
 葉酸は、口唇・口蓋裂の予防に不可欠だが、葉酸の摂取のみで、完全には、予防出来ない。

 葉酸は、緑黄色野菜、枝豆、緑茶などに含まれている。
 葉酸は、100gあたり、ほうれん草210μg、焼き海苔1900μg、せん茶(浸出液)16μg、ブロッコリー210μg、キャベツ78μg、鶏卵43μg、含有されている。
 葉酸を効率良く摂取するには、サプリメントを利用するのも良い。なお、葉酸を摂取すると、ビタミンB6は、極端に低下してしまうと言う。そのため、葉酸をサプリメントで摂取する時には、ビタミンBとの合剤で摂取するのが、良いと言う。

 7.グルタチオンとアセチルシステイン
 グルタチオン(glutathione)は、N-アセチルシステイン(N-acetylcysteine:NAC)から合成される。
 N-acetylcysteineを摂取して、細胞内のグルタチオン濃度を高めると、ミトコンドリアや細胞が、活性酸素の障害作用から、防御される
 N-acetylcysteineは、それ自身、抗酸化作用(antioxidant properties)がある。
 機序は不明だが、パントテン酸(pantothenic acid)を投与して、細胞内のCoA量を増加させると、グルタチオン濃度が高まる。
 カレー粉の成分クルクミンも、細胞内グルタチオン濃度を高める。
 ブロッコリーなどの野菜に多く含まれている、スルフォラファンも、グルタチオンを増加させる。スルフォラファンは、辛み成分で、ブロッコリーの新芽(スプラウト)に、多く含まれていると言う。

 植物では、抗酸化物質を与え過ぎると、発芽が悪くなる。
 植物の場合、ストレス(低温など)がかかると、活性酸素(過酸化水素)が生成され、過酸化水素を消去する為に、グルタチオンの生成が促進され、発芽が促進される。

 8.抗酸化物質を多く含む食品
 抗酸化作用のある食品成分は、すっぱい(ビタミンC)とか、渋い(カテキン)などと言った味の嗜好から敬遠され、現代の食生活では、摂取が少ない可能性もある。
 抗酸化物質を多く含む食品として、下記の食品などが、勧められる。

 ・ホウレンソウなどの緑黄色野菜:トマトはリコピンを含み、中医学では「血液を清める」と言われる。

 ・ニンニク:ニンニクに含まれるアリシン(注2)には、抗酸化作用がある。MATS(メチルアリルトリスルフィド)は、TXA2の合成を抑制し、血小板凝集を抑制する。ニンニクは、五葷(ごくん)の1つであり、性欲を亢進させるので、修行者には、勧められない。  

 ・ゴマセサミンなどのゴマリグナンや、ビタミンEを含む。セサミンは、ペルオキシソームに作用して、脂質の代謝を促進するという。セサミノール配糖体は、抗酸化作用があるが、腸内細菌でセサミノールに変えられ、動脈硬化を予防する。
 ゴマには、ジホモ-γ-リノール酸(DGLA)を、アラキドン酸(AA)に変換することを、阻害する物質(リグナン類)が含まれていて、抗アレルギー作用もあると言う。ゴマ(胡麻)に含まれるゴマリグナンは、肝臓の活性酸素を減少させ、肝機能を上昇させると言う。ゴマリグナンは、肝臓で、β-酸化を促進させる(β-酸化系酵素と同じ働きをする)。
 ゴマには、便秘解消効果もある。

 


