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 ヘルパーT細胞

 T細胞表面のTCR・CD3複合体は、単球・マクロファージ表面の、抗原が結合したMHCクラスII分子を、認識する。

 ヘルパーT細胞の活性化(IL-2産生)には、抗原提示細胞のMHCクラスII分子+抗原ペプチドにより、ヘルパーT細胞のTCR・CD3複合体が、抗原特異的に刺激されること(シグナル1)と、抗原提示細胞の補助刺激分子(インテグリンリガンド)により、ヘルパーT細胞の補助受容体インテグリン)が、抗原非特異的に刺激されること(シグナル2)が、必要。
 ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞により、抗原特異的にTCR・CD3複合体が刺激される(シグナル1で刺激される)だけで、補助受容体が刺激されない(シグナル2で刺激されない)と、活性化されず、抗原特異的な免疫寛容が、誘導される。

 補助刺激分子(CD86)は、抗原提示細胞(マクロファージなど)のみが発現している。末梢組織の細胞が、MHCクラスII分子に、自己抗原を結合して、自己抗原を提示(シグナル1)しても、ヘルパーT細胞は、補助受容体(CD28)の刺激(シグナル2)がないので、活性化されず、無反応(anergy)に終わる。このような機序で、ヘルパーT細胞は、「自己」の成分(自己抗原)には、免疫応答(自己免疫)を起こさない。
 1.単球・マクロファージは、ヘルパーT細胞に抗原を提示する
 細菌などは、単球・マクロファージにより貪食され、リソソームで、抗原(抗原ペプチド)に分解される。
 抗原(抗原ペプチド)は、MHCクラスII分子注1)のに挟まれるように結合して、単球・マクロファージ表面に提示される。
 単球・マクロファージ表面のMHCクラスII分子が、抗原(抗原ペプチド)を挟む形で、CD4陽性(注2)のヘルパーT細胞TCR・CD3複合体に抗原を提示する。

 抗原提示細胞(抗原呈示細胞)である単球・マクロファージ(MΦ)は、細菌を貪食し、細胞内(エンドゾーム)で消化し、細菌の蛋白を、細かく砕き(分解・断片化し)、アミノ酸数が約10〜15程度のペプチド(peptide)にする。樹状細胞やB細胞も、抗原提示する。
 こうして、ペプチド(peptide)の形にされた抗原ペプチド(抗原フラグメント、ペプチド断片、抗原断片、ペプチド抗原)は、単球・マクロファージのMHCクラスII分子に挟まれるようにして、ヘルパーT細胞のTCR・CD3複合体に、提示(processing)される。

 TCR・CD3複合体は、TCR(T細胞受容体:注3)が、CD3分子と細胞膜貫通部で、非共有的に結合している。小胞体で合成されたTCRのα鎖、β鎖、CD3分子のポリペプチドγ、δ、ε、ζは、αβ/γε/δε/ζ-ζを形成して、細胞膜のTCR・CD3複合体として、発現する。
 TCRの抗原認識のシグナルは、CD3分子を介して、T細胞内に伝達される(シグナル1)。

 ヘルパーT細胞が、MHCクラスII分子に結合した抗原を認識する際には、CD4抗原が、補助的に働く。

 ウイルスなどの抗原は、抗原ペプチド(抗原フラグメント)の形で、単球・マクロファージのMHCクラスI分子と共に、CD8陽性のキラーT細胞(CTL:cytotoxic T lymphocyte)に、提示される。

 単球・マクロファージの他に、活性化B細胞、皮膚のランゲルハンス細胞、組織内の樹状細胞(dendritic cell)なども、抗原提示する(注5)。
 2.T細胞活性化には、インテグリンを介する、共刺激が必要
 T細胞が活性化されるためには、TCR・CD3複合体を介する抗原特異的なシグナルによる刺激と、インテグリンを介する抗原非特異的なシグナルによる共刺激副刺激)が必要。
 1).シグナル1:MHCクラスII分子(抗原提示細胞)/抗原ペプチド/TCR・CD3複合体(T細胞)の抗原認識シグナル

 ヘルパーT細胞は、TCR・CD3複合体が、単球・マクロファージ表面のMHCクラスII分子を介して、抗原ペプチドを提示されることで刺激され生じるシグナル1(TCRシグナル:抗原提示シグナル)だけでは、活性化されない。
 シグナル1は、TCR・CD3複合体を介する抗原特異的なシグナル。

 2).シグナル2:インテグリン(T細胞)/インテグリンリガンド(抗原提示細胞)の副シグナル
 ヘルパーT細胞は、T細胞表面のインテグリン(補助受容体)が、単球・マクロファージ表面に発現されるインテグリンリガンドで刺激され生じるシグナル2(共刺激シグナル:補助刺激シグナル)も、T細胞活性化のために必要。
 シグナル2は、補助受容体を介する抗原非特異的なシグナル。

 ヘルパーT細胞の活性化には、シグナル1シグナル2の2つのシグナルが必要。
 ヘルパーT細胞が、抗原提示細胞(抗原呈示細胞)のMHCクラスII分子+抗原ペプチドにより、ヘルパーT細胞のTCR・CD3複合体が、抗原特異的に刺激される(シグナル1)と、抗原提示細胞のインテグリンリガンド(B7-1)により、ヘルパーT細胞の補助受容体(インテグリン:CD28やCTLA-4)が、抗原非特異的に刺激される(シグナル2)と、ヘルパーT細胞の細胞質で、IL-2 mRNAの転写が起こり、IL-2が生産され、T細胞は、活性化される(拒絶反応が起こる)。

 3.2シグナルモデル
 第1に、T細胞は、抗原認識のシグナル1がなく、シグナル2が伝えられても、活性化されない。
 第2に、T細胞は、抗原認識のシグナル1のみが伝わり、シグナル2が伝えられないと、活性化されないだけでなく、その抗原に対して、応答しない、免疫寛容状態になる
 抗インテグリン抗体を、マウスの心臓移植時に投与すると、拒絶反応が抑制される。後に、このマウスに、同じドナーマウスの皮膚を移植すると、抗インテグリン抗体を投与しなくても、拒絶反応なしに、皮膚は生着した。
 マウスでは、移植直後に、CD4、LFA-1に対する抗体を、短期間投与すると、移植した組織のアロ抗原に特異的な免疫寛容が成立し、移植臓器が、永久に生着する。

 4.共刺激分子(インテグリン)と、対応するリガンド
 共刺激分子(副刺激分子:補助受容体)として、CD28や、CD152(CTLA-4)、CD40などと言う、インテグリン(受容体)が、T細胞表面に発現される。
 インテグリン(共刺激分子:補助受容体)は、対応するリガンド(補助刺激分子)と、共刺激経路(副刺激経路)を構成する。

 インテグリン(補助受容体)/リガンド(補助刺激分子)組み合せ
 1).CD28/B7共刺激経路
 T細胞表面のCD28(補助受容体)が、単球・マクロファージ(抗原提示細胞)表面に発現されるB7(インテグリンリガンド:補助刺激分子)と結合すると、シグナル2が伝えられて、T細胞は、活性化される。

 B7補助刺激分子)は、糖蛋白で、B7-1CD80)、B7-2CD86)と言う、2つの分子の遺伝子の存在が、知られている:T細胞(CD4陽性ヘルパーT細胞)のインテグリン/抗原提示細胞のリガンドの相互作用として、CD28/CD80と、CD28/CD86とがある。
 CD28は、CD3陽性T細胞の大半が、発現する。CD4陽性T細胞の方が、CD8陽性T細胞より、高頻度にCD28抗原を発現する。
 CD28は、活性化を誘導する正のシグナルを伝達する。

 CD86のようなインテグリンリガンドは、ヘルパーT細胞の補助受容体を刺激し、ヘルパーT細胞を活性化させる。
 CD86は、抗原提示細胞(B細胞、樹状細胞、マクロファージ)の表面にしか発現していない。末梢組織の細胞が、MHCクラスII分子に、「自己」の抗原の断片(自己抗原)を結合して、自己抗原を提示しても、ヘルパーT細胞は、シグナル2(CD28による補助受容体の刺激シグナル)がないので、活性化されず、無反応(anergy)に終わる。このような機序で、ヘルパーT細胞は、「自己」の成分(自己抗原)には、免疫応答(自己免疫)を起こさない。

 2).CD152(CTLA-4)/B7共刺激経路
 T細胞表面のCD152(CTLA-4)が、単球・マクロファージ表面のB7と結合すると、ヘルパーT細胞の免疫反応(IL-2産生など)を抑制すると考えられている。
 T細胞(CD4陽性ヘルパーT細胞)のインテグリン/抗原提示細胞のリガンドの相互作用として、CD152(CTLA-4)/CD80と、CD152(CTLA-4)/CD86とがある。
 CD152(CTLA-4)は、活性化を抑制する負のシグナルを伝達する。