 ・緑茶:カテキンを含む。カテキンは、水溶性かつ脂溶性に作用する。緑茶のカテキンは、渋味成分なので、徳用茶を高温(90度以上)で煎じた方が、多く抽出される。カテキンは、煎茶(特に、2番茶)に多く含まれる。葉酸も含まれるが、抽出には60度程度が良い。カテキンには、血小板の凝集を抑制する作用、肝細胞を保護する作用もある。カテキンには、抗酸化作用の他、抗菌作用、アポトーシス誘導作用などもあるという。
 カテキンは、マウス実験結果では、脂肪細胞での活性酸素種(ROS)の産生を減少させる。
 マウス(C57BL/6Jマウス)を高脂肪食で10週間飼育すると、内臓脂肪(副精巣周囲脂肪組織)でのROS産生(NADPHオキシダーゼ遺伝子の発現)、体重、脂肪組織蓄積量、血漿中過酸化脂質量、血漿中コレステロール量が増加する。高脂肪食に茶カテキンを1%添加すると、内臓脂肪でのROS産生などが、増加しない。高脂肪食だと、善玉アディポサイトカイン(アディポネクチンやレジスチン)が有意に低下するが、茶カテキンを添加した高脂肪食だと、善玉アディポサイトカインは低下しない。高脂肪食摂取後に、茶カテキンを添加した食事を摂取させると、高脂肪食摂取による肥満(体重増加や脂肪組織の蓄積)、血漿中の過酸化脂質やコレステロールの増加、内臓脂肪(副精巣周囲脂肪組織)でのROS産生(NADPHオキシダーゼ遺伝子の発現異常)が正常化する。このように、茶カテキンは、メタボリックシンドロームの予防や治療に、有用と考えられている。

 緑茶抽出物は、アルコールの代謝を促進させ、(血中の)アルコールやアセトアルデヒド濃度を低下させる。
 緑茶に含まれるカフェイン(苦味成分)は、肝臓のアセトアルデヒド分解酵素(=ALDH)の活性を亢進させ、アルコールやアセトアルデヒドの分解を促進させる。カフェインは、高温の御湯の方が、溶け出し易い(苦味が強くなる)。
 緑茶に含まれるカテキン(渋味成分)は、胃からのアルコールの吸収を抑制する。カテキン類の含量は、煎茶(せんちゃ)が多く、玉露や抹茶は少ない(カテキン類は、茶葉が日光に当たると増加する)。 
 なお、緑茶に含まれているテアニン(アミノ酸:旨味成分、甘味成分)は、茶葉が、日光に当たると、カテキンに変化してしまうので、玉露や抹茶に多く含まれている。テアニンは、グルタミン酸(Glu)に似たアミノ酸であり、神経細胞のグルタミン酸受容体に結合し、神経細胞死を抑制すると言う。
 カフェインやカテキンは、高温(90℃)の御湯の方が、溶け出し易く(渋味が強いが香りは良い)、テアニンは、低温(50〜60℃)のの御湯の方が、溶け出し易い(旨味がある)。

 タンニン酸を多く含む飲料(日本茶、コーヒー、紅茶、中国茶、杜仲茶、どくだみ茶など)は、常飲していると、萎縮性胃炎(胃の粘膜が薄くなり、進行すると、胃癌になる)。特に、毎日10杯以上、日本茶(緑茶)を飲む人は、進行した萎縮性胃炎になり易い。緑茶は、含まれているカテキン(抗酸化物質)により、胃癌などを予防するとも言われるが、1日2〜3杯以上、空腹時に飲むことは、良くないとも言われる。
 御茶(緑茶など)には、カフェインも含まれていて、不眠症、不整脈、脱水症状を起こすこともある。なお、麦茶(ムギ茶)、蕎麦茶(ソバ茶)は、カフェインを含んでいない