 3).CD40/CD154(CD40L)共刺激経路
 CD40(インテグリン:受容体)は、B細胞、単球・マクロファージ、樹状細胞、血管内皮細胞に発現している。
 CD40は、腫瘍壊死因子受容体ファミリー(TNF receptor family)に属する膜蛋白。
 CD40リガンド(CD4-ligand)のCD154(CD40Lgp39)は、活性化CD4陽性T細胞表面(ヘルパーT細胞であるTh2細胞)に発現している:抗原提示細胞のインテグリン/T細胞(CD4陽性ヘルパーT細胞)のリガンドの相互作用として、CD40/CD40L(CD154)がある。
 CD40が、CD154(CD40L)と結合すると、抗原非特異的なシグナル(シグナル2)が伝達され、B細胞の抗体産生のクラススイッチ(注4)、リンパ濾胞に移動しての胚中心の形成、記憶B細胞の出現が誘導される。
 また、CD40/CD154(CD40L)共刺激経路は、抗原提示細胞(単球・マクロファージ、樹状細胞)を活性化させ、抗原提示細胞表面に細胞接着分子のリガンド(B7-1B7-2ICAM-1など)を発現させたり、抗原提示細胞に炎症性サイトカイン注6)などを分泌させ、T細胞共刺激経路CD28/B7共刺激経路を誘導する。
 このように、CD40/CD154(CD40L)共刺激経路は、B細胞からの抗体産生のみならず、T細胞の活性化にも、重要な経路。
 移殖免疫で、CD154(CD40L)に対する抗体を投与すると、免疫不応答性を長く持続させることが、認められている。
 IFN-γは、CD40リガンド(CD40L)の発現を抑制して、B細胞によるIgE抗体産生を抑制する。
 5.免疫シナプス
 T細胞と抗原提示細胞は、直接、接着し、相互作用して、T細胞が、活性化される。
 接着に際して、T細胞と抗原提示細胞の間には、様々な分子群が関与し、免疫シナプスが、形成される。
 補助受容体/リガンドとしては、LFA-1/ICAM-1、CD28/CD80(B7-1)、CD152(CTLA-4)/CD80(B7-1)などが、形成され、同種移植免疫の急性拒絶反応に関与する。
 表1 T細胞と抗原提示細胞の相互作用
 T細胞   抗原提示細胞 
 TCR・CD3・CD4(CD8)  MHC+抗原ペプチド
 CD2(LFA-2)  CD58(マウスではCD48)
 CD28  CD80(B7-1)、CD86(B7-2)
 CD152(CTLA-4)  CD80(B7-1)、CD86(B7-2)
 CD11a/CD18(LFA-1)  CD54(ICAM-1)
 CD40L(CD154)  CD40
 CD43、CD45  -
 CD2(LFA-2)は、T細胞やNK細胞が、羊の赤血球(SRBC)と、E-ロゼットを形成する際の、リセプター。なお、T細胞表面のCD2(インテグリン)が結合する、抗原提示細胞表面のリガンドは、ヒトでは、CD58(LFA-3)で、マウスでは、CD48:マウスでは、CD2は、CD48のみを、リガンドとする。ヒトでは、CD2は、CD48にも、弱い親和性を示すが、CD58(LFA-3)に、高い親和性を示す。

 CD3は、TCRと、TCR・CD3複合体を形成する。

 CD4やCD8は、TCRが、MHC+抗原ペプチドを認識する際、MHC分子に結合し、TCRのMHC+抗原ペプチドとの結合を、安定化させる。

 CD11a/CD18(LFA-1:lymphocyte function-associated antigen)は、インテグリンとして、リガンドであるICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)と、結合する。CD11a/CD18(LFA-1)のリガンドとしては、ICAM-1以外に、ICAM-2(CD102)、ICAM-3(CD50)が、存在する。LFA-1は、白血球やリンパ組織にだけ発現し、ICAM-1は、B細胞や抗原提示細胞(APC:単球や樹状細胞)などの血液系細胞と、血管内皮細胞に発現する。LFA-1(インテグリン)とICAM-1(リガンド)との結合により、種々の細胞が、接着する。

 CD28は、T細胞を、正に制御する:T細胞は、CD28により、抗原提示細胞からのシグナル2(第二シグナル:補助受容体シグナル)を受容し、活性化され、IL-2やIL-2R(IL-2受容体)を発現し、増殖する。T細胞は、TCR・CD3複合体を介するシグナル1により刺激されても、CD28分子が、抗原提示細胞の補助受容体(CD80やCD86)からのシグナル2により刺激されないと、活性化されず(IL-2mRNAの発現が増加しない)、免疫寛容が誘導される。IL-2mRNAの発現は、T細胞が、TCR・CD3複合体を介するシグナル1により刺激されると、若干量増加するが、抗原提示細胞の補助受容体からのシグナル2により刺激されると、5〜20倍に増加し、IL-2産生量が増加する。

 CD152(CTLA-4)は、T細胞を、負に制御する:CD152(CTLA-4)は、CD28によるT細胞への正の刺激を、調節していると、考えられている。
 CD152(CTLA-4)の構造は、CD28に類似し、CD152(CTLA-4)のリガンドも、CD28と同じ、CD80(B7-1)やCD86(B7-2)。
 CD152(CTLA-4)は、休止期(静止期)T細胞に発現せず、活性化されたT細胞が、発現する。
 CD152(CTLA-4)は、CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)が、自己反応性T細胞を抑制する際に必要で、自己免疫疾患の発症の抑制に関与していると、考えられている。

 CD80(B7-1)は、活性化B細胞や、活性化マクロファージが、発現する。
 CD80(B7-1)は、CD28やCD152(CTLA-4)のリガンドである。CD80(B7-1)以外にも、CD86(B7-2)も、CD28やCD152(CTLA-4)のリガンドである。CD80(B7-1)やCD86(B7-2)は、CD28よりも、CD152(CTLA-4)に、より強く結合する(親和力が強い)。
 CD80(B7-1)やCD86(B7-2)は、抗原提示細胞が、発現する:CD80(B7-1)は、樹状細胞が、発現する。CD80(B7-1)は、休止期B細胞は、発現せず、活性化B細胞が、発現する。CD80(B7-1)は、活性化マクロファージが、発現する。CD86(B7-2)は、休止期B細胞も、発現する。  

 CD45は、LCA(Leukocyte common antigen)、T200と名づけられた表面抗原で、糖鎖に富んでいる。
 CD45(LCA)には、CD45RA、CD45ROと言う、isoformが存在する。CD4陽性細胞で、CD45RAを発現している細胞(CD45RA陽性細胞)は、サプレッサー/インデューサー機能(S/I機能)を有し、CD45ROを発現している細胞は、ヘルパー/インデューサー機能(H/I機能)を有している。
 CD45は、NK細胞にも、発現されている。CD45に存在する糖鎖(poly-N-acetyllactosamine:LacNAc)は、NK細胞の標的細胞との結合を、抑制(阻害)する。

 6.Hygiene hypothesis
 リポ多糖(LPS:lipopolysaccharide、グラム陰性菌)、CpGオリゴヌクレオチド、リポペプチド、ペプチドグリカン(peptideglycan:グラム陽性菌)、リポアラビノマンナン(lipoarabinomannan、結核菌)などの微生物の菌体成分は、樹状細胞のToll-like receptor (注7)を介して、樹状細胞を活性化させ、CD40、CD80、CD86などの共刺激分子(副刺激分子)を発現させる(NF-kBが活性化される)。ナイーブT細胞は、樹状細胞から提示される抗原、共刺激分子(副刺激分子)、炎症性サイトカインIL-12、TNF-α)により活性化されると、Th1細胞が、優位に分化する。Th1細胞は、IFN-γを産生し、IgE抗体の産生を抑制し、アレルギー反応を抑制すると言われる。

 7.その他の接着分子
 表2 インテグリンとリガンド
 T細胞表面のレセプター
 (インテグリン:穴)
 抗原提示細胞表面のリガンド
 (インテグリンリガンド:鍵)
 CD11a/CD18(LFA-1  ICAM-1(CD54)
 VLA-4  VCAM-1
 CD2(LFA-2  LFA-3(CD58) 
 VLA-4/VCAM-1の相互作用も、ヘルパーT細胞の活性化に重要で、マウスでの心臓移植の実験で、VCAM-1やVLA-4に対する抗体を投与する、移殖した心臓に拒絶反応が起こらないと言う。

 8.自己抗体産生のepitope spreading仮説
 自己免疫疾患では、自己抗原と反応する、自己抗体が産生されている。
 多くの自己抗原のアミノ酸配列は、ウイルスや細菌蛋白の一部と、分子レベルで相同していることが、確認された。
 例えば、U1RNP-70K蛋白と言う自己抗原は、B型インフルエンザウイルスのウイルス抗原と、相同性がある。

 epitope spreading仮説によると、まず、ウイルス感染で産生された、自己抗原に類似したウイルス抗原に対する抗体は、交差反応で、自己抗原(Aエピトープ)とも反応する。
 この、自己抗原に類似したウイルス抗原に対する抗体をリセプターに結合したB細胞は、自己抗原をT細胞に抗原提示する。
 そうすると、自己抗原(Aエピトープ)近傍の、新たな自己抗原(Bエピトープ)に対応するB細胞クローンも活性化され、真の自己抗体が産生されると考えられる。

 epitope spreading仮説は、マウスの抗U1RNP抗体産生系で確認されたという。
 このように、自己抗原と相同性を持つ病原微生物の感染を契機に、自己抗体が産生されるとも考えられる。

 生体は、微生物に感染すると、微生物が有する蛋白(蛋白や多糖体=抗原)に対して、免疫応答し、微生物由来の抗原に対して、抗体産生などをおこなう。同じ、微生物に対する免疫応答(抗体産生など)は、宿主(ヒト)が有するMHC(MHCクラスII分子など)の型によって、異なる。
 宿主(ヒト)は、自己の組織に、微生物が有する蛋白(蛋白や多糖体=抗原)と似た構造の蛋白などを、有している。
 感染した微生物に対して、高応答して、強い免疫応答が起こると、産生された微生物由来の抗原に対する抗体などが、微生物が有する抗原と似た構造をした、自己の組織の蛋白を、免疫的に障害することが、自己免疫疾患発症の要因と考えられている。

 9.樹状細胞
 樹状細胞(dendritic cells)は、抗原提示細胞として、重要。
 樹状細胞は、MHCクラスI分子や、MHCクラスII分子や、補助受容体(インテグリン)のリガンド(CD86)を、常時、多量に、発現している。
 樹状細胞自身、ウイルスに感染し易い。
 樹状細胞は、骨髄で分化した後、末梢組織に血液中を移行し、気道、消化管粘膜、皮膚の表皮に、分布する。表皮の樹状細胞は、ランゲルハンス細胞(Langerhans cells)と、呼ばれる。
 樹状細胞は、食作用で、抗原を取り込むと、近くのリンパ節に移動し、細胞質突起を伸張し、連結し、interdiditating cellとなり、抗原提示を行う。