 ・大豆:フラボノイドのイソフラボンを含む。イソフラボンは、辛み成分の一つ。イソフラボンを摂取するには、納豆注3)などの発酵食品の方が良い。納豆は、40g1パックで、イソフラボン50mgを含有している。イソフラボン50mgを摂取するには、豆腐だと100g(1/3丁)、生揚げだと280g(2/3枚)、黄な粉20g(大さじ2杯)、味噌125g(味噌汁10杯)が、必要。豆乳は、コップ約1杯弱に、40mgのイソフラボンを含んでいて、摂取すると、血中セロトニンの分泌量を増加させ、頭痛や、不安感を軽減する。イソフラボンは、弱いが、女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持ち、閉経後の乳癌の発症率を減少させる。イソフラボンは、摂取後、2時間で、血中濃度がピークになる。イソフラボンは、糖と結合していて吸収が悪いが、腸内の善玉菌は、糖を分解して、イソフラボンの吸収を増加させてくれる。イソフラボンには、血行促進作用、LDLコレステロールの酸化防止作用があると言う。大豆は、イソフラボン以外にも、抗酸化作用のある、サポニンも含んでいる。
 イソフラボンは、化学構造が、女性ホルモン(エストロゲン)に類似していて、骨粗鬆症などの予防効果がある。しかし、イソフラボンには、過剰摂取すると、発癌のリスクを高めるおそれも指摘されている。食品安全委員会は、大豆イソフラボンの有効性と安全性を両立させる量を検討して、2005年12月12日に、大豆イソフラボンの摂取量の目安を、1日30mgとすることで、合意したと言う。イソフラボン30mgは、豆腐約150g(1/2丁)に含まれている。日本国民の多くが、通常の食生活で摂取しているイソフラボンは、1日70mg以下と言われる(その内、納豆や豆腐など大豆製品から、1日16〜22mgのイソフラボンを摂取している)。イソフラボンの安全な摂取量は、1日70mg程度と言われる。サプリメントで、1日30mgを摂取しても、安全と看做された。平成18(2006)年1月に、厚生労働省の食品安全委員会(新開発食品専門調査会)は、イソフラボンをサプリメント(特定保健用食品)として、日常の食事とは別に摂取する場合は、1日の摂取量の上限を、30ミリグラム(mg)とする案をまとめた。
 イソフラボンは、腸内細菌により、エコール(エクオール)に変化すると、エストロゲン受容体(女性ホルモン受容体)に結合し、骨粗鬆症や、更年期障害に対して、効果が出易くなる。イソフラボンは、エコール産生者の方が、更年期障害のほてりや、のぼせに効果が出易くなる。エコール産生者の方が、乳癌の発生率が低くなる(1/3)。
 大豆に含まれるイソフラボンには、ゲニステイン、ダイゼイン、バイゼイン、バイオカニンA、フォーモノネチンなどがある。
 ゲニステイン(genistein)は、tyrosine kinase、vascular endothelial growth factor)の産生を抑制し、様々な悪性腫瘍の発育を阻止し、アポトーシスを誘導する。
 大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲン受容体のある細胞には、抗エストロゲン作用を現わすので、乳癌の発育を阻害すると言う(大豆に含まれるイソフラボンは、乳癌を抑制しない、あるいは、増悪させると言う報告もある)。

 2006年5月11日に、内閣府食品安全委員会は、「大豆イソフラボン」を含む特定保健用食品(トクホ)に関して、安全性評価を、厚生労働省に報告した。
 この報告では、「大豆イソフラボン」の摂取量の上限は、70〜75mg/日とし、「大豆イソフラボン」の食事以外(サプリメント等)からの追加摂取量の上限を、30mg/日としている。なお、この「大豆イソフラボン」の摂取量の上限値は、子供や妊婦には、推奨されない。
 「大豆イソフラボンアグリコン」は、食品の可食部100g当たり、納豆は、65〜81mg、味噌(みそ)は、14〜81mg、含まれている。

 ・ナス:抗酸化作用のある、クロロゲン酸を、表皮に含む。クロロゲン酸は、渋味成分であり、コーヒーにも含まれている。

 ・カレー粉:ターメリック(注4)に含まれる黄色の色素の成分は、クルクミンで、抗酸化作用がある。クルクミンは、腸で吸収される時、より抗酸化作用が強い、無色のテトラヒドロクルクミンになる。クルクミンは、細胞内のグルタチオン濃度を高める作用もあるとされる。

 ・ミカン:キサントフィルを含む。

 ・シークヮーサー(和名:ヒラミレモン):・シークヮーサーの皮には、ポリメトキシフラボン類のタンゲレチン(TNG)、ノビレチン(NBL)が多く含まれている(同じ、柑橘類でも、温州ミカンには、ポリメトキシフラボン類は、含まれていない)。ポリメトキシフラボン類には、血流増加作用がある(ジュースとして飲用した場合)。

 ・オリーブ(オリブ)は、果肉、葉、樹液に、マスリン酸を含んでいる。マスリン酸は、オリーブの樹皮に高濃度に含まれている。
 マスリン酸は、抗炎症性に抗酸化作用を示す。
 マスリン酸は、五員環テルペンで、プロテアーゼ阻害薬として、細胞の成長を抑制する能力があり、発癌抑制作用があると言われている。