 樹状細胞は、病原体の微生物が、生体に侵入すると、微生物抗原を貪食する。
 樹状細胞は、微生物が産生する分子(リポ多糖など)や、産生される炎症性サイトカイン(IL-1、TNF-α)により、成熟し、表面にMHC+抗原ペプチド複合体と、補助刺激分子(CD80、CD86)を、高レベルに発現する。

 抗原提示細胞でも、マクロファージは、抗原となる病原体などが侵入すると、活性化され、病原体などを貪食し、食胞内で分解し、MHC分子+抗原ペプチド複合体として、細胞表面に、発現する。

 10.腸内細菌と免疫寛容
 腸内細菌(常在細菌叢)は、消化管の免疫寛容に、必要。
 マウスに多量(20〜25mg)の卵白アルブミンを食べさせると、卵白アルブミンに対して、免疫寛容になる。無菌マウスでは、免疫寛容が成立しないが、5週齢までに、無菌マウスの消化管内に、常在細菌叢を形成させると、免疫寛容が成立するようになる。
 健康人由来のリンパ球(健康人の末梢血や、腸管粘膜から分離されたリンパ球)は、同じ人の腸内細菌の菌体や、抽出物によっては、刺激されない(blast formationが起こらない)。しかし、クローン病(Crohn's disease)や、潰瘍性大腸炎の患者由来のリンパ球は、同じ人(患者)の腸内細菌の菌体や、細菌の表面抗原により、刺激される。このように、クローン病や、潰瘍性大腸炎の患者は、消化管の免疫寛容が成立しておらず、腸管内で、腸内細菌(常在細菌叢)に対しても、免疫応答をしてしまう。
 クローン病や潰瘍性大腸炎は、牛乳や乳製品の摂取を禁止し、自然の穀物(精製度が少ない穀物)、野菜、果物を摂取させると、改善したり、治癒すると言う。

 消化管では、栄養素を吸収する際に、粘膜は、食事由来の抗原や、腸内細菌の抗原など、種々の抗原に曝されている。消化管では、局所免疫として、IgA抗体を分泌し、異物を排除し、また、全身免疫として、消化管内の抗原に反応しないように、免疫寛容を誘導する。このような消化管の免疫は、GALT(gut-associated lymphoid tissue)と呼ばれる腸のリンパ装置で、営まれる。GALTは、パイエル板(Peyer板)、腸間膜リンパ節、腸粘膜固有層や上皮細胞間のリンパ球、形質細胞、肥満細胞(mast cell)、マクロファージなどにより構成される。GALTは、腸粘膜の容積の25%を占める。
 GALTのパイエル板では、サプレッサーT細胞(Suppresor T cells)を誘導して、食餌性蛋白抗原や、腸内細菌の菌体抗原などに対して、免疫寛容(経口寛容)を成立させると言われるが、その機序の詳細は、複雑で、解明されていない。
 腸内細菌(常在細菌叢)のように、消化管の粘膜(バリアー)を侵襲して、粘膜下(生体内)に入り込まない抗原に対しては、免疫寛容(経口寛容)が誘導される。しかし、病原性細菌などにより、消化管の粘膜(バリアー)が侵襲されたり、粘膜の透過性が亢進して、粘膜下(生体内)に入り込んだ抗原に対しては、免疫寛容が誘導されず(経口寛容が破綻して)、食物アレルギーや、炎症性腸疾患などが、起こる。
 食物アレルギーは、アレルギーを起こす抗原(ペプチド抗原)を含む食餌を摂取することより、食餌由来の抗原が、何らかの機序で、消化管の粘膜(バリアー)を通過して、粘膜下(生体内)に入り込むことが原因で、起こる。従って、アレルギーを起こす抗原の除去食療法は、根本的な治療ではない。(むしろ、食品に含まれている界面活性剤などの摂取の制限の方が、重要と思われる。)

 腸管からの脂肪の吸収に伴ない、リンパ管内を転送されるリンパ球数も、増加する
 生体顕微鏡で観察すると、腸管腔内に、オリーブ油を投与すると、腸管からの脂肪吸収(脂肪の転送)に伴なって、リンパ管内に、リンパ球が増加する(リンパ球の転送が増加する)。この腸管リンパ管内(腸管リンパ液中)のリンパ球は、75%が、CD4陽性ヘルパーT細胞(helper/inducer T cells)。
 脂肪酸でも、オレイン酸(長鎖不飽和脂肪酸)、パルミチン酸(長鎖飽和脂肪酸)は、腸管から吸収された後、リンパ管内を輸送され、また、カプリル酸(中鎖脂肪酸)は、門脈内を輸送される。オレイン酸(長鎖不飽和脂肪酸)、パルミチン酸(長鎖飽和脂肪酸)は、(食事で摂取すると、)腸管リンパ管内のリンパ球数を、増加させる(リンパ球の転送を、増加させる)。しかし、カプリル酸(中鎖脂肪酸)は、腸管リンパ管内のリンパ球数を、増加させない。オレイン酸やパルミチン酸などの長鎖脂肪酸は、リンパ球幼弱化反応(blast formation)を、亢進させる(長鎖脂肪酸は、リンパ球の増殖や活性化を促進させる)。