 9.抗酸化物質は、アレルギー疾患を改善する
 リンパ球には、T細胞と、抗体(免疫グロブリン)を産生するB細胞とがある。
 T細胞には、さらに、単球・マクロファージから抗原を提示され、免疫反応を調節する、ヘルパーT細胞(CD4抗原陽性)と、ウイルス感染細胞などを傷害する、キラーT細胞(CD8抗原陽性)がある。
 ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞とがある。


 Th1細胞(T helper 1)抗原提示細胞であるマクロファージが、抗原をT細胞に提示する際に分泌するIL-12は、ナイーブヘルパーT細胞を、Th1細胞(T helper 1 cell)に分化させる。Th1細胞は、IL-2IFN-γ(IgE抗体の産生を抑制する)、TNF-αなどを産生し、T細胞や、単球など貪食細胞の活性を高め、
細胞性免疫(ツベルクリン反応など)に関与する。
 Th2細胞: マクロファージが、抗原をT細胞に提示する際に分泌するPGE2は、ナイーブヘルパーT細胞を、Th2細胞(T helper 2 cell)細胞に分化させる。Th2細胞は、IL-3、
IL-4(IgE抗体の産生を増加させる。肥満細胞からも産生される)、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13を産生し、液性免疫に関与する。IL-10は、Th1細胞からのIFN-γの産生、IL-12の産生を抑制する。
 Th1細胞による免疫応答では、細胞性免疫が働いて、リンパ球やマクロファージなど単核細胞中心の炎症反応が起る。真菌のクリプトコッカスに対する免疫応答では、Th1細胞が優位に働くと、強固な肉芽腫が形成され、感染が局所に封じ込められる。しかし、Th2細胞が優位に働くと、炎症性細胞浸潤が極めて乏しい(液性免疫では、クリプトコッカスなどの細胞内寄生菌を、殺せない)。そして、肺胞腔にクリプトコッカスが充満して、感染が、容易に血行性に広がって、髄膜炎などを発症する。
 Th1細胞より、Th2細胞が優位に働いている状態では、アレルギー体質に陥りやすいと考えられている(注5)。
 生体の抗酸化能が低下すると、Th1細胞より、Th2細胞が優位に働くと考えられる。
 ビタミンC(90mg/日)、ビタミンE(20mg/日)、β-カロテン(0.75mg/日)などの抗酸化物質は、Th2細胞優位の状態を改善すると考えられる。
 アトピー性皮膚炎の症状改善のためには、砂糖ショ糖)や脂肪(植物性油脂)の摂取を制限(注6)し、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化物質を摂取することが、推奨される。

 10.抗酸化物質は、解毒を促進する
 毒性物質(発癌物質)である、魚の焦げ(ヘテロサイクリックアミン)、カビ類(アフラトキシン)、排ガス(ベンゾ[a]ピレン)は、体内に入ると、肝臓で、P450により、活性体に変化する。
 解毒酵素(グルタチオン・S・トランスフェラーゼ、キノン還元酵素など)は、毒性物質の活性体を無毒化し、排出する。
 抗酸化物質(テトラヒドロクルクミンイソチオシアネートなど)は、解毒酵素を誘導し、解毒を促進する。

 11.ハプトグロビン
 動物実験では、抗酸化作用のある、ビタミンCビタミンEは、LDLコレステロールの酸化を抑制し、動脈硬化の進行を抑制する。しかし、人間に、抗酸化ビタミンのビタミンCとビタミンEのサプリメントを投与した場合、動脈硬化の進行が抑制される人と、そうでないない人がいる。このような、効果の違いは、ハプトグロビン遺伝子型によるという。
 ハプトグロビン遺伝子には、1型と2型があり、組み合わせから、1型のホモ型(1/1型)、2のホモ型(2/2型)と、1型と2型とのヘテロ型(1/2型)の、3通りが存在する。
 抗酸化ビタミンの摂取は、1/1型の人には、動脈硬化の進行の抑制に、効果がある。しかし、抗酸化ビタミンの摂取は、1/2型と2/2型の人には、動脈硬化の進行の抑制には、効果がない。特に、糖尿病を罹患している、2/2型の人では、抗酸化ビタミンの摂取は、動脈硬化の進行を、却って、促進させるという。これは、2型のハプトグロビンは、血中の鉄分が多く、抗酸化ビタミンとして、ビタミンCを摂取すると、酸化第二鉄(Fe3+)が還元され、酸化第一鉄(Fe2+)が生成され、LDLコレステロールを酸化する力が出来る。