 生体は、バリアー(バリア)としての腸管上皮や皮膚を越えて侵入する病原体には、免疫応答をする。
 Toll様受容体のTLR5は、腸管の上皮細胞の毛細血管側に存在する。生体は、腸管の上皮細胞表面に存在する腸内細菌(常在細菌)に対しては、免疫寛容を誘導するが、腸管粘膜を越えて侵入した腸内細菌に対しては、TLR5などで、認識し(感知し)、免疫応答をする。

 おまけ

 
リンパ球や好中球(顆粒球)は、マクロファージ(単球、グリア細胞、クッパー細胞など)から分化したと言われる。NK細胞や、血管内皮細胞も、マクロファージから分化したので、異物(細菌など)を貪食する性質がある。
 リンパ球は、T細胞(Tリンパ球)と、B細胞(Bリンパ球)とに、分類される。
 T細胞(Tリンパ球)は、ヘルパーT細胞(CD4陽性:抗原提示細胞から抗原を提示される)と、キラーT細胞(CD8陽性:ウイルス感染細胞などを特異的に殺す)とに、分類される。ヘルパーT細胞は、さらに、細胞性免疫に関与するTh1細胞と、液性免疫に関与するTh2細胞とに分類される。
 B細胞(Bリンパ球)は、ヘルパーT細胞が分泌するサイトカインにより、形質細胞(プラズマ細胞)に分化し、抗体(免疫グロブリン)を産生する。
 古い免疫系である胸腺外分化T細胞や、B-1細胞は、自己応答性免疫細胞であり、膠原病などの自己免疫疾患の発症に関与する。

 注1MHCとは、major histocompatibility complexの略で、主要組織適合抗原複合体のこと。
 人間では、HLA(human leukocyte antigen)が、MHC。
 移殖した組織に、拒絶反応が起こる時、MHCは、「非自己」として認識されている。
 MHC(HLA)の型により、特定の抗原に対する、免疫応答の強度が異なる。これは、同じ抗原ペプチドであっても、MHC(HLA)の型により、MHC(HLA)の溝へ結合し易かったり、結合しにくいためとされる。例えば、ヒトのHLAのDR51-B5は、インフルエンザウイルスのHAと、強く結合する。ヒトのHLAのDQ6-B5は、溶血性連鎖球菌(溶連菌)のM蛋白と、強く結合する。従って、HLAのDR51-B5を有するヒトは、インフルエンザウイルスに対して、また、HLAのDQ6-B5を有するヒトは、溶連菌に対して、強い免疫応答を示す。このように、MHC(HLA)の型により、特定(問題)の抗原と結合のし易さに差がある。MHC(HLA)の型により、特定の抗原に対して、免疫応答するか、免疫非応答なのか、決まる。免疫応答が強すぎる(高すぎる)ことは、花粉症など、アレルギー疾患などを来たし、生体に不利な場合もある。
 免疫系でも、T細胞は、自己のMHC(HLA)が変化(変性)していないか、認識する。T細胞は、TCR(T細胞受容体)により、抗原提示細胞表面の、型の異なるMHC(HLA)や、変性したMHC(HLA)を、「非自己」として認識すると考えられる。
 TCR(T細胞受容体)は、MHC(HLA)と抗原ペプチドの複合体(MHCと、そのに結合した抗原ペプチド)を認識する。
 MHCは、2種類存在する:
 ・MHCクラスI分子:α鎖と、β2ミクログロブリンのβ鎖で構成される。ヒトでは、HLA-A、B、C抗原が存在する。T細胞、B細胞の他、ほとんど全ての細胞表面や、血小板表面に、発現している。細胞に感染したウイルスは、細胞質内でウイルス蛋白質を合成する。ウイルス蛋白質は、プロテアソームで、抗原ペプチド(アミノ酸の数が7〜9ケ)に分解され、粗面小胞体(ER)に運ばれて、合成途上のMHCクラスI分子と結合して、細胞表面に発現される。このようにして、MHCクラスI分子は、細胞内で合成された抗原ペプチドを、CD8陽性キラーT細胞に提示する。
 ヘルペスウイルスなどのウイルスは、感染細胞のMHC(MHCクラスI分子)の発現を抑制し、キラーT細胞の攻撃(細胞障害活性)を逃れる。しかし、MHC(MHCクラスI分子)を発現していない細胞は、NK細胞の攻撃を受ける。
 ・MHCクラスII分子:α鎖(α1、α2)と、β鎖(β1、β2)で構成される。ヒトでは、HLA-D、DR、DP、DQ抗原が存在する。クラスII抗原分子は、限られた細胞表面に発現する:樹状細胞(皮膚ランゲルハンス細胞など)、単球・マクロファージ、B細胞、活性化T細胞(静止期のT細胞は、発現していない)、胸腺上皮細胞、精子など。クラスII抗原の先端部分には、抗原ペプチドと結合するための、(antigen binding groove:抗原結合窩、binding cleft)が存在する。 細菌は、エンドサイトーシスで細胞内に取り込まれて、リソソーム抗原ペプチドに分解され、MHCクラスII分子の溝に結合して、細胞表面に発現される。このようにして、MHCクラスII分子は、外来性蛋白の抗原ペプチド(精製ツベルクリンなど)を、polyproline type IIという引き延ばされた形で、MHCクラスII分子の溝に結合させ、CD4陽性ヘルパーT細胞に提示する。MHCクラスII分子を構成するアミノ酸残基が、MHC(HLA)の型によって、遺伝的に異なるため、MHC(HLA)の型によって、MHCクラスII分子の溝は、異なる。そのため、同じ抗原ペプチドであっても、MHCクラスII分子の溝への結合し易さは、MHC(HLA)の型によって、異なる。そのため、MHC(HLA)の型によって、抗原ペプチドに対する免疫応答の強度が、異なる。