 12.ファイトケミカル
 ファイトケミカル(phytochemical:フィトケミカル:植物性化学物質)とは、植物が、紫外線(活性酸素である、一重項酸素を発生させる)の毒性や、害虫の害から、自らの体を守る為に、作り出す物質。ファイトケミカルは、植物の、
素、(辛み、渋みなど)、り、アクなどとして、含まれている。

 ファイトケミカルとしては、ポリフェノールが有名で、黄色い色素のフラボノイド(注7)と、非フラボノイドとがある:フラボノイドには、フラバノール類(カテキン類:縮合するとプロアントシアニジンと言うタンニンになる)、アントシアニジン類(アントシアニン:赤ワイン、ブドウなどに含まれる)、イソフラボン類(大豆イソフラボン)、フラボン類、フラボノール類、フラバン類がある。非フラボノイドには、カフェー酸誘導体(クロロゲン酸)、リグナン類(セサミン、セサミノール:ゴマに含まれる)クルクミン(ウコン=ターメリックに含まれる)がある。
 含硫化合物には、イソチソシアネート類(スルフォラファン)、システインスルホキシド類(ニンニクに含まれる)がある。
 脂質関連物質(カロテノイド類)には、カロテン類(β-カロテン、リコピン)、キサントフィル類(ルテインなど)がある。
 糖関連物質には、β-グルカン、フコダイン、ペクチン(リンゴ)がある。
 アミノ酸関連物質には、グルタチオン、タウリンがある。タウリン(H2NCH2CH2SO3H)は、含硫アミノ酸の1種で、体内では、メチオニン(Met)などから生成可能だが、肝臓では、タウリンを生成する酵素活性が低い。タウリンは、胆汁酸を抱合し、胆汁の分泌を促進させる作用がある。タウリンには、急性肝障害に際して、肝細胞膜が酸化され、過酸化脂質が生成されるのを抑制し、細胞膜の機能を安定化させる作用がある(肝庇護作用)。タウリンは、コレステロールから誘導されるコール酸と抱合(結合)すると、タウロコール酸(胆汁酸の1種)が生成される。なお、コール酸は、グリシンと抱合すると、グリココール酸が生成される。
 香気成分には、オイゲノール(バナナ)、リモネンがある。

 表2 ポリフェノールの分類
 フラボノイド  アントシアニジン類  アントシアニン  ブドウ(実皮)、ムラサキイモ(紫芋)
 イソフラボン類  イソフラボン  ダイズ(大豆:納豆、豆腐)
 フラバノール類  カテキン  リンゴ、ワイン、ブルーベリー、御茶
 フラボノール類  ケルセチン  タマネギ、レタス、ブロッコリー
 ルチン  ソバ(蕎麦)
 非フラボノイド  フェノール酸  クロロゲン酸  コーヒー
 エラグ酸類  エラグ酸  イチゴ(苺)、ラズベリー、ザクロ
 リグナン類  セサミン  ゴマ(胡麻)
 クルクミン類  クルクミン  ウコン、ショウガ


 野菜や果物に含まれているファイトケミカルには、アントシアニン、タンニン(渋み成分)、イソフラボン(辛み成分)、クロロゲン酸(渋み成分)、スルフォラファン(辛み成分)、サポニン、フラボノール、ルテインリコピン、β-グルカンなどがある。
 ハーブとして用いられる植物には、イソフラボン類などのファイトケミカルを含む植物がある。
 サリチル酸も、ファイトケミカルと同様に、植物が、害虫の害から、自らの体を守る為に、作り出す物質。