 注2CDとは、cluster of differentiationの略。T細胞などの免疫機構を形成する細胞の表面に存在する、機能的に重要な分子を分類するのに用いられる。CD抗原分子は、モノクローナル抗体で検査される。

 注3TCRとは、T cell receptorの略で、T細胞受容体(T細胞抗原受容体、T細胞抗原レセプター)のこと。大多数のT細胞(αβT細胞)のTCRは、α鎖(Vα、Jα)とβ鎖(Jβ、Dβ、)で構成される(TCR2)。
 α鎖もβ鎖も、抗原と結合する免疫グロブリンと同様に、可変領域(V領域)とコンスタント領域(C領域)から構成されている。TCRをコードする遺伝子は、免疫グロブリンの遺伝子と同様に、再構成(gene rearrangement)され、多様な抗原に特異的に反応する。 
 胸腺では、自己反応性T細胞を、除去する:胸腺にやって来た、未分化なT細胞は、選択を受け、胸腺の抗原提示細胞(HLA+自己抗原)と、適切な親和性を有する細胞(クローン)は、分化・成熟する。胸腺の抗原提示細胞(HLA+自己抗原)と強く反応する細胞(親和性が高いクローン:自己反応性が強いクローン)や、反応が弱い細胞(親和性が低いクローン)は、死滅させられる。未分化なT細胞の内、未分化なT細胞の98%以上は、死滅(アポトーシス)させられる。
 胸腺で、α鎖とβ鎖を構成したT細胞は、末梢血、リンパ節、脾臓などに分布する。
 γ鎖とδ鎖で構成されるTCR(TCR1)を有するT細胞も、存在する。このTγδ細胞γδT細胞)は、末梢血やリンパ節では、リンパ球の1〜5%しか存在しないが、皮膚や小腸の上皮や粘膜では、T細胞の50%以上を占める。Tγδ細胞もCD16を発現するものも多く、MHC拘束性も見られず、NK細胞様、ADCC様の細胞機能を持ち得る。Tγδ細胞は、Th1細胞への分化を抑制すると考えられている。γδT細胞(Tγδ細胞)は、主に、肝類洞内で分化する。
 胸腺外分化T細胞(Tγδ細胞)は、NK細胞と同様に、Cd56、CD57が陽性。

 胸腺は、えら呼吸上皮下にあるリンパ球集合が発達した。

 そもそも、リンパ球は、マクロファージ(単球)から進化して来たと考えられている。
 1.マクロファージ(単球)→
 2.NK細胞(CD2+CD3-TCR-、CD161+、IL-2Rβ+LFA-1+LGL)→
 3.NKT細胞(CD3+、TCRは一種類+、CD161+)→
 4.γδT細胞(Tγδ細胞:胸腺外分化T細胞:CD2+CD3+TCR+でIL-2Rβ+LFA-1+のLGL)→
 5.αβT細胞(胸腺由来T細胞:CD2+CD3+TCR+でIL-2Rβ-LFA-1-:IL-2RβやLFA-1は、必要時にのみ発現する)
 と分化したと考えられる。

 注4:表面にIgM、IgD、CD40陽性のB細胞は、CD4、CD154陽性のTh1細胞と反応する(抗原を、B細胞から、ヘルパーT細胞のTCR・CD3複合体に、提示される)。
 ヘルパーT細胞から、IL-4が産生されると、B細胞は、IgG1やIgEを産生するようになる。ヘルパーT細胞から、IFN-γが産生されると、IgG2aやIgG3が産生されるようになる。ヘルパーT細胞から、TGF-βが産生されると、IgG2aやIgAが産生されるようになる。

 注5:リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞など)、単球は、末梢血の塗沫標本では、丸い形をしているが、実際には、リンパ球や単球には、頭部と下部(尾部)が存在し、プレート内で培養すると、図のように、突起を出したりして、極在した姿を示す。