 肥料が豊富な土地で育った植物(野菜など)は、ファイトケミカルの産生量が少なく、味の辛みや渋みが少なく、害虫に食され易い場合がある。
 「虫が付かないような野菜は、美味しくない」などと、言う人もいるが、野菜は、無農薬で栽培され、害虫に食われると、辛み成分のあるファイトケミカルを産生し、味が低下するおそれがある。

 13.スルフィニル
 スルフィニルは、日本のワサビ(山葵)に含まれる。
 GST(グルタチン-S-トランスフェラーゼ)は、細胞内で生成され、活性酸素を消去する。
 スルフィニルは、GSTの生成を刺激する。予め、ワサビなどでスルフィニルを摂取しておくと、活性酸素が発生しても、速やかに、活性酸素を消去出来る。
 ワサビ(山葵)は、摩り下ろして1時間程放置すると、辛味の成分イソチオシアネートが減少し、辛味が弱くなる。しかし、スルフィニルは、放置すると時間と共に増加する(スルフィニルは、イソチオシアネートの仲間で、弱い辛味がある)。スルフィニルは、加熱にも、安定している。

 14.附記
 葉酸やビタミンBを女性に内服させても、心血管疾患(心血管イベント)の再発(心筋梗塞、脳卒中、血行再建術、心血管疾患死)が予防されないことが、WAFACS(Women's Antioxidant and Folic Acid Cardiovascular Study)により、2006年の米国心臓協会学術集会(AHA 2006:第79回)で、報告された。
 ホモシステインが上昇すると、心血管疾患リスクが増大する。葉酸やビタミンBを内服すると、血中のホモシステインが低下し、心血管疾患リスクが減少すると期待されていた。しかし、心血管疾患の既往がある40歳以上の女性を対象に、葉酸とビタミンB(葉酸2.5mg/日、ビタミンB650mg/日、ビタミンB121mg/日)を内服(平均7.29年)させると、血中の葉酸値が上昇(前9.0ng/mL→後39.6ng/mL)し、血中ホモシステイン値が低下(前12.2μmol/L→後10.0μmol/L)する。しかし、心筋梗塞、脳卒中、血行再建術施行、心血管疾患死は、改善されない。

 注1緑黄色野菜とは、可食部100g当たり、カロテノイドが、600μg以上、含まれる野菜。
 トマト、ピーマンは、可食部100g当たりのカロテノイド含量が、600μgだが、摂取量や摂取頻度などから、栄養指導上は、緑黄色野菜と看做される。
 カロテノイドを多く含む緑黄色野菜の摂取量が少ないと、活性酸素により、テロメアが早期に短く切断され、老化が早まると言う。

 注2
アリシンは、硫化アリルの1種で、ニンニク、タマネギ、ネギ、ニラなどに含まれる。生のニンニクには、アリインとして含まれていて、切ったりすると、酵素の働きで、アリシンに変わる。ビタミンB1は、アリシンと結合すると、より吸収や、血中持続性に優れるアリチアミンになる。アリシンには、殺菌作用(細菌、真菌)がある。
 アリシンは、100度以下で処理すると、無臭で脂溶性のアホエンに変化する。
 アリシンは、油の中では、スルフィドに変化する:アリニン→アリシン(辛み成分、臭いの揮発成分)→スルフィド(血栓予防)。
 ニンニクには、ジアリルトリスルフィド(DATS)やメチルアリルトリスルフィド(MATS)などのニンニクトリスルフィド類が含まれている。ジアリルトリスルフィド(DATS)には、血小板凝集抑制作用がある。