 注6炎症性サイトカインとしては、TNF-α、IL-1β、IL-6、IFNγ、IL-8が存在する。炎症性サイトカインは、活性化マクロファージや活性化血管内皮細胞から、産生される。
 抗炎症性サイトカイン抑制性サイトカイン)としては、IL-4、IL-10、TGF-βが存在し、活性化マクロファージなどから、産生される。なお、活性化マクロファージは、抗炎症作用のあるプロスタグランジンのPGE2をも、産生する。
 T細胞サイトカインとしては、Th1細胞(TH1)から、感染症の際に、IL-2、IFNγが、産生され、Th2細胞(TH2)から、アレルギーの際に、IL-4、IL-5が、産生される。  

 注7:Toll-like receptor (TLRs)は、マクロファージ(Mφ)や樹状細胞に存在し、病原体(細菌やウイルスなど)に特異的な蛋白、DNA、RNAを認識する。その結果、細胞内シグナル伝達経路が活性化され、炎症性サイトカインや、インターフェロンが、産生される。Tollは、ハエ(蝿)の遺伝子で、真菌の侵入を察知して、活性化シグナルを伝達し、感染防御反応を誘導する。
 Toll-like receptor (TLRs)の他に、細胞表面には、補体C3レセプター、Mannose receptor、Scavenger receptorなどが、存在し、侵入した病原体(細菌やウイルスなど)の侵入を、認識する。
 Mannose receptorは、細胞表面のレクチンであり、病原体表面(表層)の糖(糖鎖のマンノース)と結合する:Mannose receptorは、細菌、真菌、ウイルス感染細胞、寄生虫の表面の抗原(糖鎖のマンノース)と、結合する。
 Scavenger receptorは、リポ蛋白や、リポ多糖(LPS)など細菌の表面に存在する糖脂質とも、結合する。

 マクロファージ(Mφ)表面などに存在する、補体C3レセプター、Scavenger receptor、Fcレセプター、レクチンなどにより、侵入した病原体(細菌やウイルス)は、貪食され、クリアランスされる。
 病原体の菌体膜成分(LPSなど)は、細胞表面に存在するTLR4/MD-2、TLR2/TLR1、TLR2/TLR6によって、認識される。
 ウイルス由来のDNA、RNAは、細胞内顆粒に存在するTLR3、TLR7、TLR8、TLR9によって、認識される。

 TRL(Toll様受容体)には、TLR1〜TLR10の存在が知られているが、TLR8とTLR10の機能は、判明していない。TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR6は、細胞表面に存在し、TLR3、TLR7、TLR9は、細胞質内のエンドソームに存在する。
 TLR1は、TLR2と、ヘテロ二量体を形成し、ペプチドグリカンや、細菌由来のリポペプチド(トリアシルリポペプチド)を、認識する。
 TLR2は、TLR1や、TLR6と、ヘテロ二量体を形成する。
 TLR3は、dsRNA(二本鎖RNA:ウイルス由来)を、認識する。
 TLR4は、MD2と会合して複合体を形成して、LPS(エンドトキシン)、リポタイコ酸、リピッドAを、認識する。LPSは、血清中では、LBP(LPS binding protein:肝臓で生成される)と、LPS/LPB複合体を形成する。TLR4、MD-2、CD14は、LPSレセプター複合体を形成し、LPS/LPB複合体を認識(受容)する。TLR4は、マクロファージ以外に、腸粘膜上皮細胞、胃粘膜上皮細胞にも発現している。ピロリ菌(H. pylori)から分泌されるリポ多糖類(LPS)は、TLR4に結合し、サイトカインのIL-8産生を誘導し、胃粘膜の炎症(胃炎)が起こる。
 TLR5は、フラジェリン(細菌の鞭毛に含まれる)を、認識する。TLR5は、腸管の上皮細胞の毛細血管側に存在する。生体は、腸管の上皮細胞表面に存在する腸内細菌(常在細菌)に対しては、免疫寛容を誘導するが、腸管粘膜を越えて侵入した腸内細菌に対しては、TLR5などで、認識し(感知し)、免疫応答をする。
 TLR6は、TLR2と、ヘテロ二量体を形成し、マイコプラズマ由来のリポペプチド(細菌由来のリポペプチドとは、アシル基が異なる)を、認識する。
 TLR7は、ssRNA(一本鎖RNA)や、イミダゾキノリン(抗ウイルス薬)を認識する。
 TLR9は、非メチル化CpGDNA(細菌のDNA:哺乳類のDNAは、C-GのCの部分が、メチル化されている)を、認識する。クロマチン構造は、DNAメチル化や、ヒストン修飾により、転写活性が調節される(エピジェネリック制御)。CpG(シトシン-グアニン)は、哺乳類では、メチル化が最も高頻度に認められるジヌクレオチド。CpA(シトシン-アデニン)や、CpT(シトシン-チミン)残基も、メチル化が認められる。

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 ・斎藤博久:第109回日本小児科学会学術集会 分野別シンポジウム:乳幼児気管支喘息治療の早期介入 アレルギー性炎症性疾患に関わる遺伝的背景、エピジェネティック制御と環境因子、日本小児科学会雑誌、111巻1号、10-15頁(2007年).

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