 注3納豆は、ワ−ファリン(Warfarin)という薬を、医療機関で処方されている方は、主治医と相談して摂取して下さい。

 注4:ターメリック(turmeric)は、熱帯アジア原産の植物で、カレー粉が黄色なのは、ターメリックの色素が、黄色いため。ターメリックに含まれる黄色の色素の成分は、クルクミンで、抗酸化作用がある。
 ターメリックの和名は、「秋ウコン」。ウコンは、ショウガ科の多年草で、健胃薬、利胆薬、止血薬として、用いられる。ウコンは、漢字では、鬱金、宇金などと書かれる。
 ウコンは、カレー粉の成分だが、カレー料理から、体内に入る量は、わずかなので、健康被害をもたらさないと考えられている。しかし、ウコンを、健康食品として、毎日、摂取した場合、ウコン自体、または、不純物の蓄積により、肝障害を来すことが、想定される。実際に、ウコンを健康食品として摂取して、肝障害を来した報告がある。ある報告では、262±36日間摂取して、肝障害の為に、血清ASTALT、ALPが上昇し、回復には、62±88日間を要したという。ウコンには、牛レバーに相当する鉄分が含まれており、(長期に摂取すると、)体内の肝臓に鉄が蓄積すると、C型肝炎では、血清トランスアミナーゼ(AST、ALT)が、上昇するという。従って、ウコンは、肝臓が悪い人が、健康の為に、摂取するのは、要注意と考えられている。

 注5菌体成分(Pathogen-associated molecular pattern:PAMP)は、樹状細胞に作用し、ナイーブT細胞のTh1細胞への分化を促進し、Th1細胞優位の状態にし、アレルギー体質を改善する。納豆ヨーグルト、などの食材を摂取すると、アレルギー体質が改善される(Hygiene hypothesis)。
 梔子柏皮湯(ししはくひとう)は、山梔子(さんしし:クチナシの実)、黄柏(おうばく:ミカン科キハダの皮)を含む漢方薬だが、アトピー性患者に内服させると、血液中のTh1細胞が増加することが確認された。

 注6砂糖の過剰摂取は、マクロファージや好中球の機能を低下させると言う。


 砂糖の成分は、ショ糖(蔗糖:スクロース:sucrose)。ショ糖は、ブドウ糖(グルコース:glucose)と、果糖フルクトース:fructose)からなる、ニ糖類で、水に溶けやすい。
 炭水化物が多い食事、特に、ショ糖(砂糖)の含量が多い食事は、肝臓からのVLDLの分泌を、促進させる(高中性脂肪血症になる)。

 砂糖の摂り過ぎは、高中性脂肪血症や、於血になるおそれがある:砂糖は、摂り過ぎると、肝臓で脂肪酸合成に利用され、血液中に中性脂肪が増加する。その結果、血小板が凝集し易くなったり、赤血球の変形能が悪化して、於血の原因となると考えられる。砂糖(蔗糖)は、分解されると、ブドウ糖と果糖になる。果糖や砂糖を取り過ぎると、肝臓での果糖の代謝により、中性脂肪が多く合成され、脂肪肝や、高脂血症(高VLDL血症)の原因になる。

 砂糖と脂肪を一緒に摂るのは、健康に良くない:砂糖を摂取すると、インスリンが分泌され、脂肪組織のLPL活性が上昇し、血中の中性脂肪の脂肪組織への取り込みが促進される。脂肪摂取で、血液中に中性脂肪(カイロミクロン)が増加し、LPL活性が高まった脂肪組織に、取り込まれる(肥満や、メタボリックシンドロームになる)。

 砂糖の取り過ぎは、ビタミンB1不足を招くおそれがある:白砂糖で、ブドウ糖(グルコース)を摂り過ぎると、ビタミンB1を補酵素とするピルビン酸デヒドロゲナーゼにより、ピルビン酸のアセチル-CoAへの変換が促進され、血液中のビタミンB1が低下する。なお、黒砂糖には、ビタミンB1が含まれている。

 砂糖の摂り過ぎは、痛みを増悪させる:ビタミンB1不足は、乳酸が蓄積し易くし、痛み(神経痛など)を悪化させると考えられる。砂糖の摂り過ぎは、血中の中性脂肪を増加させ、血小板が偽足を出して凝集しやすくなり、血行を悪化させ、酸性の代謝中間産物(乳酸など)を蓄積させ、痛みを増悪させると考えられる。砂糖などの糖質(グルコースを含む)や、食用油などの脂質(アラキドン酸の原料になるリノール酸を含む)は、それぞれ、発痛物質である、乳酸、プロスタグランジンE2PGE2)の生成を増加させ、痛みを増悪させると考えられる。糖分(グルコースを含む砂糖)、肉(アラキドン酸)、油脂(リノール酸)が多い食餌は、乳酸やPGE2の産生を増加させて、神経痛などを悪化させると考えられる。御菓子、酒、穀類(御飯、パン、ウドンなど)、肉類(獣鳥魚介)、卵なども、痛みを増悪させる。野菜(緑葉食や青汁)や果物は、痛みを軽減する血行を良くし、発痛物質の除去を促進する)。

 砂糖は、白血球の機能を低下させ、感染症に罹り易くなる:砂糖(白糖、白砂糖)を摂り過ぎると、(血液が、酸性になり、)白血球(好中球や単球やリンパ球)の機能が低下するとされる。砂糖の過剰摂取は、マクロファージや好中球の機能を低下させると言う。砂糖(白糖)を、食べ過ぎると、結核などの感染症に罹り易くなる黒砂糖は、アルカリ食品(尿アルカリ化食品)とされる。

 砂糖を摂取すると、乳酸などが血中に増加し、尿中からのカルシウム排泄が増加する:砂糖(refined carbohydrate)を過剰に摂取すると、酸塩基平衡を維持する目的で、過剰な酸を腎臓から排泄する為に、尿中カルシウム排泄量が、増加する。紅茶や緑茶(お茶)には、シュウ酸が多く含まれている。尿路結石の予防のためには、水分を多目に取ることが勧められている(尿量が、1日当り2リットル以上になるようにする)。飲用する水分としては、水道水、ミネラルウォーター、シュウ酸含量が少ない麦茶やほうじ茶が、良い。清涼飲料水や甘味飲料水は、含まれている砂糖や燐酸により、尿中クエン酸が減少したり、尿中カルシウムが増加するので、好ましくない。

 砂糖は、冠動脈疾患や、脳梗塞の発症リスクを高める:砂糖(ショ糖)、カフェイン、鉄(肉類の摂取に由来する)の摂取量が多いと、血漿フィブリノーゲンが、上昇する。

 同じ量の重さの糖を比較すると、glycemic index(GI)は、砂糖は50〜59、果糖は20〜29、マルトースや蜂蜜は80〜90、果物は40〜49と言われる。

 母親が、現代栄養学に基づく標準型食事を摂取すると、母親の血清脂質が高くなり、(母乳の味が)「悪く」なり(桶谷式主観評価)、乳児は、母乳を飲まなくなる。母親が、砂糖、脂質を制限した伝統的日本型和食を摂取すると、母親の血清脂質が高くなり、(母乳の味が)「良く」なり、乳児は、母乳を良く飲むようになる。

 糖分(砂糖)や脂質が多い食事や、便秘(宿便)は、ニキビを悪化させる要因と言われる。ニキビは、皮脂の量(皮脂が過剰に分泌されること)より、皮脂の質(皮脂が固い)ことが、発症の原因と考えられる。

 急性胃腸炎やアセトン血性嘔吐症などに際して、脱水予防に、補給する飲料は、砂糖の濃度を、5%程度にする。砂糖の濃度が濃すぎると、番茶の浸透圧が高くなり、胃が刺激され、嘔吐を誘発してしまう。1%のブドウ糖液(グルコース液)は、浸透圧が約55mOam/L。ブドウ糖濃度が、2〜2.5%だと、Naと水が、最大の高率で、吸収される。


 注7フラボノイドは、3つのフェノール(ベンゼン環に水酸基がついている)から構成され、ポリフェノールの1種。
 フラボノイドには、抗酸化作用、活性酸素フリーラジカル)消去作用がある。

 参考文献
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 ・山口了三、五十嵐紀子、並木和子:こんな野菜が血栓を防ぐ、BLUE BACKS、1991年発刊(1999年、第12刷、講談社).
 ・新谷弘実:胃腸は語る−胃相腸相からみた健康・長寿法、弘文堂(平成10年初版、平成12年11刷).
 ・第79回米国心臓協会学術集会(AHA2006) 葉酸?ビタミンBに心血管疾患の予防効果認められず、Medical Tribune、15頁、2007年1月11日号.
 ・第61回日本栄養・食料学会 茶カテキン成分による脂肪細胞機能改善効果を確認、Medical Tribune、2007年8月9日、32頁.
 ・オリーブが発がんを抑制、TOPICS from EUROPE、Medical Tribune、2008年6月5日、7頁.


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